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富士通、サプライチェーンのレジリエンス強化を支援するソリューションを提供
2025年7月3日 12:15
富士通株式会社は2日、グローバルサプライチェーンにおける突発的な外部環境変化に対応するため、損益インパクトを迅速に算出し、最適な意思決定を支援するソリューションを提供開始した。ソリューションは、富士通が提供するオールインワンオペレーションプラットフォーム「Fujitsu Data Intelligence PaaS(以下、DI PaaS)」の新機能として提供され、社内外のデータを統合し、AIエージェントの活用により迅速な影響分析と最適な意思決定を支援することで、顧客のサプライチェーンのレジリエンス強化に貢献する。
富士通では、近年、地政学的リスクや自然災害、市場変動などにより、企業を取り巻く環境の不確実性はますます高まっており、特に製造業においては、予期せぬ事象が事業活動に直接的な影響を及ぼすリスクが高まっており、輸送ルートの変更や生産拠点の停止、コスト増加などにより、企業の収益が圧迫され、競争力を低下させる要因となっていると説明。一方で、従来のサプライチェーン管理では、これらのリスクへの迅速な対応が困難で、事業継続計画(BCP)の見直しやサプライチェーンのレジリエンス強化が急務になっているという。
そこで富士通は、顧客のグローバルサプライチェーンにおける影響分析と最適な意思決定を支援するため、クロスインダストリーで社会課題を解決する事業モデル「Fujitsu Uvance」のオファリングであるDI PaaSを通じて、損益インパクトを可視化し、最適な意思決定を支援するソリューションを提供開始した。
ソリューションは、企業内外に分散するデータを統合し、市場変動などによる影響が大きい対象製品の特定や損益インパクトを迅速に算出する。また、DI PaaSのデータ統合能力により、従来は数週間を要していた影響分析を数日で実施し、AIエージェントによる対策提案により、画面上でシミュレーションに基づいた最適な意思決定を実行できる。
具体的には、「利益・原価構造の把握」「戦略プライシングシミュレータ」「オペレーション変更シミュレータ」の3つのステップを通じて、サプライチェーンのレジリエンス向上を支援する。
「利益・原価構造の把握」のステップでは、グローバルサプライチェーンにおいて、市場変動などにより影響を受けているサプライヤーや工場を可視化し、どの製品がどのルートでどれだけの輸入コストが発生しているのかを提示する。これにより、顧客は自社の利益や原価構造を詳細に把握し、潜在的なリスクを特定できる。
「戦略プライシングシミュレータ」のステップでは、市場変動などにより原価構造に変化があった場合に、製品の価格変化が需要に与える影響を分析する価格弾力性モデルにより、それぞれの製品の適切な販売価格をシミュレーションする。これにより、市場の変化に合わせた最適な価格戦略を策定し、顧客の収益を最大化する。
「オペレーション変更シミュレータ」のステップでは、輸入コストが高騰している調達先を変更する際の原価構造や利益の変化を分析し、サプライチェーンの最適化を支援する。代替サプライヤーの選定や輸送ルートの変更といったオペレーションの変更による影響を、各領域の専門AIエージェントがさまざまな観点から評価し、オーケストレーターエージェントが総合的な判断を行う。これにより、顧客の迅速な影響分析と最適な意思決定を支援する。
富士通は今後も、社会課題を起点とした事業モデル「Fujitsu Uvance」のもと、これまでに培ったデータやAIなどのテクノロジーと業種の知見を融合し、予期せぬ事態が発生した場合でも顧客の事業における影響を最小限に抑え、レジリエンスを強化することで、持続可能な世界の実現に貢献するとしている。