特別企画

大阪ローカルリージョン、Nitro、Kubernetes――、進化を続けるAWSクラウドインフラストラクチャを解説する

EC2インスタンス――新ハイパーバイザ「Nitro」を適用したインスタンスも登場

 「これまで99.95%だったEC2のSLAを4年ぶりに引き上げ、99.99%を達成した」(岡嵜氏)。

SLAが4年ぶりに引き上げられ、99.99%に

 EC2はS3、EBSとともにAWSクラウドを初期のころから支える基盤であり、EC2の拡充はそのままAWSクラウドの拡充を意味する。以下は昨秋以降に公開されたEC2関連の主なアップデートとなる。

Spread Placement Group:

ハードウェアの耐障害性を上げるEC2の新機能。SPGを指定してインスタンスを起動すると、それぞれ別の別の物理サーバーに配置可能になり、物理サーバー障害時に複数のインスタンス(1つのAZにつき最大7つ)が同時に影響を受ける可能性を軽減する(全リージョン)

EC2の新機能「Spread Placement Group」を指定することで、複数の物理サーバーにインスタンスが配置される
H1インスタンス:

ビッグデータアプリケーション向けのストレージ最適化インスタンスで、シーケンシャルI/Oに最適化(バージニア、オレゴン、オハイオ、アイルランド)

C5インスタンス:

新世代のコンピューティング最適化インスタンスで、分散並列処理やHPCなどに最適化、前世代のC4インスタンスに対してして25%の価格性能比(バージニア、オレゴン、アイルランドなど10カ所のリージョン)

M5インスタンス:

最新世代の汎用インスタンスで、前世代のM4インスタンスに比べて14%の性能向上(バージニア、オレゴン、アイルランドなど10カ所のリージョン)

Bare Metalインスタンス:

ハードウェアのダイレクトアクセスを提供するインスタンスで、仮想化されていないワークロードや特定のハイパーバイザを必要とするワークロード、顧客に不利益なライセンスにともなうワークロードなど「仮想環境にもっていきにくい」(岡嵜氏)ワークロードに対応(プレビュー)

re:Inventでも大きな話題となったベアメタルインスタンスは現在プレビュー版、ハードウェアへのダイレクトアクセスが可能になる
P3インスタンス:

NVIDIA Tesla V100 GPUを最大8個搭載した汎用GPUインスタンスでマシンラーニング/ディープラーニング、金融計算、地震解析、ゲノム処理などを想定(バージニア、オレゴン、アイルランド、東京)

スポットインスタンスの機能強化:

起動方法の改善/スポット料金の設定方式の改善/スポットインスタンスの解放時にハイバネーション設定が可能に

スポットインスタンスの料金設定が改善されたことにより「スポットインスタンスの価格の上下が緩やかになり、突然使えなくなるケースが少なくなった」

 なお、新世代インスタンスであるC5インスタンスおよびM5インスタンスでは、AWSが独自に開発した新ハイパーバイザ「Nitoro(ナイトロ)」システムが実装されている。Nitroにより、これまでサーバー側のCPUで行っていた処理をハイパーバイザー上にオフロードすることで、ネットワークやストレージ処理の高速化が実現し、ベアメタルに近いパフォーマンスを提供、アプリケーションの稼働を軽くすることが可能になる。

AWSの新ハイパーバイザー「Nitro」は、サーバー側のCPUで行っていた処理をハイパーバイザーにオフロードすることで、アプリケーションの処理を高速に行う