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フォーティネット新社長、OTセキュリティやサービス事業の強化を表明

 フォーティネットジャパン合同会社(フォーティネット)は2日、7月1日付けで同社の社長執行役員に就任した田井祥雅氏の就任会見を開催した。

 田井氏は2020年11月より、フォーティネットジャパンの副社長 兼 メジャーアカウント統括本部長として、エンタープライズビジネス本部を統括していた。フォーティネットジャパン入社以前は、シスコシステムズ合同会社や、マカフィー株式会社、ソフォス株式会社などで要職を務めた経験を持つ。

フォーティネットジャパン 社長執行役員 田井祥雅氏

 田井氏によると、Fortinetはセキュリティアプライアンスの出荷台数で、世界シェア35%を獲得しているという。日本でのシェアは55%以上とさらに高く、「小型アプライアンスのビジネスが、大塚商会やリコー、キャノンといった企業とのパートナーシップで成功した」と述べている。

 また田井氏は、Fortinetがグローバルで1255件の特許を取得し、技術的な差別化を図っていると話す。中でも、「自社でASICを開発している点が強みだ」としており、「他社のセキュリティ機器に採用されているCPUは汎用CPUで、2年で性能が倍になるというムーアの法則に沿ったもの。ただ、ネットワークトラフィックは半年で倍増する。そのような増加スピードに対応しようとすると、2年で倍の性能では厳しいため、独自開発している」と説明する。

 こうした強みを持つフォーティネットジャパンは、日本国内でどのようなビジネスを展開するのだろうか。田井氏は「まずファイアウォールは、特に中堅中小企業でのシェアが高いが、今後はミドルクラスやエンタープライズクラスでもシェアを高めていきたい。また、世界トップとなっているSD-WANやOTセキュリティ分野も、日本市場での拡大を目指す」としている。

 中でも、2022年度に国内で優先して取り組むのは、顧客との関係性強化とOTセキュリティの推進、そしてサービスビジネスの強化だ。

2022年度の日本市場での優先課題

 顧客との関係性強化に向けては、交流イベント「Fortinet Executive Forum」を年2回開催しているほか、エグゼクティブブリーフィングセンターも拡充した。また、サイバーセキュリティに関する情報発信や、業種・業務別の座談会なども実施しているという。

顧客との関係強化

 OTセキュリティ分野では、2回目の開催となる年次サミット「Secure OT Summit」を9月に開催する。また、経済産業省の「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」に準拠したOTセキュリティアセスメントサービスも用意。ウェブ上での簡易診断ツールや、有償アセスメントを提供している。同サービスのパートナー支援プログラムも計画中だという。

OTセキュリティの推進

 サービスビジネスの強化に向けては、フォーティネットジャパンがすでに提供している各セキュリティサービスにより注力する。例えば、攻撃者の視点からデジタルリスクを観察し制御する「FortiRecon」や、ネットワークとセキュリティをクラウドから提供する「FortiSASE」、クラウドネイティブの保護とリスク管理プラットフォームの「FortiCNP」、研究組織とAIによる24時間体制の保護サービス「FortiGuard」などだ。

 セキュリティ分野の市場規模は、製品市場が約3000億円、サービス市場が4000億~5000億円といわれ、成長率は製品市場が約10%、サービス市場が約30%とされている。田井氏は、「セキュリティ市場は人材も限られており、自ら人材を集めて対策することが難しくなってきている。そのため顧客は、製品を購入して組み立てるのではなく、課題を全般的に解決できるサービスを求めるようになった」と話す。「だからこそ当社では、単に製品を販売するだけでなく、顧客の課題に対応できるようなサービス型のビジネスを推進していきたい」(田井氏)。

サービスビジネスの強化

 2025年にはグローバルで100億ドルの事業規模を目指すFortinet。田井氏はこうした方針のもと、そのグローバル目標に日本から貢献していきたい考えだ。