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Snowflake、グローバル年次イベントにあわせさまざまな新機能を発表

Snowparkにおいて新たにPythonをサポートする「Snowpark for Python」など

 クラウドデータプラットフォーム(クラウドDWH)のSnowflake株式会社は、日本時間の11月17日に開催されるグローバルの年次イベント「Snowday」に合わせて、国内で11月16日にプレスランドテーブルを開催した。

 Snowdayで発表される内容としては、Snowflake内部でデータ分析処理を実行するSnowparkにおいて、新たにPythonをサポートする「Snowpark for Python」などの新機能があるという。

 また日本国内については、日本語によるテクニカルサポートの提供開始や、西日本営業部の設立、日立ソリューションズとの販売代理店契約の締結が発表された。

Snowflake Inc. 製品担当シニアバイスプレジデント Christian Kleinerman氏
Snowflake株式会社 社長執行役員 東條英俊氏

Snowflake内でPython処理を動かすSnowpark for Python

 Snowflake Inc.の製品担当シニアバイスプレジデントのChristian Kleinerman氏は、「Build Faster(開発のスピードアップ)」「Eliminate Silos(サイロの解消)」「Operate Globally(グローバル運用)」「Create New Business(新規事業の創出)」の4つのテーマに分けて、Snowflakeの新機能などについて説明した。

4つのテーマ

 まず「Build Faster」。このテーマにおいてKleinerman氏は、最も重要な新機能として「Snowpark for Python」をアナウンスした(プライベートプレビュー版)。SnowparkエンジンでPythonがネイティブで動作する機能で、これまでのJava/Scalaに加えてのサポートとなる。これにより、データをSnowflakeから外にコピーすることなく、Snowflake内部でPythonにより処理できる。

 Snowpark for Pythonの特徴を、Kleinerman氏は3つ挙げた。1つめは「Familiar programming constructs(なじみのあるプログラミングの構造)」で、PandasやSparkでも使われてなじみのあるDataFrameが利用できる。2つめは「Rich Ecosystem(豊かなエコシステム)」で、Anacondaとのパートナーシップによりキュレーションされたライブラリが多数利用できる。3つめは「Secure processing(セキュアな処理)」で、サンドボックス化されていることにより、すべての作業をセキュリティを確保された状態で安心して使える。

 このタイミングでPythonに対応した理由についてKleinerman氏は、「Pythonのランタイムをセキュリティとガバナンスを保証した形で統合したかった。ライブラリのキュレーションもしたかった。それには時間もエンジニアリングへの投資も必要だった」と語った。

Build Faster(開発のスピードアップ)の新機能
Snowpark for Pythonの特徴

 Snowpark for Python以外のSnowparkの新機能としては、Java UDF(ユーザー定義関数)でテーブル関数がパブリックプレビュー版になったこと、ストアドプロシージャ(プライベートプレビュー版)、ロギングフレームワーク(プライベートプレビュー版)、非構造化ファイル処理(プライベートプレビュー版、後述)をKleinerman氏は紹介した。

 そのほか、継続的データロードのパイプラインのSnowpipeで50~68%遅延が改善されたことや、パイプラインの状況をモニターできるIngestion Dashboard(プライベートプレビュー版)も挙げられた。

Snowparkの新機能

クラウドアカウント間のレプリケーション機能やガバナンスパートナープログラム

 2つめの「Operate Globally」については、違う地域や違うクラウドにあるデータに対して、Snowflakeではシームレスに統合してオペレーションできるとKleinerman氏は語った。

 まずはグローバルな複製だ。複数のクラウドアカウント間のレプリケーション(プライベートプレビュー版)によって、データだけでなく、IDや、役割ベースのアクセス制御、ガバナンスポリシーなどアカウントのメタデータ全体を、クラウドやリージョンを超えて自動的に同期する。

 また、データガバナンス機能の拡張もある。アクセス履歴ビューにおけるリネージの視認性(プライベートプレビュー版)や、オブジェクトの依存性(近日中にプライベートプレビュー版)が導入された。

