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クラウドDWHで急成長 大型IPOのSnowflake

追い風と不安要因

 Quartzは「Snowflakeは、あらゆるビジネスがビッグデータとAIに依存して意思決定する未来に賭けて、IPOを成功させた」と評する。その提供する価値は「企業がクラウド上に棚上げしていたデータを簡単かつ安価に分析できるようにすること」という。

 新型コロナで苦しい中でも、データとAIを活用しようという企業の勢いは衰えず、むしろ加速しているという。SnowflakeのCEO、Frank Slootman氏は、上場初日のBloombergのインタビューで、パンデミックの中での業績見通しを次のように述べている。

 「われわれが提供するマスデータ分析とデータプラットフォームは、世界で起こっていることを把握するために企業が必要とするものだ」「パンデミックは、むしろ多くの企業がアナリティクスやデータサイエンスに力を入れるきっかけになっており、私たちのビジネスはパンデミック前の予測を大きく上回っている」

 こうして絶好調のSnowflakeだが懸念も多い。投資メディアのSeeking Alphaでは、同社の株価売上高倍率(PSR=時価総額÷年間売上高)の異常な高さを指摘する投資家もいる。「市場で高評価の他の企業と比べてかけ離れており、Shopifyの数倍。前四半期に355%増を記録したZoomと比べてさえ50%高い」といったものだ。

 財務面では、2020年度(2019年2月~2020年1月)の売上高は2億6470万ドルで、前年度(9700万ドル)の3倍近くになったが、損失も3億4850万と前年度(1億7800万ドル)の2倍に膨らんだ。いまだ黒字は達成していない。

 ほかに、AWSとの“微妙な関係”を挙げるメディアもある。Snowflakeは3大クラウドで利用できるが、AWSでの利用がメーンだ。Snowflakeのサービスが増えればAWSの売上も増えるというパートナー関係だが、増えすぎて風向きが変わってきているという。

 AWSは当初、顧客がSnowflakeを選ぶことを気にとめていなかったが、警戒するようになった、とCNBCは指摘する。AWSには「Redshift」という直接競合するエンタープライズ・データウェアハウス製品があり、ビジネスを奪われているためだ。

 AWSは2018年から対Snowflakeの営業チームを立ち上げ、Redshift自体の強化も進めているという。「軒を貸して母屋を取られる」のは放置できないわけだ。

 製品を出して6年でデータウェアハウス市場を席巻したSnowflakeだが、勝ち続けるのは容易なことではない。