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日本IBM、用途別の推奨アーキテクチャをPureSystemsに提供~VDI向けやMSP向けを用意
(2013/2/22 14:19)
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は22日、統合型システム「IBM PureFlex System」や次世代ブレードサーバー「IBM Flex System」の活用を促進するために、推奨アーキテクチャを提供すると発表した。今回は、仮想デスクトップ(VDI)環境向けの「IBM SmarterCloud Desktop Infrastructure」と、マネージとサービスプロバイダ(MSP)向けの推奨アーキテクチャ「IBM PureFlex System and Flex System Managed Service Provider Editions」を用意する。
日本IBMは2012年4月に、システムの導入・運用で培った専門家の知見や経験を盛り込んだ「エキスパート・インテグレーテッド・システム」を、新たなコンピューティングシステムとして発表している。今回、推奨アーキテクチャが提供されるPureFlex Systemはその第1弾「PureSystems」の1つで、サーバー、ストレージ、ネットワーク、仮想化、管理機能を備えたインフラシステムの垂直統合製品。仮想化・自動化により、IaaSの運用を簡素化できる特徴を持つ。
一方の次世代ブレードサーバーであるFlex Systemは、エキスパート・インテグレーテッド・システムの重要な構成要素としてリリースされた。ただし、エキスパート・インテグレーテッド・システム専用というわけではなく、従来のブレードサーバー同様のさまざまな用途に適用できる汎用性を持つ。日本IBMでは「さまざまな最新技術に対応可能で、(お客さまのIT環境において)今後の10年を支えられるIT基盤」(システム製品事業 PureSystems事業部 事業部長の長南宏氏)と、Flex Systemを位置付けている。
日本IBMが、これらの製品向けに推奨アーキテクチャを提供する背景には、ユーザーにおいて、導入の迅速化や運用の簡素化を求める声が強くなっていることが挙げられる。例えば、VDI環境の導入については、環境のサイジングの複雑さなどもあって、製品選定から構築には長い時間と多くのコストがかかってしまっているのが現状。長南氏によれば、34%もの新規ITプロジェクトが遅延してしまっているそうで、推奨アーキテクチャによってこうした時間を短縮できれば、大きなメリットが提供できるわけだ。
「IBM SmarterCloud Desktop Infrastructure」ではこうした点を考慮して、Citrix XenDesktop、VMware View、Virtual Bridges VERDEの各製品に対する検証済みの推奨アーキテクチャを公開し、ユーザー環境での迅速な導入と運用の簡素化を支援する。特にVERDEについては、KVMやUbuntu Desktopなどのオープンソースソフトを利用する「VERDE折紙付構成」も提供し、Flex Systemの活用を促進するとのこと。
なお長南氏は、VDIでFlex Systemを利用する際のメリットを、「他社サーバーはもちろん、自社のSystem xサーバーと比べてもメモリを倍以上搭載できるので、仮想化集約率をそれだけ向上させられる。また、ネットワーク帯域が広いのも特徴。今後10年を見据えて設計されているため、他社ではまねができないだろう」などと述べている。
もう1つの「IBM PureFlex System and Flex System Managed Service Provider Editions」は、IaaS/PaaS/SaaSなどのクラウドサービスや、ホスティング事業者などのMSP事業者に向けて提供される推奨アーキテクチャ。MSPでは、サービス提供までの時間を短くしたい、マルチテナントでの運用を維持したい、顧客からのダウンタイムへの要望が厳しい、といった課題を抱えているとのことで、日本IBMでは、こうした事業者がサービスを拡大するための推奨アーキテクチャを提供し、ビジネスの拡大を支援していく考え。
長南氏は「セットアップ時間を66%短縮でき、複数のアーキテクチャ、OS環境を迅速にプロビジョニングできるなど、管理についてもメリットを提供する。また、当社のクラウドサービスや、当社のパートナーのソリューションなどを事業者の付加価値として組み合わせていただくことも可能だ」と、そのメリットをアピールした。
なお、「IBM SmarterCloud Desktop Infrastructure」は2月22日より日本IBMのWebサイトで提供されるほか、「IBM PureFlex System and Flex System Managed Service Provider Editions」はMSPパートナーを対象に、2月28日より提供開始する。
このほか今回は同時に、PureFlex SystemとFlex Systemにおける、互換性強化の取り組みも発表された。これは、シスコ、ブロケードなどの他社製ネットワーク製品や、EMC、ネットアップなどの他社製ストレージとの連携を可能にすることで、よりオープン性を高めようという取り組みの一環。また、運用管理ソリューションとの連携要望も強いことから、VMware vCenter、Microsoft System Centerとの連携もサポートするとしている。