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国内イーサネット専用線市場予測、AIデータセンター間の接続需要が成長を牽引~IDC Japan調査
2025年6月2日 13:41
IDC Japan株式会社は5月30日、国内イーサネット専用線市場の調査結果を発表した。
イーサネット専用線は、イーサネットベースの企業向けネットワークサービスの一つ。閉域網や網型と呼ばれるネットワークサービスが主に多拠点間を接続するのに対し、イーサネット専用線は、特に重要な拠点などの特定拠点間の接続に使われるケースが多く、通信事業者などからは、広帯域かつ品質や信頼性の高いイーサネット専用線サービスが多く提供されている。
IDC Japanでは、イーサネット専用線の用途は多様だが、特に今後の需要の増加が見込まれるのがデータセンター間接続だと説明。近年は、クラウドやAI利用の拡大を背景に、データセンター間を例えば100Gbpsといった非常に広帯域な専用線で接続するケースが増えています。このような傾向は、今後ますます加速すると予測している。
一方で、通信機器の大容量化やコモディティ化、競争激化、アマゾン、グーグル、マイクロソフトなどのパブリッククラウドサービス事業者を始めとする価格交渉力の強い大口需要者の導入拡大、波長専用線需要の増加などが、イーサネット専用線市場の成長を抑制する要因になると分析。こうしたことから、国内イーサネット専用線市場の市場規模は、2024年の714億円から年間平均成長率3.7%で成長し、2029年には858億円になると予測している。
イーサネット専用線市場は、広域イーサネットなどの閉域網サービス市場を上回るペースで成長し、WANサービス市場全体に占めるイーサネット専用線の構成比率は徐々に増加することが見込まれるとしている。
IDC Japan Infrastructure & Devicesリサーチマネージャーの小野陽子氏は、「今後、AIデータセンターの需要増加などで、パブリッククラウドサービス事業者などが多く利用するハイパースケールデータセンター間通信の需要の増加が見込まれる。通信事業者は、長期的なWANサービスの需要者や市場構造の変化を見据えて、今後のサービスの在り方を検討する必要がある」と述べている。