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連邦安全規則の草案をAIで生成 米運輸省の劇的合理化への懸念

 米運輸省(DOT)が、航空機、自動車、パイプラインなどの連邦安全規則をAIで作成する計画を進めていることが明らかになった。従来は数カ月から数年を要していた規則策定を、Googleの「Gemini」の利用により大幅に短縮するという。世界でも法律や規則の起案をAIで効率化する動きが広がる一方、懸念も浮上している。

「完璧は不要、十分な品質であればよい」

 「AIには規則策定を革命的に変える可能性がある」。DOTの弁護士Daniel Cohen氏は同僚あてのメッセージでこう述べた。メッセージでは2025年12月に開かれた同省の内部ブリーフィングで、規則の草案作成をAIによって効率化する計画が職員に提示されたことにも言及している。独立系調査報道機関ProPublicaが報じた。

 対象の規則は「航空機の安全警戒」を保証し、「ガスパイプラインの爆発」を防止し、「有毒化学物質を運ぶ貨物列車の脱線」を防ぐといったものという。

 ProPublicaが入手したDOTの会議記録によると、同省の法律顧問Gregory Zerzan氏が「われわれは完璧な規則は必要としない。非常に良い規則すら必要ない」と発言し、「十分な品質(good enough)であればよい」と続けた。さらに「ゾーンを埋め尽くす」という表現で規則を量産する方針を明確にしたという。

 省内のデモンストレーションには100人以上の職員が参加。プレゼンターは参加者にトピックを募り、DOT向けカスタム版のGeminiに入力して「規則案通知」に類似した文書を生成してみせた。Zerzan氏は「規則案の出力に20分以上かけるべきではない」と述べ、初期草案作成からレビュー準備までを30日間に圧縮する目標を掲げた。

 プレゼンターは、AIは規則作成作業の80%から90%を処理できると説明したという。計画は既に実行段階に入っており、匿名の職員によると、AIを使って未公表の連邦航空局(FAA)規則を起草した。