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日立、現場作業を支援する次世代AIエージェント「Naivy」を開発
2025年7月3日 13:46
株式会社日立製作所(以下、日立)と株式会社日立プラントサービスは3日、現場作業における非熟練者の心理的負担軽減と作業効率化を支援する、次世代AIエージェント「Frontline Coordinator Naivy(以下、Naivy)」を共同開発したと発表した。
Naivyは、メタバース空間で蓄積・生成される情報と現場でリアルタイムに発生する事象を効果的に統合・調整し、必要な情報を適切なタイミングで分かりやすく人やロボットに提供するAIエージェント。現場拡張メタバースなどのメタバースプラットフォームと組み合わせることで、経験の浅い業務に非熟練者が対応する場面でも、状況に応じた具体的な作業手順を直感的に可視化し、対象機器の特定や対処操作に迷うといった現場でのつまずきを軽減する。
日立と日立プラントサービスでは、施設管理現場における熟練者不足が社会全体で深刻化する中、熟練者はOJTに多くの時間を割くことができず、非熟練者が現場で経験の浅い業務に対応する場合には、心理的負担を抱えてしまうケースが増加していると説明。こうした背景から、より直感的に熟練者の技能を非熟練者に共有する仕組みづくりが、現場全体の業務効率化には急務となっているという。
そこで、日立と日立プラントサービスは、非熟練者の心理的負担を軽減し、現場作業を効率化する次世代AIエージェントのNaivyを開発した。Naivyは、メタバース空間で蓄積・生成される情報と、現場でリアルタイムに発生する事象を効果的に統合・調整し、必要な情報を分かりやすく提供することを目指したAIエージェント。
日立がグローバルに蓄積してきた多様な熟練者のナレッジを体系化し、現場ごとの状況に応じて直感的な支援を行うことで、非熟練者でも安心して業務に取り組める環境を実現する。
Naivyは現場拡張メタバースと連携し、非熟練者が現場で直面する課題に対して、位置情報や具体的な作業手順をメタバース空間上でリアルタイムに可視化する。例えば、空調管理のトラブルシューティングでは、装置名や部屋名から対象機器と位置を特定し、関連するワークフローを抜き出して操作方法を提示する。これにより、対象機器の特定や対処操作に迷うといった非熟練者のつまずきを軽減し、非熟練者でも熟練者のように自信を持って効率よく業務を遂行できる環境を構築する。
実際に、施設内温度上昇のトラブル発生時には、Naivyが対策ワークフロー図や現地の正確な位置と経路、対策方法を提示し、迅速な対応を支援する。日立と日立プラントサービスが、ルネサス エレクトロニクス株式会社の工場現場で検証した結果、トラブルへの対応時間が短縮するなど非熟練者の業務遂行能力が3割程度向上できることを確認したという。
Naivyは非熟練者が経験の浅い業務に直面する場面で、熟練者に頼らずに必要な知識や手順を獲得できる環境を提供する。これにより、非熟練者の心理的負担を軽減し、自信を持って業務に取り組めるように支援する。また、Naivyの支援により熟練者の指導負担が軽減されることで、現場全体の業務効率化にも貢献する。
さらに、熟練者と現場の非熟練者とのリモートコミュニケーションによるOJTや意思決定を加速することで、従来難しかった現場業務のリモートワーク化を推進し、より働きがいのある労働環境構築を支援する。
日立と日立プラントサービスは、国内外での施設管理や製造ライン構築に注力する顧客と連携し、継続的にNaivyを強化することで、施設管理業務や製造業における技能継承を支援していく。また、ナレッジ管理機能や一部のアプリケーションは、2025年内に日立ソリューションズから製品化を予定する。