日本IBM・イェッター社長が「西日本は重要な拠点」~福岡でリーダーズ・フォーラム西日本を開催


 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は27日、福岡市のホテル日航福岡において、IBMリーダーズ・フォーラム西日本を開催した。

 IBMリーダーズ・フォーラムは、日本IBMの創立75周年を記念するイベントと位置づけ、同社が今年新設した4つの支社がある主要都市で開催しているものだ。

 今回開催したIBMリーダーズ・フォーラム西日本は、関西(大阪)、東北(仙台)に続き、3カ所目。12月6日には中部(名古屋)での開催が予定されている。


博多駅構内ではリーダーズ・フォーラム西日本の告知が行われていた

 

西日本地区の100人のユーザー、パートナーが参加

 午前10時から行われた同フォーラムでは、「変革の波を西日本から~日本企業に求められるリーダーシップとは~」をテーマに開催。イェッター社長や、福岡県の小川洋知事が登壇。さらに、パネルディスカッションでは、RKB毎日放送 メディア事業局専門局の納富昌子局長をモデレータに、安川電機の利島康司会長、立命館アジア太平洋大学(APU)の是永駿学長、経済産業省 九州経済産業局地域経済部の平井淳生部長、日本IBMの藪下真平専務執行役員がパネリストとして参加。西日本地域の活性化や、変革に求められる新たなリーダーシップ像などについて議論した。

 会場には、九州、中国、四国、沖縄地区の主要ユーザー、パートナー企業の幹部など、約100人が出席。また、展示会場には、PureSystemsやWatson for Healthcare、Business Analytics Softwareなど、8つのソリューションを展示し、東京基礎研究所の研究員が来場者に直接説明することで、来場者の理解を深めていた。


会場には、西日本地区のユーザー、パートナーなど約100人が参加した展示会場では、PureSystemsやBusiness Analytics Softwareなどを展示

 

西日本はスイス+ポーランドと同等規模

日本IBMのマーティン・イェッター社長

 IBMリーダーズ・フォーラム西日本のあいさつで登壇した日本IBMのマーティン・イェッター社長は、「九州、中国、四国、沖縄をカバーする西日本地域は、スイスとポーランドをあわせたGDPに匹敵する規模であり、3000~4000社のIBMユーザーがいる。また、北九州市では、スマーターシティへの取り組みでも成果があがっている。日本IBMが西日本に支社を設置する意味はそこにある。今後の西日本地域でのビジネスの拡大を考えている」と語る。

 一方、「これまでに、250人の日本企業のCEOと話をしてきたが、多くの企業が考えているのは、グローバル化であり、日本以外の国で成長をすることが不可欠と考えているCEOが多い。西日本は、アジアの表玄関であり、アジアの成長をとらえれば、さらに重要な拠点となる。IBMは中国に200カ所以上の支社を開設しているが、これはグローバルマーケットで見た場合のビジネスチャンスがあり、グローバル競争に打ち勝つためには重要な市場になる」などとし、西日本支社とIBM全体のアジア戦略との連携にも言及した。

 また、「今後の成長戦略において、アジア市場への進出を考えている企業は全国平均で60%だが、西日本地域の企業では80%の企業が必須であると考えている。さらに、この地区では200を超える新たな企業が生まれており、2万人の新たな雇用を生んでいる。IBMは、10年前にはインド国内の社員数は約1万人だったが、これが、いまでは約14万人になっている。この経緯のなかで、社内のグローバル化や、人事・財務システムの標準化、セキュリティなどの課題を解決してきた経緯がある。企業をどうグローバル化するかという点で、こうしたノウハウを活用することができるだろう」などと述べた。

 そのほか、北九州市でのスマーターシティの取り組みにも言及し、「将来的には、世界人口の70%の人たちが都市部で生活をすると見られており、北九州市の取り組みは、その好例となる。特に省エネルギーへの取り組みは先進的であり、10~15%のエネルギーコストを削減できている。この知見をほかの分野にも生かすことができる」などと語った。

 

「西日本の元気を日本の元気の源に」と福岡県知事

福岡県知事の小川洋氏

 福岡県の小川洋知事は、「日本IBMが、地域産業の活性化をテーマにしたフォーラムを開催し、さらに地域を代表する産学官のリーダーが一堂に会して真剣に議論をすることは、意義深いものがある。私は常々、元気を西からと申し上げているが、まずは福岡県が持つ力を最大限に発揮し、その元気を九州、西日本、日本全体へと広げたい」との意気込みを示す。

