ニュース

日立、肥後銀行の基幹システムで災害時の運用を想定した国内2カ所のデータセンター切り替え運用を実施

 株式会社日立製作所(以下、日立)は2日、株式会社肥後銀行(以下、肥後銀行)において、5月18日から24日までの期間、国内2カ所に設置されたデータセンターでの災害時の運用を想定し、基幹系システム「Banks'ware for Open Platform」の切り替え運用を実施したと発表した。

 具体的には、実際の被災時の復旧を想定し、通常基幹システムが稼働している第1センターから第2センターへ、平日を含めた複数連続日にわたり切り替え運用を行い、第2センターの環境下においても基幹系システムの全業務が安定して稼働することを確認した。

 これまで肥後銀行では、使用機器の正常性の確認や切り替え訓練の観点から、休日に限定して第2センターで基幹系システムを稼働させることがあったが、今回初めて、平日での全業務の稼働を行い、災害時に迅速なサービスの再開が可能であることを確認した。この取り組みは、金融機関としての事業継続計画(BCP)施策の観点から、画期的な取り組みになるとしている。

 日立では、近年は予測困難な自然災害が増加する中、金融機関においても災害への備えが一層求められており、BCPや業務継続性(BCO)の強化など、オペレーションレジリエンス(業務の強じん性・復旧力)が重要な経営課題となっていると説明。しかし、一般的に金融機関が災害対応用に予備として設けているセンターでは、一部業務の縮退運用を前提とした最小限の構成としているケースが多く、急な災害時に全業務を予備のセンターに切り替えて事業継続を図ることは困難になっているという。

 こうした中、肥後銀行では2019年7月に新しい基幹系システムとして「Banks'ware for Open Platform」の稼働を開始した。その目的の一つである、大規模災害などにおける事業継続性の強化の観点から、国内2カ所のセンターに同様のサービス提供が可能な構成を採用することで、システム運用の即時切り替えに対応した環境を整えている。

 さらに、通常システムが稼働する第1センターにおけるデータやログを、ほぼリアルタイムに第2センターにも複製するデータレプリケーション機能の活用により、災害発生時にも迅速なサービス再開を可能とし、利用者に対してより速やかに安心・安全な銀行サービスを提供できる仕組みを構築している。今回の取り組みでは、これらを活用することにより、第2センターにおいても複数連続日にわたる全業務のサービス提供が可能であることを確認した。

 日立は今後も、「Banks'ware for Open Platform」をはじめとするソリューションを通じて、地域金融機関が直面するさまざまな課題に寄り添い、持続可能で安心・安全なサービスを提供していくとしている。