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AWSジャパン長崎社長が示した、クラウド移行を成功させる5つのガイド
AWS Summit Tokyo 2018 基調講演レポート
2018年6月11日 06:00
「AWS Summitはただのテクノロジーカンファレンスではない。参加された皆さんがこの3日間でひとつでも多くのものを持ち帰ってほしい」――。
5月30日、東京・品川で開催された「AWS Summit Tokyo 2018」(会期:5/30~6/1)のオープニングキーノートの冒頭で、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWSジャパン) 代表取締役社長 長崎忠雄氏は、2万5000人の参加者に向かってこう語りかけた。
グローバルの2018年度第1四半期の収益は210億ドル、前年度比で49%もの成長を続けるAWSだが、日本法人であるAWSジャパンも負けてはいない。日本での顧客数は10万を超え、2018年1月には、グローバルでも初となるローカルリージョンを大阪に開設した。
年内には4つめとなるアベイラビリティゾーン(AZ)が、東京リージョン内にローンチする。日本のAWSユーザーの声は、確実にグローバルを動かしている。
だが、クラウド移行を成功させた企業が国内において増える一方で、レガシーに苦しみ、オンプレミスから何も動かすことができない企業はいまだに多く存在する。
ここ1、2年、クラウド移行をあらわす言葉として「リフト&シフト(Lift & Shift)」――、つまり、既存のオンプレミスの基盤をクラウドに上げて(Lift)、その後にクラウドに適した環境へと進化させていく(Shift)手法について語られるケースが増えているが、クラウドのメリットを理解しないままにリフト&シフトに手を付けてしまっている企業も少なくない。
「過去10年以上にわたってクラウドのトップランナーとして走ってきたAWSが、お客さまに対して支援してきたクラウド移行のノウハウを共有したい」――。
本稿では、日本法人のトップとして多くの国内企業のクラウド移行にかかわってきた長崎社長がキーノートで示した“クラウド移行を成功させる5つのガイド”について紹介したい。
AWS Well-Architected
1.AWS Well-Architected
クラウドの正しい設計概念を届け、アーキテクチャの最適化を行う
AWSには、クラウドの設計概念を、以下に挙げる5つの柱で構成した「AWS Well-Architected」というフレームワークが用意されている。
運用性
変更の管理と自動化、イベントへの対応、日常業務管理の標準化
セキュリティ
データの機密性と整合性、権限管理、システムの保護、セキュリティイベントの検出とその制御の確立
信頼性
障害防止の設定、プロジェクト間の要件、復旧計画、変更への対処
パフォーマンス
ワークロードに適したリソースタイプやサイズの選択、パフォーマンスモニタリング、ビジネスニーズの進展と効率の維持
不要なコストの回避
費用が発生する個所の把握と管理、最適なリソースタイプの選択、時間経過に伴う分析、ビジネスニーズに応じたスケーリング
クラウド移行を検討するユーザーは、自分が描いていたアーキテクチャやワークロードをAWS Well-Architectedと比較することで、効率的なクラウド活用に近づくことが可能となる。
特に重要となるのは「3年後、5年後にスケールする基盤を整える」(長崎社長)という考え方で、クラウドならではのメリットを享受するには、たとえ最初は単なる“リフト”であっても、このスケール感を最初からイメージしておくことが望ましい。
AWS Well-Architectedにはこれらの5つの柱に関するベストプラクティスが詰まっており、文字通り「クラウドならではの適切な設計」に触れることができる。AWS Well-Architectedを活用した国内ユーザーの例として、長崎社長はナビタイムジャパンを紹介しており、効率的なクラウド活用が実現しているとしている。