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50社超が参加してAIエージェント標準化推進 技術的疑問と対中競争の狭間で

 オープンソースを推進する非営利団体Linux Foundationが、AIエージェントインフラを専門とした新組織「Agentic AI Foundation(AAIF)」を設立した。Anthropicの「MCP」、Blockの「goose」、OpenAIの「AGENTS.md」の3つの主要プロジェクトが寄贈され、AIエージェント時代の基盤技術の標準化を目指す。しかし、開発コミュニティの技術的成熟度への疑問は根強く、背後には地政学的な思惑も指摘されている。

主要3プロジェクトを擁するAAIF

 12月9日に設立が発表されたAgentic AI Foundation(AAIF)には、創設メンバーとして参加したAnthropic、Block、OpenAIが、それぞれ開発してきた3つのプロジェクトを寄贈した。

 MCP(Model Context Protocol)は、AIモデルを外部のツール、データ、アプリケーションと接続するための標準インターフェースを提供する。「AIのためのUSB-Cポート」として知られ、スマートフォンに周辺機器を接続するように、MCPはあらゆる外部サービスをAIモデルと連携させることができる。

 2024年11月のオープンソース化から1年で1万超のMCPサーバーが公開され、ChatGPTやCursor、Geminiなど主要なAIサービスに採用された。Anthropicの最高製品責任者Mike Krieger氏は「内部プロジェクトとして始まったMCPが、1年でAIシステムをデータやツールに接続する業界標準になった」とその勢いを語る。

 gooseは、フィンテック企業のBlockが開発したエンジニアリング用のAIエージェントフレームワークで、ソフトウェア開発における反復作業、コード修正、テスト作成、デバッグなどを自動化する。Twitterの共同創業者で、Blockのトップを務めるJack Dorsey氏が社内ツールとして開発を指示したものがベースだという。

 AGENTS.mdは、OpenAIが2025年8月にリリースしたAIエージェント向けのドキュメントフォーマットで、コーディング規約、ビルド手順、テスト要件などプロジェクト固有の指示をエージェントに提供する。リリースから4カ月で6万以上のオープンソースプロジェクトやエージェントフレームワークに採用された。

 3つのプロジェクトは、それぞれAIエージェントの「接続プラグイン(MCP)」「実行環境(goose)」「指示書(AGENTS.md)」という役割を担う。AAIFには、AWS、Microsoft、Google、Bloombergなど大手テック企業を含む50社以上が参加している。