世界最大級の流通専門展示会「NRF 2019(Retail's Big Show)」が、2019年1月13日から15日まで、米国ニューヨークのJACOB K.JAVITS CONVENTION CENTERで開催された。
会場には800社以上が出展し、3万7000人が来場。AIによる顧客分析などをもとにした新たな提案や、監視カメラやセンサーを活用した無人店舗に向けた取り組み、セルフレジなどを通じた効率的な決済手段の提案などが相次いだ。
米国ニューヨークのJACOB K.JAVITS CONVENTION CENTERで開催された「NRF 2019」 流通業界ではAmazonが大きな勢力となって、既存の小売業への影響力を高めているが、NRFではリアル店舗を展開する小売業に対する提案・展示が中心となっており、いわば、Amazonとの対抗軸を明確に示した展示会ともいえる。なお、Amazonは出展をしていないが、Amazon Web Services(AWS)はリアル店舗向けソリューションの展示を行っていた。
また日系企業では、パナソニックや富士通、NEC、東芝、エプソンなどが出展。パナソニックは、同会場で発表した米JDA Software Group(JDA)との提携成果などをブースで展示。富士通は、AIやRFIDを活用した店舗ソリューションを展示してみせた。
パナソニック コネクティッドソリューションズ社の樋口泰行社長は、「展示会場を視察したが、流通業界の関係者にとって見逃すことができない展示が相次いでいる。目的意識がはっきりした人が来場しており、それに刺さるソリューションを展示している。自分がリテール分野の会社にいたら、真剣に見て回らなくてはならないイベント」とコメント。
かつて、自らがダイエーの社長として流通業界に身を置いていた立場を踏まえながら、NRF 2019の様子を表現してみせた。
パナソニック、富士通、NECなど日系企業の展示
本稿では、写真を通じてNRF 2019の展示内容を紹介する。まずは、日系企業のブースを紹介する。
パナソニックブースでは「GEMBA Process Innovation」を訴求。今後、「現場」を世界共通の言葉として訴求するという パナソニックブースでは、コネクティッドソリューションズ社の樋口泰行社長と原田秀昭副社長が説明を聞く姿も 顔認証技術はJDAとの協業の取り組みのひとつ。来客者の統計分析でマーケティングに活用する用途や、工場での人員配置の最適化などに利用する パナソニック傘下のZetesのソリューションも展示していた すでにパーガーキングなどに導入されている店舗内オーダーシステム JDAブースでは、パナソニックとの協業について発表した JDAは、VRを利用した店舗の運用管理ソリューションをデモ 富士通のスマートフィッティングルーム。試着してサイズが合わなかった場合などにはデバイスを通じて伝えると、店員が持つスマートウオッチなどに情報が伝わり、持ってきてくれる AIを活用して年齢を推測。それによって、アルコールの販売などに活用する。手のひら静脈認証での決済機能も搭載している RFIDを利用してカートのなかに入った商品を一括で決済できる 気分が変わって商品をかごから取り出すと、ひとつ減ったことを認識する RFIDの単価は40セント程度。よりコストダウンが求められる スマホを使ってディスプレイに商品を表示するソリューション スマホで選択すると服やアクセサリーの価格が表示される NECブースで台湾のセブン-イレブンの無人店舗の事例などを紹介 画像認識技術を活用して顧客の来店履歴をとらえた提案も行う どの製品に注目が集まっているのかを視線から分析する 東芝が展示したオールインワンPOSシステム「TCx800」と「TCxプリンタ」 センサーとともに、forcalの上部にはカメラが設置されている カメラなどを活用して、展示棚から商品を持ち出すだけで自動決済する エプソンは小型プリンタを展示。POS端末との連動利用を訴求していた