ニュース

フォーティネットが事業戦略を説明――、高信頼のネットワークセキュリティをあらゆる場所に展開

 フォーティネットジャパン合同会社(フォーティネット)は1日、年次カンファレンス「ACCELERATE JAPAN 2023」の開催にあわせ、事業戦略説明会を開催した。説明会では、米Fortinet創業者で取締役会会長兼CEOのケン・ジー氏がグローバルのビジネス概況について説明した。また、今年7月にフォーティネットジャパン社長執行役員に就任した与沢和紀氏が、日本市場における事業戦略について発表した。

 ジー氏は、まずサイバーセキュリティの主要トレンドとして、「セキュリティとネットワーキングのコンバージェンス」「統合型のセキュリティオペレーション」「消費型のセキュリティサービス」の3点を挙げ、「当社では、こうしたトレンドに対して、個別のポイントソリューションを提供するのではなく、1つのFortiOSをベースにネットワーク・セキュリティのあらゆる領域をカバーしている。Gartner Magic Quadrantsでは、ネットワーク・ファイアウォール、SD-WAN、有線/無線LAN、SASEの各領域でFortiOSのセキュアネットワーキングが評価されている」と述べた。

Fortinet創業者 取締役会会長兼CEOのケン・ジー氏

 「当社が提供するFortiOSをクラウド上で活用することで、ネットワーク・セキュリティの自動化を実現し、さらなる効率化を図ることができる。特に、最新のFortiASIC Security Processor 5を搭載したアプライアンス製品では、競合他社の同価格帯ソリューションと比べて、処理性能指数(Secure Compute Rating)を大幅に向上するとともに、エネルギー効率も高めることができる。また、FortiASICは、代表的な業界標準CPUと比較して、消費電力を88%削減しており、環境フットプリントの削減にも貢献する」と、ネットワーク・セキュリティ分野におけるグローバルリーダーを担っていると強調した。

最新アプライアンス製品の処理性能指数(Secure Compute Rating)

 日本市場での展開については、「近年の日本市場における大きな投資としては、川崎市に研究開発拠点を持つアラクサラネットワークスを2年前に買収した。当社にとって、この買収は、非常に重要な意味を持つものであった。日本は、米国に次ぐ第2位の市場であり、日本国内で研究開発を進め、また日本企業に対するサポートやQA活動が迅速にできる拠点を持つことは必要不可欠だと考えている。この拠点で、日本市場のニーズをいち早く聞き取り、それを反映させた製品をリリースしていきたい」との考えを示した。

 「今後も、当社の強みであるイノベーションを継続的に実行し、日本国内の研究開発拠点を生かしながら、積極的にテクノロジーに対する投資を行っていく。そして、それらのテクノロジーを市場に展開しながら、よりよいサービスを顧客に届けていく」と、今後の方針を語った。

 次に、フォーティネットジャパン 社長執行役員の与沢和紀氏が、日本市場における事業戦略について説明した。まず、国内の脅威動向とトレンドについて、「IPAによる2023年の『情報セキュリティ10大脅威』は、1位が『ランサムウェアによる被害』、2位が『サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃』、3位が『標的型攻撃による機密情報の窃取』となった。特に『ランサムウェアによる被害』は、コロナ禍の2021年以降、3年連続1位となっている。また、スピアフィッシング(標的型メール攻撃)やマルウェアとの通信暗号化など、攻撃者の手法は進化を続けており、侵入の防止と発見がより困難になってきている。さらに、国家の関与が疑われるサイバー攻撃も増加している。これらの脅威から組織を守るためには、技術だけでなく、強固なサイバーセキュリティ文化も重要になる」と指摘する。

フォーティネットジャパン社長執行役員の与沢和紀氏

 「こうした状況の中、フォーティネットのセキュリティアプライアンス製品は、世界総出荷台数のうち過半数のシェアを獲得しており、日本市場でも同様の状況となっている。また、フォーティネットでは、オンプレミスのゲートウェイからネットワーキングとの融合、セキュリティオペレーションの効率化、そして複合環境を守るユニバーサルSASEまで幅広いソリューションを日本市場で展開しており、サイバーセキュリティの検知・防御・運用まですべてをカバーしている」と、日本市場においてもサイバーセキュリティ対策に関するあらゆるニーズに対応するソリューションを展開しているという。

フォーティネット ファブリックのポートフォリオ

 今後の注力ポイントとしては、「セキュリティドリブンネットワーク」「ゼロトラストとクラウドからOT環境までの総合対応」「ネットワークとセキュリティの融合」「顧客との関係強化/パートナーサポート」の4点を挙げた。

フォーティネットジャパンの注力ポイント

 「『セキュリティドリブンネットワーク』では、引き続きSD-WAN、SD-Branchなどの領域でのシェアの維持・拡大を図っていく。『ゼロトラストとクラウドからOT環境の総合対応』では、ゼロトラストの視点からエンドポイント、クラウドのエッジ、さらにはOTまで含めて、セキュリティフルレンジの展開に力を注いでいく。『ネットワークとセキュリティの融合』では、アラクサラネットワークスとの融合を本格的に進め、高性能かつ高速なネットワーク・セキュリティ製品を追求していく。そして、『顧客との関係強化/パートナーサポート』では、顧客との直接対話を強化するとともに、販売パートナーやMSS事業者との関係強化も図りながら、さらなる事業拡大を目指す」との考えを述べた。