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日商エレ、RPAおよびAI-OCR分野でRPAテクノロジーズとABBYYジャパンと協業
ロボットを労働力にするデジタルレイバーサービスを提供
2018年2月6日 06:00
日商エレクトロニクス株式会社(以下、日商エレ)は5日、RPAテクノロジーズ株式会社およびABBYYジャパン株式会社との協業を開始し、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とAI-OCR(AI技術を活用した光学文字認識)分野におけるサービスを提供すると発表した。
同日に行われた共同発表会では、協業の狙いや、RPAとAI-OCRを組み合わせた新たなデジタルレイバーサービスの概要について説明した。
日商エレでは今回、RPAで国内トップシェアの実績を持つのRPAテクノロジーズと、AI-OCRのグローバル・リーディングカンパニーであるABBYYジャパンと販売代理店契約を締結。RPAとAI-OCRによって産み出されるソフトウェアのロボットを、労働力(デジタルレイバー)として安全に戦力化させるデジタルレイバーサービスを本格展開する。
日商エレ 代表取締役社長の岡村昌一氏は、RPAとAI-OCR分野における協業展開の背景について、「当社は今年1月に双日システムズとの合併を完了し、従来のICTインフラソリューションに加えて、基幹システムの開発と運用力を強化。企業向けビジネスへの転換を図っている。その新たな取り組みの中で、大きな関心を寄せているのがRPA/AIソリューションだ。今回、RPAとAI-OCR分野のそれぞれ国内トップランナーである、RPAテクノロジーズとABBYYジャパンとの協業により、これまで自社で活用してきたRPAツールとAI-OCRツールのノウハウや経験を生かし、顧客にデジタルレイバーサービスを提供していく」と述べた。
各分野での取り組みとしては、RPA分野においては、RPAテクノロジーズが展開する「BizRobo!」シリーズの「Basic Robo!」に加え、同分野の世界的企業であるBlue Prism製品の取り扱いを開始する。
RPAテクノロジーズ 代表取締役社長の大角暢之氏は、「当社はRPA分野で約10年の実績があり、2016年には日本RPA協会を設立し、単なるRPAツールの販売ではなく、デジタルレイバーの普及促進に取り組んでいる。今回の日商エレとの協業では、こうした当社のビジョンについても共有しながら、RPAをブームで終わらせないよう、デジタルレイバーのスケール&高度化を推進し、個人も組織も自己実現できる仕事環境への進化を加速させていきたい」との考えを示した。
AI-OCR分野においては、ABBYYジャパンが取り扱うAIをベースとした次世代文書処理ソフトウェア「ABBYY FlexiCapture」と、その関連製品の取り扱いを開始する。ABBYYジャパン 日本統括シニアディレクターの小原洋氏は、「当社は、200カ国を超える国々で500以上のパートナーとビジネスを展開しており、現在、世界で5000万のユーザーがABBYY製品を利用している。また、世界各国の業界リーダーや政府機関がABBYY製品を活用し、デジタル変革を実現している。その中で今回、日商エレと協業することで、同社の金融業界における豊富な実績をベースに日本市場での販売チャネル拡大を図る。また、日商エレのトータルサポートによる総合力を生かしたソリューション展開を推進するとともに、RPAテクノロジーとの技術協業の可能性も模索していく」とした。
今回の協業により日商エレが展開するデジタルレイバーサービスは、「デジタルレイバーコンサルティングサービス」「RPA・AI-OCRインテグレーションサービス」「ロボットファクトリーサービス(人材派遣)」「RPA教育サービス」「ロボットメンテナンスサービス」(4月リリース予定)の5つとなる。
日商エレ ビジネスソリューション事業本部 企画開発室 室長の青木俊氏は、「これらのデジタルレイバーサービスでは、実際に当社自身が『Basic Robo!』と『ABBYY FlexiCapture』のユーザーとなり、実体験を通じたノウハウを提供する。また、RPAで作成したデジタルレイバーの運用管理をサービス化していることに加え、エンジニアの育成により、デジタルレイバーに関する技術ノウハウまでワンストップで提供する」と、サービスの特徴を説明した。
各サービスの具体的な内容は、「デジタルレイバーコンサルティングサービス」では、ヒトとデジタルレイバーが一緒に働ける環境を実現するためのノウハウを提供。RPA化、AI-OCRの業務適応可否判断や、デジタルレイバーの活用を前提とした業務の再設計、運用ルールの整備(ガイドライン策定)を支援する。
「RPA・AI-OCRインテグレーションサービス」は、顧客のニーズに合わせ、最適なソリューションを組み上げるマルチプロダクトのシステムインテグレーションサービス。各種RPAツールとAI-OCRの連携をインフラ設計と合わせて提供する。
「ロボットファクトリーサービス(人材派遣)」では、ロボット製作のスキルを持った人材を顧客先に派遣し、顧客サイトでロボット製作、AI-OCRの導入支援を提供する。また、業務委託として顧客からロボット製作を支援するメニューも用意している。
「RPA教育サービス」は、顧客自身がRPAを利用したロボット製作をするための教育サービス。また、AI-OCRを利用した非定型帳票の読み取りなどについてのトレーニングも提供する。
「ロボットメンテナンスサービス」は、エラー検知によるロボットの故障を通知するとともに、ロボットの仕事内容を管理するサービスを提供する。
なお、日商エレ社内におけるデジタルレイバーサービスの試験運用では、それまで年間400時間ほど要していた請求書のチェック作業を、RPAとAI-OCRを活用することで自動化し、社員の業務時間を約90%削減したという。また、業務の自動化にあたり、作成されたロボットを労働力(デジタルレイバー)と見なし、運用ルールのガイドライン制定やロボットの台帳管理、エラー検知などを行う管理体制の整備にも取り組んでいる。
日商エレでは、デジタルレイバーコンサルタントを中心とした専門チームを発足し、RPAとAI-OCRを活用したデジタルレイバーサービスを初年度20社に導入することを目指す。