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「データ×AIエージェント」戦略を加速 Salesforceが80億ドルでInformaticaを買収

 Salesforceがデータ管理大手のInformaticaを買収することで合意したと発表した。買収額は80億ドルで、同社としては、Slack(280億ドル)、Tableau(157億ドル)に次ぐ過去3番目の規模となる。AIエージェント戦略を支えるデータ基盤の強化を図る狙いがあるとみられる。

両社ともに成長鈍化で買収のタイミングに

 買収の発表は5月27日。Informaticaは1993年設立のデータ管理分野のパイオニアで、ETL(Extract、Transform、Load)市場をけん引してきた。SalesforceはInformatica株を1株あたり25ドル(5月22日終値に対して30%のプレミアム)で取得し、買収総額は約80億ドルとなる。

 両社の買収話はこれが初めてではなく、約1年前にも交渉が行われていた。Wall Street Journalによると、買収案は110億ドル規模だったが、条件面の折り合いがつかず破談となった。

 交渉決裂後、Informatica株は下落し、プライベートエクイティファームのThoma Bravoなど複数の企業が買収提案を行っていたという。株価は1年前の約27%下がって割安感が出たようだ。

 一方のSalesforceも成長率の鈍化に直面している。買収発表2日後に公表された最新の決算では売上高が前年同期比7.6%増の98億3000万ドルで、伸び率は市場の予想を上回ったが、2ケタ成長を遂げてきた以前の勢いはない。

 今回の電撃買収の裏では、「両社とも成長率が大幅に鈍化したため、交渉のテーブルに戻ることになったのだろう」(Wall Street Journal)という。