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日本オラクル、自律型データベースクラウド「Oracle Autonomous Database Cloud」を提供
第1弾はデータウェアハウスクラウド
2018年4月20日 06:00
日本オラクル株式会社は19日、「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud」の国内提供を開始すると発表した。機械学習を用いた自律型データベースクラウド「Oracle Autonomous Database Cloud」で提供される、最初のサービスに位置付けられる。
「これは、Oracle Databaseにおける、約40年にわたる経験とテクノロジーを最大限に活用した、新たなデータベースへの進化となる。今回のサービスは、当社のIaaSおよびPaaSにおいて、フラッグシップになるものであり、これによって、企業のデータベースサービスの活用に変革をもたらすことになる」(日本オラクル 執行役員 クラウドソリューション営業統括の竹爪慎治氏)とした。
また、日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括Cloud Platformビジネス推進本部本部長の佐藤裕之氏は、「データ活用における課題は、人手による管理が多く、複雑で、高コスト化、構築に時間がかかるといったように、複雑性や手間が指摘されている。しかしクラウド自身が管理を行う“自律化”によって、一般的なタスクの排除、人手の削減、コストの削減、エラーの削減が可能になる」と述べた。
また第2弾としては、2018年夏を目標に、より広範囲なワークロードに対応する「Oracle Autonomous OLTP Database Cloud」の提供を開始することを明らかにした。
Oracle Autonomous Data Warehouse Cloudの特徴
Oracle Autonomous Data Warehouse Cloudでは、Oracle Databaseが持つ分析機能やセキュリティ機能などのメリットを活用しながら、複雑な設定やチューニング、管理を自動化。ウェアハウスのワークロードやデータ量の変化にも動的に対応し、ダウンタイムなしで利用することが可能だという。
また、簡単な管理および運用性、高いパフォーマンスや柔軟性によって、ユーザー企業の生産性向上、リスク低減、およびコスト削減を実現。部門レベルのデータ分析用途からエンタープライズ規模のデータウェアハウスまで幅広く対応し、初期費用なしで、自動的にチューニングされた高度なデータウェアハウスをすぐに利用できるとした。
具体的な特徴は以下の3つだ。
1)データベースのプロビジョニングや保護、モニタリング、バックアップ、復旧、トラブルシューティング、チューニングを、人手を介さずに実行する「自動管理(Self-managing)」
2)外部からの攻撃や悪意のある内部ユーザーからデータを保護し、ダウンタイムなしでセキュリティパッチを自動適用して、すべてのデータを自動的に暗号化する「自動保護(Self-securing)」
3)最大99.995%のSLAを実現し、計画メンテナンスを含む1か月あたりのダウンタイムは2.5分以内にでき、あらゆる計画的、非計画的のダウンタイムから自動的に保護する「自動修復(Self-repairing)」
「Oracle Database 18cやExadataなどにおいて提供されてきた自動化された多くのデータベース機能を組み合わせて、さらに進化させたものであり、セルフドライビングオートメーションに注力し、統一した標準プラットフォームとして提供できるOracle Cloud Infrastructure、自動化された管理環境を実現できる機械学習に基づいたポリシーベースの自動化を実現でき、迅速に、信頼性が高いデータウェアハウスを構築する『簡単』、自動的に性能を最適化して、大規模アクセスにも対応できる『高速』、従量課金で動的にサイズを拡張可能な『柔軟』の3つの特徴を提供できる」(佐藤本部長)。
具体的には、業界初となるワンステップの「ウェアハウスプロビジョニング」により、簡単な設定で、自動バックアップや暗号化、パッチ適用、高可用性に対応するアーキテクチャを搭載したセキュアなデータベースの構築および利用を可能にしたほか、オンプレミスの既存データベースとの互換性を備えていることから、クラウドへの移行も容易になるという。チューニングなどのデータ管理にも人手をかけることがなく、データベースアーキテクトの工数を削減するという。
また、自動的に性能を最適化。「Oracle Exadata」のテクノロジーによる業界トップレベルのクエリ性能で、大規模な同時アクセスにも対応し、高いコストパフォーマンスを実現。さらに、コンピューティングとストレージのサイズを、それぞれ別々に、動的に拡張および縮小が可能で、ピーク時にはリソースを増やし、不要なときには停止するといった柔軟なリソース変更が可能になっている。
「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloudの先行活用では、既存のオンプレミスのデータベースに比べて、検索処理時間は約10分の1に、SQLチューニング工数では約20分の1となっており、自動チューニングの効果が実証されている。初期投資不要、従量課金というクラウドサービスの活用メリットを最大限にし、運用、管理を含めた大幅なコスト削減を実現する。既存のライセンスを持ち込むことができる仕組みによって、導入しやすい価格設定を可能にしている」(佐藤本部長)とし、「TCOという観点では、AWSに比べて、5~8倍の競争力がある」(竹爪執行役員)と意欲をみせた。
価格は、「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud - Extreme Performance Edition」が、ライセンス持ち込み(BYOL)ありが、1OCPU/時間で38.667円から、ライセンス持ち込みなしでは、同201.333円から。
「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud - Exadata Storage」は、1TB/月で、1万7760円からとなっている。
「今後、データ管理の自律化、アプリ開発の自律化、対話の自律化、連携の自律化、データ分析の自律化、セキュリティ・運用管理の自律化を進め、顧客の負荷を低減するとともに、性能、セキュリティを強化。より包括的なプラットフォームに進化させていく」(日本オラクルの竹爪執行役員)とした。
同社では、既存のデータベース顧客に向けた移行支援策として、早期導入を支援する「アリーアダプタープログラム」や、30日間の無料評価がてきる「カスタマーテストドライブ」といった施策を国内市場向けに用意。パートナーとのソリューション連携や先行評価支援、技術情報の共有なども行っていく。
日本でのパートナーとして、アシスト、伊藤忠テクノソリューションズ、SCSK、NTTデータ先端技術、クロスキャット、ジール、新日鉄住金ソリューションズ、TIS、東芝デジタルソリューョン、NEC、日立製作所、富士通、富士通北陸システムズが参加する。
日本オラクルの竹爪執行役員は、「日本オラクルは、クラウド戦略において、サービスとして提供する『データ』、『イノベーション』、活用を支援する『専門性』、『知識』という4つの観点から力を注いでいる。国内データセンターの設置や、ストレージやネットワークのパフォーマンスまでを担保するエンタープライズレベルのSLAの提供、既存ライセンスの活用などの柔軟な価格モデルを提供する『クラウド基盤』、200人の営業体制の強化、Oracle Digital Hub Tokyoなどの『専門性・知見の向上』とともに、顧客のクラウド活用を促進する新たなイネーブラーとして提供するサービスプラットフォームの『Oracle Autonomous Data』によって、お客さまのクラウド活用をさらに促進し、データドリブン経営およびイノベーションの実現を支援していくことになる」と、日本における基本戦略について語った。
また、「データベースが自律化することで、情報システム部門や運用アウトソーシングの企業の仕事を奪うのではないかという声が出ることを想定していたが、自律化でカバーしている部分は、手をかけたくない、そこまで手が回らない、といったところをカバーするものとして評価されている。(これによりIT部門は)ビジネスとして高い価値を得られるところにフォーカスしたり、イノベーティブにな部分に注力できるようになる」などと述べた。