ニュース

京王百貨店、戦略的情報活用基盤を「Oracle Autonomous Data Warehouse」で刷新

 日本オラクル株式会社と株式会社アシストは16日、株式会社京王百貨店が、全社的な戦略的情報活用基盤を刷新するにあたり、クラウドサービス基盤「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」で提供されるクラウドデータウェアハウス(DWH)「Oracle Autonomous Data Warehouse」を導入したと発表した。

 京王百貨店では、基幹システム老朽化や、レギュレーションへの対応、環境変化への対応を主軸として、レガシーシステム脱却を図る一方、戦略的情報活用基盤の刷新にも取り組んでおり、百貨店および関連サービスの運営を支える商品管理、販売管理などの情報管理を担う基幹システムおよびデータ分析基盤の集約を行っているという。

 さらに従来のシステムでは、テンプレートの制約によって項目変更、分析範囲、更新のタイミングなどのさまざまな利用制限があり、データの増加に伴う性能劣化対策のためのチューニングや、バックアップなどの作業によって、担当者の運用負荷が増大している点も課題だったとのこと。

 そこで京王百貨店は、2019年10月にデータソースとなるERPの刷新を行った際に、Oracle Autonomous Data Warehouseをエンタープライズウェアハウスに位置づけ、OCI上に移行した既存のBIツールと連携させた「Keio Department Store Data Lake(KDSDL)」の稼働を開始した。これにより、数千万件におよぶ大量のデータを数秒で処理できる高速な集計、応答性能を低コストで実現した。

 Oracle Autonomous Data Warehouseでは、自律機能により管理や拡張、監視、チューニング、バックアップがすべて自動化されているため、データが増加してもデータベース管理者によるチューニングが不要であり、常に最適なデータベース性能を維持しながら、システム管理者の負担を軽減できたという。

 また、店頭POSからの全取引明細データをリアルタイムに受信し、店舗や売り場といった管理レベルの集計をほぼリアルタイムに行えるようになったため、店舗におけるタイムリーな情報把握を実現している。

 なお、今回の戦略的情報活用基盤の刷新では、Oracle Partner Network(OPN)パートナーのアシストが提供する「Oracle Cloud環境構築支援サービス」、日本オラクルのコンサルティング部門が提供する「Rapid Start Service for Autonomous Data Warehouse Cloud」を組み合わせ、約1カ月での短期構築および導入展開を実現した。

 具体的な役割としては、アシストが、クラウド環境設計、構築、Oracle Cloud Infrastructure FastConnectによる専用線接続およびクラウド環境運用の支援を、日本オラクルのコンサルティング部門が、既存のBIツールとOracle Autonomous Data Warehouseの連携、データ移行を担当している。

 こうした一連の実績を踏まえ、京王百貨店では、ネット受注の配送連携強化を図るため、お中元やお歳暮時の店頭ギフト受注を一元管理するギフト配送システムを、ギフトシステムと配送システムに分離したシステムに刷新し、OCI上の「Oracle Database Cloud Service」で稼働させた。

 それらのデータは、全社員が利用可能なOracle Autonomous Data Warehouse上の「KDSDL」に集積され、ネット受注の配送統合や、バイヤーによるギフト購入のトレンド分析、人気商品の在庫切れの予防への活用など、商戦機会の最大化に活用されているとのことだ。