 また、「福岡県は、西日本屈指の人口と経済力、多様な産業集積があり、さらにアジアに近いという強みがある。福岡県が日本の中枢機能の一端を担い、アジアの転換を先導する重要な拠点としての役割を果たしたい。福岡県では福岡市、北九州市と一緒になり、グリーンアジア国際戦略特区を進めている。環境を軸として国際競争力を高めていくものであり、成長著しいアジアの力を取り込みながら、ともに福岡県が成長していくのが狙いである」とコメントしたほか、「都市環境のノウハウをパッケージとして提供し、低燃費自動車、産業用ロボット、パワー半導体など、環境にやさしい製品の開発、生産を行っていく。今年8月には特区をより効果的に推進するために、指定区域を大分や久留米まで広げている。大型設備投資や雇用拡大に取り組んでいるところである」などと述べた。

 

産学官のリーダーが集まりパネルディスカッション

パネルディスカッションの様子。(左から)RKB毎日放送メディア事業局専門局長の納富昌子氏、安川電機 代表取締役会長の利島康司氏、立命館アジア太平洋大学学長の是永駿氏、経済産業省 九州経済産業局 地域経済部長の平井淳生氏、日本IBM 専務執行役員の藪下真平氏

 パネルディスカッションでは、今回のリーダーズ・フォーラムのテーマである「変革の波を西日本から~日本企業に求められるリーダーシップとは~」を主題に、グローバル人材の育成や、西日本における新たな産業活性化などについて、それぞれの立場から意見を述べた。

 安川電機代表取締役会長の利島康司氏は、「日本の企業は、国内のマーケットだけに向かっていては成長はない。創業者も留学の経験があるエンジニアであり、国際感覚を持って仕事に取り組むことをもう一度徹底したい。若い人たちは、日本の良さを知ることが必要であり、それが世界に行きたいと思うことにつながる。モノづくりに大切なのは、イノベーションと市場を創出することだが、そのベースになるのは、まずは日本を好きになることである。また、人材育成については、企業のトップと教育界のトップが連携し、自ら考えて、実践しなくてはならない。人材育成は総務部門の仕事ではなく、経営トップの仕事。私は、経営会議や取締役会に費やすのと同じ時間を人材育成に割いている」などとしたほか、「中国、韓国は九州と気候が同じであり、服装もそのまま来られる。これは、アジアゲートウェイという観点からも有利になる」と話す。

 立命館アジア太平洋大学学長の是永駿氏は、「多様性を実現し、それを意識的に追求しているのがAPUである。しかし、2500人の学生がいるが、福岡や大分には残る卒業生が少ない。企業のなかのグローバル化がもう少し進展しなくてはならない。他者があって自分の状況を理解するという点でも、多様化は必要なことである」と語り、「危機管理という点では、日本には首都機能を2カ所に設けるといったことも考えるべきであり、九州北部はその点でも適している」などと述べた。

 また、経済産業省九州経済産業局地域経済部長の平井淳生氏は、「これからは、韓国、中国だけがアジアではなくなる。インドまでを含めると、日本のなかでも、九州は地理的な優位性はなくなる。それでも、西日本がアジアの交流の拠点として魅力を持つには、産業、大学の集積や、リーダーシップが必要である。経営者には、自分の次の世代にはどんなリーダーが必要なのかを明確なメッセージとして示してほしい」とコメント。


安川電機 代表取締役会長の利島康司氏立命館アジア太平洋大学学長の是永駿氏経済産業省 九州経済産業局 地域経済部長の平井淳生氏

 日本IBM 専務執行役員の藪下真平氏は、「いまや、テクノロジーをベースにして人々の生活を豊かにすることができるようになってきた。IBMは、全世界2000カ所でスマーターシティに取り組んでいるが、そのなかで最大の成果が北九州での取り組みである。これはテクノロジーを活用した成果のひとつである」とした。

 モデレータを務めたRKB毎日放送メディア事業局専門局長の納富昌子氏は、「西日本は、名実ともに真のアジアゲートウェイを目指していかなくてはならない。過去にも、日本全体の経済が低迷している際でも、西日本は元気だったという傾向がある。西日本地区は歴史的にもイノベーションを興してきた。新たな日本の旅立ちに向けて、リードしていく場所にしたい。一方で、いまの日本には閉息感があるが、私はもっと危機感を持たなくてはいけないと考えている」などと語った。


日本IBM 専務執行役員の藪下真平氏RKB毎日放送 メディア事業局専門局長の納富昌子氏

【お詫びと訂正】
初出時、小川知事とパネルディスカッションの写真が入れ替わっておりました。お詫びして訂正いたします。

関連情報
(大河原 克行)
2012/11/27 13:28