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Oracle Autonomous Databaseは自己稼働、自己保護、自己修復の機能を持つ自律型データベース――、オラクルが説明会を開催

 日本オラクル株式会社は3日、米Oracle データベースサーバー技術担当エグゼクティブ バイスプレジデント、アンドリュー・メンデルソン氏の来日に伴う記者会見を開催し、「Oracle Autonomous Database」の最新情報について説明した。

 メンデルソン氏は、「Oracle Autonomous Databaseは世界唯一の自律型データベースであり、自己稼働、自己保護、自己修復を行うことで、これまで人手がかかっていたところを自動化できる。アプリケーション開発には人手が必要だが、データベースとインフラには人手をかけなくて済むようになる」と、その特徴を説明。

 そして、「これは、Exadataというユニークなハードウェアを持っていること、データベースの進化において、自動化機能を新たなリリースの発表ごとに進化させてきたこと、そしてAIの活用においても、長年にわたってアルゴリズムを開発してきたことによって、Oracle Autonomous Databaseが実現した」と話した。

米Oracle データベースサーバー技術担当エグゼクティブバイスプレジデントのアンドリュー・メンデルソン氏

自己稼働、自己保護、自己修復の機能を持つ自律型データベース

 そのOracle Autonomous Databaseは、2018年3月に提供を開始したOracle Autonomous Data Warehouseと、2018年8月に提供開始したOracle Autonomous Transaction Processingで構成される。

 データベースとインフラの管理や監視、チューニングを自動化する「自己稼働」、外部からの攻撃と悪意を持った内部ユーザーの両方から保護する「自己保護」、計画停止を含むすべてのダウンタイムから保護する「自己修復」機能を備えており、パッチ適用やチューニング、アップグレードなどの重要管理プロセスを自動化。機械学習を活用し、優れた可用性や高パフォーマンス、セキュリティ強化を従来よりも低コストで実現できるのが特徴だ。

CIOにとってのOracle Autonomous Database
Oracle Autonomous Databaseの機械学習

 「自動運転車の購入の際には目的や大きさを考えるように、Autonomous Databaseも、まずは目的や性能などを考えなくてはならない。だが、支払い方法は従量制を導入している分だけ、自動運転車よりもAutonomous Databaseの方が進化している。また利用シーンでは、99.995%の可用性や、オンラインによるセキュリティパッチの適用、ビジネスにあわせて自動的にサイズを拡大できるといった点で、自動運転車とは異なる」などと説明。「CIOにとっては、自己稼働によるコスト削減、自動保護および自己修復でのリスク削減を提供できる。パッチの適用を含む月間ダウンタイムは2.5分未満にとどめることができる」とした。

自動運転車の定義
自動運転車とOracle Autonomous Databaseの比較:入手方法
自動運転車とOracle Autonomous Databaseの比較:利用

 構成要素のうち、Oracle Autonomous Data Warehouseは、データ分析ワークロードに最適化し、プロビジョニングやデータロード、クエリ実行までが簡単にでき、複雑なSQLを最適化できるのが特徴だ。

 「Oracle Autonomous Data Warehouseはアナリティクスに最適化したものであり、クエリを高速に実行できるほか、利用しない週末にはオフにするといった高い伸縮性や柔軟性もあり、コスト削減につなげられる。ビッグデータ管理やデータサイエンティスト向けの機械学習も提供できるようにしている。2019年初めには、自動パーティショニングによるローリングウィンドウ管理を、来年度には最小/最大OCPU設定による自動拡張ができるようになる」とした。

Oracle Autonomous Data Warehouse

 すでに導入している企業のなかではスタートアップ企業の方が目立つが、徐々に大手企業での導入が始まっているという。「Oracle Autonomous Data Warehouseは、日本でも多くの企業で試験導入が始まっており、近いうちに事例を紹介できるだろう」とした。

 メンデルソン氏が導入事例としてあげたQLX.COMでは、プロスポーツリーグやチームに対するデータ分析サービスを提供しているが、データロードを4倍に高速化して顧客の嗜好分析を短時間に実施。さらに、シーズンチケットの更新顧客層を予測するといった分析により、顧客の個人消費の50%増を達成したという。

主要なユースケース
QLX.COMの採用事例

 一方、Oracle Autonomous Transaction Processingは、トランザクション処理と混合ワークロードに最適化したものであり、Exadataを基盤として提供する。新規データベース構築だけでなく、既存データベースからの移行が容易であり、部門向けやミッションクリティカルアプリケーション、混合ワークロードの実現、アプリケーション開発といった用途が中心になっているという。

Oracle Autonomous Transaction Processing
主要なユースケース

 「大手企業などからは専用のインフラサービスを提供してほしいという声があり、今後は、パブリッククラウド内に分離したプライベートクラウドを構築するサービスを提供する。また、99.995%のSLAを提供するほか、顧客のデータセンターでの活用が行えるCloud at Customerも提供予定だ」と語った。

 さらに、一般的なワークロードに対する自動索引作成、オンラインでの自動的な拡張/縮退機能も提供することになるという。「自動索引作成は、誰も知らないような近道を使って短時間にゴールに到達するようなものである」などと表現した。

提供予定の機能
自動索引作成

クラウド市場で優位性を持つOracle

 またメンデルソン氏は、「業界ではSaaSへの注目が集まり、エンタープライズクラウドへシフトするなか、Oracleは良いポジションにいると考えている。世界の経済活動を実現するデータのほとんどを管理、保護しているからだ」と指摘。

 「企業は、インフラはどこがベストなのか、高い演算能力を提供しているのはどこかということに注目しているが、本質的にはデータを中心に考えなくてはならない。顧客がデータを活用でき、分析しなくてはならない。Oracle Cloud Data Management Visionは、すべてのデータに対してあらゆる分析を実行することを目指している。Oracleは、世界中のデータを管理および保護し、価値をもたらすことにある」と述べ、Oracleのクラウド市場での優位性を訴えてみせた。

業界はエンタープライズクラウドへシフト
Oracle Cloud Data Management Vision

 また、「Oracleは、もともとデータベースをやってきた経緯がある。その経験から、さまざまなクエリにも、ひとつのデータベースに対応できるようにしてきた。だが、AWSは専用のクエリに対応してデータベースを構築するということが中心であり、データベースに連携が取れず、開発者にとっては工数がかかる環境を作り出している。クラウドネイティブが良いという言葉はマーケティング上の言葉であり、どちらが本当に最適なのかということを見てほしい」と話している。

 まとめとして、メンデルソン氏は「Oracle Autonomous Databaseは、CIOにとってはコストとリスクを低減でき、開発者にとってはアプリケーションの拡張と強化を加速できる。そしてDBAに対しては、ビジネスに対して価値を高める仕事に集中することができるようになる。DBAにとって、パッチを当てるという仕事は、知的な作業でもなく、面白くない仕事である。手間がかかる仕事から手離れができ、収益をあげる仕事にシフトできる」などとしたほか、「Oracle Autonomous Databaseは、競合他社よりもかなり先を行っていると考えているが、今後も5年、10年をかけて進化させていくことになる」と述べた。

Oracle Autonomous Databaseは自己稼働、自己保護、自己修復を実現するクラウドサービス