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キリンと日立、嗜好データとAIの活用で消費者の飲料選択や飲酒行動の要因を解明する共同研究を開始
2025年12月18日 16:33
キリンホールディングス株式会社(以下、キリン)と株式会社日立製作所(以下、日立)は17日、キリンの大規模な消費者嗜好データ・成分データと、日立のマルチモーダルAI技術、行動科学・デザイン思考を組み合わせ、消費者の飲料選択の理由や飲酒行動に影響する要因を解明する共同研究を12月に開始したと発表した。
研究では、商品開発の意思決定を高度化し、健康や安全に配慮した飲酒行動について理解を深めることで、消費者のより良い選択や社会全体の健康増進に貢献し、社会的価値創出につながる知見の獲得を目指す。
両社は、消費者の飲料選択や飲酒行動は、味や香り、成分、パッケージ、生活環境など、多様な要因が複雑に影響し合うことで形成されており、消費者の嗜好が多様化する中、これらの要素を科学的に統合し、飲料がどのように選ばれるのかを高い精度で理解することは商品開発の高度化において重要な課題となっていると説明している。そのため、商品開発の初期段階で選ばれる方向性や消費者像を見極めることは困難とされてきたという。
また、健康・安全に対する社会的意識の高まりから、消費者がより適切な飲酒行動を取るための背景や影響要因を丁寧に捉え、より良い行動選択につながる基礎的な理解を深めることも求められている。
こうした背景を踏まえ、共同研究では、キリンの大規模な消費者嗜好データ・成分データや研究知見と、日立のマルチモーダルAI技術、行動科学・デザイン思考を組み合わせ、消費者の飲料の選択や飲酒などの行動要因を科学的に理解する新たな基盤構築に取り組む。研究は、キリンの嗜好調査結果と成分分析値を一元管理し、AIや統計で解析して中味開発の精度と速度を上げる社内基盤「嗜好プラットフォーム(嗜好PF)」を活用した取り組みの一つとなる。
継続的に選ばれる商品開発に向けた飲料選択の要因解析に関する研究では、飲料の特徴や消費者の評価など、複数の異なる情報をAIで統合して扱う手法の検証を進め、飲料選択に影響する要因を整理・可視化するためのアプローチの確立を目指す。これにより、商品開発の初期段階から、継続的に選ばれやすい味やコンセプトの方向性を科学的に検証でき、設計にフィードバックすることが期待される。
健康や安全に配慮した飲酒行動の要因解析に関する研究では、行動科学やデザイン思考を活用し、消費者の健康・安全に配慮した飲酒行動に影響する認知・感情・環境要因の整理・分析を行う。これにより、適正な飲用行動を促進する施策の検討や社会全体の健康増進に資する知見の獲得を目指す。
両社は、共同研究で得られた知見を基に、商品開発の意思決定の高度化や、飲酒行動に関する理解の深化を図るとともに、消費者行動の科学的理解をさらに深め、AI・行動科学を応用した新たな価値創出や社会課題の解決に貢献することを目指す。また、研究で得られる知見や手法を今後の幅広い応用可能性を検討するための「協創の基盤」とし、社会課題の解決や学術的発信など新たな価値創出の方向性を柔軟に探っていくとしている。
