ニュース
生産性向上はハッピーな職場から――、AWSジャパンが新オフィスを公開
10/1オープンの「AWS Loft Tokyo」も
2018年9月21日 06:00
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社(以下、AWSジャパン)は19日、同社の新オフィスとなる「Amazon 目黒セントラルスクエア」のオープニングにあたり、報道陣向けに一部フロアを公開した。
AWSジャパン 代表取締役社長 長崎忠雄氏は、「日本法人として9年目を迎え、さまざまな日本のワークロードがAWS上で動くようになったことで、少なからず日本のイノベーションに貢献できたと思っている。そうした時期に国内で3拠点目となる新オフィスを構えられたことは非常にうれしい。定規で線を引いたような画一的なスペースではなく、フリーアドレスや流線型のデザインなどを取り入れ、世界中のさまざま人々が心地よく働ける場所であるとともに、スピード感のある意思決定をもたらす場所を目指した。ここからまた新たなイノベーション、新たな付加価値を生み出していきたい」とあいさつした。
JR目黒駅の正面に建つAmazon 目黒セントラルスクエアの17階から27階には、AWSジャパンのほか、AmazonプライムビデオやAmazonデバイスなどアマゾンジャパンの一部の事業が入居する。
オープニングのあいさつを行ったアマゾンジャパン 社長 ジャスパー・チャン氏は「アマゾンジャパンの立ち上げメンバーのひとりとして、当初は100名程度だった社員が現在は6000名を超え、この新しいオフィスのオープンを迎えられて非常に感慨深い。Amazonのビジョンは“地球上でもっとも顧客を大切にする企業”だが、同時に世界中のAmazonの社員“アマゾニア”の身体と心のケアにも力を入れている。日本のアマゾニアもさらに1000名ほど増やす予定で、さらにテクノロジや人材に投資し、Amazonにとってもっとも重要な市場のひとつである日本の顧客とともに、このオフィスを起点として成長を遂げていきたい」と、新オフィスオープンを契機にさらなる成長を目指していくことを明言している。
新オフィスはすべてフリーアドレス制で、従業員はフロア入り口のロッカーに私物を入れた後、その日の気分や業務に合わせて自由な席を選ぶことができる。いすやテーブルなどは「その場の空気にゆらぎをもたらすような」(長崎社長)流線型のデザインが多用されており、壁にはその場でアイデアを書きとどめられるよう、ホワイトボードが随所に配置されている。
また、アフリカや南米など世界中から集められた600種以上の植物がフロアの至るところに配置されており、“人間と自然と空間のバランス”を重視したフロア設計がなされている。
「フリーアドレスにすることにより自然発生的に会話が生まれ、ミーティングが生まれる。それが新しい付加価値の提供につながる。人は快適な環境にいると、もっと力を出すことができる。生産性の向上はハッピーな職場から生まれると証明したい」(長崎社長)。
アマゾンジャパン、AWSジャパンともに、そこで働く従業員は日本人だけではなく、世界各国からさまざまなバックグラウンドをもつスタッフが集まってくる。そのため、新オフィスでは国籍や宗教、性別などの多様性に配慮した設計がなされていることも大きな特徴だ。ジェンダーフリーのトイレや礼拝室、授乳室などが用意されているほか、カフェテリアで出される食事なども多様性を意識したメニューが並ぶ。
また、従業員の心身の健康をサポートするため、産業医の常駐、マッサージルームや仮眠室、ヨガスペース、シャワールームも用意されている。
さらに、「仕事が終わってからもいいアイデアが出てくるように」(長崎社長)、就業後のクラブ活動や休憩時間を楽しく過ごすためのサポートも充実しており、例えばカフェテリアのテーブルには世界各国のボードゲームが用意されているほか、楽器を演奏するための防音室なども併設されている。
なお、Amazon 目黒セントラルスクエアには、10月1日からAWSにとって世界3番目のスタートアップ支援の拠点となる「AWS Loft Tokyo」、ならびに顧客のデジタルイノベーションへの取り組みをサポートする「AWS Digital Innovation Labs」もオープンするが、正式オープンに先駆けたお披露目も同日に行われた。
特にAWS Loft Tokyoは米国以外では初めてのLoftであり、注目度も高いコワーキングスペースだ。AWSのアカウントをもっているユーザーなら、誰でも予約なしでLoftを利用することができる(一部のサービスは要予約)。
AWSジャパン スタートアップ事業開発部 プリンシパルマネージャ 畑浩史氏は、「AWSにとってのスタートアップ支援は、創業時からの重要なミッションであり、われわれにとってはごくあたりまえのこと。その支援の拠点となるAWS Loftを米国以外で初めて構えることができたのは、日本の開発者のスキルの高さをAWSが認めたことも大きな要因。“CODE HAPPY”を掲げ、日本のスタートアップを物理的に支援していくハブとして機能させていきたい」と、新たなスタートアップ支援の拠点となるLoftへの期待を強調する。
*****
新オフィスとなるAmazon 目黒セントラルスクエアのオープニングには3名の来賓が駆けつけ、祝辞を贈っている。
以下、その概要を紹介する。
衆議院議員 自民党 広報本部長 IT戦略特命委員長 平井卓也氏
このような先進的なオフィスを見ると、タバコの煙がもくもくとしている自民党のオフィスがいかにも昭和な感じに思えてくる。
古い慣習が残っているのは国も同じで、日本にはいま、「世界で一番老人の比率が高い」「社会システムが古い」という2つの大きな問題がある。特に社会システムはウォーターフォールのレガシーがずっと残っており、いまも莫大(ばくだい)な額を保守に投じながら抜けることができていない。
だが世界は“クラウドbyデフォルト”へと変わりつつあり、日本の社会システムをマイクロサービスやアジャイルが主流なシステムに変えていく必要がある。早ければ次の国会にも「デジタルファースト法案」を提出し、調達の仕組みを完全に変えたいと思っている。
AWSは日本政府も使っており、デジタル化とグローバル化を進め、国民をハッピーにするために、ともに大きな変化にチャレンジしていきたい。
メルカリ / メルペイ プリンシパルエンジニア・マネージャー 高橋三徳氏
日本のスタートアップが成長するためにはいくつかのノウハウがあって、例えばテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」に取り上げられるとアクセスが急に増え、サーバーが落ちるという現象がスタートアップにとっては大きな鬼門だったが、これをAWSでどう回避するか、というガイドラインをわれわれで共有してきた。
このようにAWSが開発者に寄り添い、定期的なイベントを開催したり、ノウハウを共有できる仕組みを作り上げたりしてくれたからこそ、日本のスタートアップは成長することができた。
スタートアップのサービスはクラウドが前提であり、この新しいオフィスからまた新しいスタートアップが誕生するのではと期待している。これからも積極的なスタートアップへの支援をお願いしたい。
NPO法人 Kids' Door 理事長 渡辺由美子氏
日本では現在、約7人に1人の子供が貧困状況にあるが、すべての子供が成長できる社会の実現を目指すのがKid's Doorの理念。特に2020年にプログラミングが必修科目になると、デバイスを購入できない貧困状況の子供たちにとっては、学習することが難しくなる。経済格差がそのまま教育格差につながらないように、子供たちが学習に興味をもつようなデジタル教育環境をAWSやアマゾンジャパンとともに作っていきたい。
アマゾンジャパンからはデバイスの寄付や社員の方によるボランティアなど、多くの支援をいただいてきたが今回、また新たな寄付をいただき、心から感謝している。