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AWSジャパン、NVMeが利用可能な新インスタンスなど、「AWS Summit New York」でのアップデートを発表

 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は26日、米国ニューヨークで開催された「AWS Summit New York」(7/16~7/17)でアナウンスされた新サービスを中心に、アップデートを発表した。

顧客の声を反映したアップデート

 AWS Summit New Yorkで発表されたアップデートの概要は以下の通り。

 なお、説明を行ったAWSジャパン 技術統括本部 エンタープライズソリューション本部 瀧澤与一氏は、今回のアップデートについて「新しいEC2インスタンスをはじめ、日本のお客さまにも喜んでもらえる内容が多い」と語り、顧客のフィードバックをベースにしたアップデートである点を強調している。

AWSジャパン 技術統括本部 エンタープライズソリューション本部 瀧澤与一氏

Amazon Translate

 高速かつ高品質な言語翻訳を提供するマネージドな翻訳APIサービス「Amazon Translate」がサポートする言語として、新たに日本語、ロシア語、イタリア語、繁体字中国語、トルコ語、チェコ語が追加。さらに2018年後半にはデンマーク語、オランダ語、フィンランド語、ヘブライ語。ポーランド語、スウェーデン語のサポートが追加予定。

 利用可能なリージョンは、バージニア、オハイオ、オレゴン、アイルランド、およびAWS GovCloud(米国連邦政府専用リージョン)の5リージョン。「Amazon Comprehend」などほかのAIマネージドサービスと組み合わせることにより、ソーシャルネットワーク分析、コンタクトセンターなどで活用できる、多言語対応の翻訳アプリケーションを容易に構築できる。最初の12カ月は毎月200万文字の利用が無料、それ以降は100万文字あたり15ドル。

Amazon Translateを使って英語から日本語に変換しているところ。日本語ネイティブが読んでも不自然さが少ない変換がなされている
Amazon TranslateなどAWSのサービスを組み合わせたテキスト解析の例

Amazon EC2 On AWS Snowball Edge

 データ移行とエッジコンピューティングに特化したデバイス「AWS Snowball Edge」上で動作するEC2インスタンス。「EC2の独自アプリをオンプレミスで動かしたい」という顧客のリクエストを参考に開発されたインスタンスファミリで、6つのモデルが用意されている(最大で6vCPU、メモリ32GiB)。

 クラウド上に作成したAMI(Amazon Machine Image)を、ネットワーク経由でSnowball EdgeデバイスからEC2エンドポイントを使ってコマンドラインインターフェイスを設定。その後、EC2インスタンスを起動することで、デバイス内にEC2クラウドからEC2インスタンスに接続するのと同じように、デバイス上でEC2インスタンスにアクセスできる。

 「船舶など、外部ネットワークへの接続が制限されている環境や、オンプレミスにEC2のパワーがほしいケースでの利用に向いている」(瀧澤氏)。

Amazon S3

 ストレージサービス「Amazon S3」において、データの追加(書き込み)で最大3500リクエスト/秒、データの取得(読み込み)で最大5500リクエスト/秒をサポートできるように、リクエストレートのパフォーマンスを向上、追加料金なしで処理時間を大幅に短縮可能に。

 現時点で実行しているS3アプリケーションは、変更なしでパフォーマンス向上が実現。新しいアプリケーションを構築する場合でも、パフォーマンス向上のためにカスタマイズする必要はない。

S3のリクエストレートのパフォーマンス向上例(データアナリティクスアプリケーション)。S3の容量は5TB(オブジェクトは2MB)のとき、パフォーマンスレート改善前(上)は書き込みに41分40秒、読み込みに13分52秒かかっていたが、パフォーマンスレート改善後(下)は書き込み12分、読み込み7分と劇的に速度がアップ

Amazon EC2

 3つの新インスタンスファミリ「Z1d」「R5」「R5d」が7/25から利用可能に。数字の後ろの“d”はローカルストレージにEBSではなくNVMeベースのSSDが利用できることを意味している。

EC2のラインアップに新たなインスタンスファミリが追加、ローカルストレージにNVMeを利用できるタイプも登場
Z1d

 オールコアブーストで、最大4.0GHzで動作する高性能な計算集約型インスタンス(CPU名は公開されていない)。数千コアにまたがるジョブのデプロイと高速なコアアクセスを必要とするElectronic Design Automation(EDA)やHPC、リレーショナルデータベースといったワークロード実行に最適化されている。

 全部で6つのインスタンスモデルが用意されており、最大インスタンスモデル(z1d.12xlarge)の構成は48vCPU、メモリ384GiB、ローカルストレージ(NVMe)2×900GB、帯域幅25Gbps(EBS最適化14.0Gbps)。利用可能なリージョンは、バージニア、オレゴン、ノースカリフォルニア、アイルランド、東京、シンガポール。

東京リージョンでも一般提供がはじまったZ1dインスタンス
R5

 前世代のメモリ集約型インスタンス(M2、CR1、R3、R4)をベースに設計、高性能データベース、分散型インメモリキャッシュ、インメモリ分析、ビッグデータ分析などに最適化された次世代メモリ集約型インスタンス。CPUにカスタムIntel Xeon Platinum 8000シリーズ(Skylake-SP)を搭載、Z1dと同様にオールコアのターボブーストを実装しており、最大3.1GHzで動作する。

 6種類のインスタンスモデルが用意されており、最大モデル(r5.24xlarge)の構成は96vCPU、メモリ768GiB、ネットワーク帯域幅25Gbps(EBS最適化14.0Gbps)、前世代のR4のスペックと比較するとvCPUは50%増、メモリは60%増に。利用可能なリージョンはバージニア、オハイオ、オレゴン、アイルランド。

前世代のR4に比較して大幅にスペックが向上したメモリ集約型インスタンスのR5。ローカルストレージにNVMeを利用できるR5dも用意されている
R5d

 ローカルストレージにNVMe(最大3.6TB)を利用可能なメモリ集約型インスタンス。R5と同じ性能、同じサイズで利用できる。

 また、これらの3つのインスタンスファミリはベアメタルインスタンスも利用できるようになる予定。既存のベアメタルインスタンスであるi3.metalと同様に、低レベルのハードウェア機能へのアクセスや、仮想環境ではサポートされないアプリケーションの実行も可能に。

Bring Your Own IP

 Amazon Virtual Private Cloud(VPC)に顧客が所有するグローバルIPアドレスを持ち込み、EC2、Network Load Balancer、NATゲートウェイなどのAWSリソースで利用することが可能になるサービスで、現時点では米国(オレゴンリージョン)でのプレビュー段階。グローバルIPの持ち込みが可能になることで、パートナーや顧客がホワイトリストを変更しなくても、レガシーアプリケーションをクラウドに移行することが可能になる。

 なお、説明会ではニューヨークでのアップデートのほかに

Amazon EBSスナップショットのライフサイクル管理

スナップショットの作成/保存/削除を自動化する「Amazon Data Lifecycle Manager」を開始、12時間/24時間単位でのスナップショットが作成でき、時間指定も可能

Amazon Elastic File System(EFS)の東京リージョンサポート

AWSクラウドとオンプレミスの両方で使えるシンプルでエラスティックなファイルストレージのAmazon EFSが7/25から東京リージョンで利用可能に

が新たに発表されている。

 AWS Summit New Yorkでのリリースを含め、東京リージョンをサポートするサービスが増えており、日本のAWSユーザーへの配慮もみられるアップデートとなったと言えるだろう。