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ハイブリッドクラウドで石油業界に変革を IBMとSchlumbergerの提携

 IBMの“クラウド第二章”の取り組みが実を結びつつあるようだ。IBMとRed Hatは油田の探査・開発支援サービスのSchlumbergerと提携し、石油ガス業界のDX(デジタル変革)を進めると発表した。IBMのハイブリッドクラウド技術を活用して、石油・ガス企業がリアルタイムのデータにアクセスできるようにする。

石油ガス業界のDX化を

 Schlumbergerは、85カ国に展開する世界最大の油田サービス企業で、地下の石油・天然ガス資源の探査、埋蔵量の解析、開発・生産などを提供している。提携では、同社の資源探査・生産(E&P)環境「DELFI」を中心にハイブリッドクラウド化を進める。

 DELFIは、複数のソースからデータを収集して地震探査データの処理、地下モデリングなどができる分析・AIソフトウェアスイートだ。例えば採油所のモニタリングによって、どの土壌が採油に適しているのか、採油効率の良い角度などを予測できるという。

 発表では、Red Hatのコンテナ基盤「OpenShift」を全面的に採用。DELFI環境のアプリケーションをプライベートクラウド、ハイブリッドクラウド、マルチクラウドで実装し、さまざまな顧客がアクセスできるようになるとしている。国内へのデータ保持が必要なケースにも対応できる。

 3者はさらに、石油ガス業界向けのデータ標準OSDU(Open Group Open Subsurface Data Universe Forum)に準拠したデータプラットフォームのハイブリッドクラウド実装を進める。

 提携協議は1年前に開始。6カ月間のPoC(概念実証)を経ているという。Schlumbergerは元々、DELFIをGoogle Cloud Platform上に構築しており、GoogleのAIを活用してきた。今回、IBMが選択されたことは、同社の重要な勝利と言える。