 レプリケーションパフォーマンスの向上もKleinerman氏は挙げた。最大55%のパフォーマンス改善を実現したという。「利用時間に応じて課金するので、パフォーマンスが高くなるとコスト効率がよくなる」という側面も氏は説明した。

 さらに、ガバナンス機能に関する新しいパートナープログラム「Data Governance Accelerated」もKleinerman氏はアナウンスした。

「Operate Globally(グローバル運用)」の新機能
レプリケーションパフォーマンスの向上
新しいパートナープログラム「Data Governance Accelerated」

非構造化ファイルへの対応

 3つめの「Eliminate Silos」について、Kleinerman氏は「Snowflake設立当初から、データ間のバリアーをなくすことを考えていた」とコメントした。

 この分野における新機能は前述した非構造化ファイルへの対応だ(パブリックプレビュー版)。音声やPDFといった従来のデータベースで対応していなかったデータを扱えるようになる。

 単にデータが入るだけでなく、Snowflakeで慣れ親しんだ機能が非構造データでも使えることが重要だとKleinerman氏は強調した。これにはアクセスコントロール(RBAC)やセキュアな共有などの機能を含む。

非構造化データへの対応

Snowflakeデータマーケットプレイスで従量課金などの拡充

 4つめの「Create New Business」の中心となるのが、データ市場のSnowflakeデータマーケットプレイスだ。

 Snowflakeデータマーケットプレイスの事例として、Zoominfoが6週間で年間契約数が100万ドルに達したことや、Factsetがクライアントの総数を88%増やしたことをKleinerman氏は紹介した。

 Snowflakeデータマーケットプレイスの新機能としては、データのユーザー側向けとデータプロバイダー向けのそれぞれの新機能がアナウンスされた。

 データのユーザー側向けの機能は、試用の「Try Before You Buy」だ。まずデータを試して、ニーズにあっているかを見て購入するものだ。

 データプロバイダー側向けの機能は、従量課金の「Offer Usage Based Pricing」だ。データを利用した後から使った分だけ料金が支払われる。

「Create New Business(新規事業の創出)」のためのSnowflakeデータマーケットプレイス
Snowflakeデータマーケットプレイスの新機能

日本語によるテクニカルサポートを開始

 Snowflake株式会社の社長執行役員の東條英俊氏は、国内の活動について報告した。

 東條氏は「国内のビジネスが拡大している」として代表的な国内顧客を紹介し、「顧客数は、去年のこの時期に比べて4倍になっており、業種や業界も多岐にわたる」と語った。

代表的な国内顧客

 続いて、日本語によるテクニカルサポートの提供を開始することをアナウンスした。日本時間で平日9:30~17:30に日本語で対応する(それ以外の時間は英語で)。さらに、電話による日本語対応も追加する。

 東條氏は、以前から掲げている日本市場への取り組み強化のチェックリストをあらためて紹介した。そして、これまで「日本向けWebサイトをさらに充実し情報発信」「製品Webユーザーインターフェイス」「製品技術ドキュメント(1,000 page以上)」「SnowVillageコミュニティの立ち上げ」についてはチェックマークが付いていたが、今回は「技術者養成トレーニングクラス(有償)の日本語による提供」「テクニカルサポートの日本語での提供」の2つにもチェックマークがついたと報告した。

日本語によるテクニカルサポートの開始
Snowflakeのサポートプログラム
日本市場への取り組み強化のチェックリスト。6つともチェックマークがついた

西日本営業部の新設、日立ソリューションズとの販売代理店契約

 プレスラウンドテーブルでも東條氏が言及したが、同時に、日本での発表2件もなされた。

 1つめは、西日本営業部を新設したことの発表だ。国内で営業エリアを拡大するのは日本法人設立以降初で、専任の営業担当者およびSEが直接地域の顧客支援にあたる。全国の売上の25%以上を西日本地域で上げること目指すという。なお、Snowflakeでは、2022年上半期をめどにAWSのアジアパシフィック(大阪)リージョンでサービスの提供開始を予定している。

 2つめは、日立ソリューションズと販売代理店契約を締結したことの発表だ。日立ソリューションズのBIソリューション「BIコンシェルジェサービス」にSnowflakeを連携し、11月17日よりSnowflakeの提供を開始する。