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日本IBM、「エキスパート・インテグレーテッド・システム」のラインアップを拡充
クラウドシステムに最適なPOWER7+搭載モデルなどリリース
(2013/2/15 06:00)
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は2月14日、専門家の知見とスキルを実装することでコンピューティング資源をあらかじめ最適に統合し、計画から導入、運用までの作業を簡素化する「エキスパート・インテグレーテッド・システム」(PureSystems)の製品ラインアップを拡張することを発表した。
まず、クラウド向けシステム「IBM PureApplication System W1500(以下、W1500)」のラインアップに新たにエントリーモデルを追加し、1月より販売を開始した。そして、新モデルとして、IBMの高性能プロセッサ「POWER7+」を採用した「IBM PureApplication System W1700(以下、W1700)」を2月28日より提供開始する。また、ビッグデータの高速分析(データウェアハウス)向けに最適化した新ハイエンドモデル「IBM PureData System for Analytics N2001(以下、N2001)」を2月1日より提供開始したという。
日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン氏は、今回のラインアップ拡張の背景について、「当社では、2013年のソフトウェア事業方針として、“アジリティの向上とセキュリティ強化により、お客様の改革とビジネスの成功に貢献する”ことを掲げている。『PureSystems』は、この事業方針において注力分野の一つとして位置づけられているソリューション。2012年8月の出荷開始以降、様々な業界で導入実績が増えつつあるが、今回、こうした顧客からのニーズに応えた新モデルを追加し、より柔軟なラインアップを提供する」と述べている。
「IBM PureApplication System」は、サーバー、ストレージ、ネットワークなどのハードウェアとOS、さらにアプリケーション・サーバーやリレーショナル・データベース管理システムといったミドルウェアをあらかじめ統合して提供することで、部品調達や構築、セットアップの時間を大きく削減するクラウド向けシステム。稼働させる業務の特性や量に基づいて、コンピューティング資源の構成や運用管理のポリシー、障害発生時の対応などを適切に定義した「パターン」を適用すると、そのパターンに応じて自動的にコンピューティング資源を確保して仮想サーバーを構成し、運用管理も自律的に行われるという。あらかじめ制御方法をパターンに定義しておくことで、例えば、繁忙期に一時的に業務量が増えても、自動的にコンピューティング資源を追加したり、障害を検知したら処理を代替の仮想サーバーに引き継ぐといったことも可能だ。
今回のラインアップ拡充では、この「IBM PureApplication System」に、エントリーモデルと「POWER7+」搭載モデルを新たに追加する。「W1500」エントリーモデルでは、搭載プロセッサコア数に応じて2種類のモデルを用意し、32コアまたは64コアモデルのいずれかを選択できる。96以上のプロセッサコアを搭載可能な現行モデルが42U(高さ201.5cm)サイズであるのに対し、エントリーモデルのラックサイズは25U(高さ126.7cm)と、高さを約3分の2に抑え、消費電力も約30%削減している。
日本IBM 理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部 事業部長の三戸篤氏は、「エントリーモデルの投入によって、小規模なアプリケーション基盤をもつ企業やIT要員を多く確保できない企業などでも、『IBM PureApplication System』のパターンテクノロジー、運用自動化、統合監視などの先進機能を活用できるようになる。また、スモールスタートなど、顧客の要件規模に応じたPaaS基盤の構築が可能となる」としている。
一方、POWER7+を搭載した新モデル「W1700」は、1プロセッサ・コア当たり最大20台の仮想サーバーが稼働でき、高い集約率と処理能力を実現する。また、「W1700」に採用している仮想化技術PowerVMは、サーバー仮想化をハードウェアによって実現し、セキュリティ上の脆弱性を最小化。高いセキュリティと高い集約率を実現するため、1台に多数の仮想サーバーが稼働し、ネットワーク経由でサービスを提供するクラウドシステムに最適な基盤となっている。「この1台で、Powerの実績・信頼性を兼ね備えた、パワフルなプライベートPaaS環境を構築できる」(三戸氏)という。
なお、このラインアップ拡充にともない、新たな「パターン」も提供していく予定で、今後、モバイル開発・実行基盤の「IBM Mobile Application Platform Pattern」、および資産と施設管理の「IBM Maximo Asset Management Pattern」を開発していく計画を明らかにしている。
さらに今回、ビッグデータ分析向けに最適化した「IBM PureData System for Analytics」の新ラインアップとして、ハイパフォーマンスモデル「N2001」を追加した。「N2001」では、Netezzaテクノロジーを基に、プロセッサ、メモリ、ハードディスクドライブ、そして圧縮データの解凍やデータベース処理を高速に行う集積回路の各種搭載ハードウェアの性能向上を図り、トータルの分析処理スピードを既存モデルの3倍へ引き上げた。また、1ラック当たりのユーザーデータ領域を既存モデルの1.5倍に拡張することで、スピードと容量の両面を強化している。
日本IBM 理事 ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部 事業部長の塚本眞一氏は、「『N2001』では、パフォーマンスを徹底的に追求し、処理性能を大幅に向上した。ビッグデータ時代に向けて本格的に取り組みを始めた顧客への高性能分析プラットフォームとして提供していく。また、システムの増強・再構築を検討している顧客にも最適なモデルとなっている」と、ハイパフォーマンスモデルをリリースする狙いを説明した。