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フォーティネット、クラウドセキュリティ戦略について説明 従量課金型サービスやコンサル/マネージドサービスも紹介

 フォーティネットジャパン合同会社(以下、フォーティネット)は19日、クラウドセキュリティ戦略に関する記者説明会を開催した。説明会では、クラウドを活用した企業のDX展開を支える同社のクラウドネイティブなセキュリティサービス、および日本市場向けに新たに展開する従量課金型サービスやクラウドコンサルティングサービス、マネージドサービスの概要について紹介した。

 フォーティネットでは、Cybersecurity Insiders社とともに、世界各国・各業界の750人以上のサイバーセキュリティ専門家を対象にしたグローバル調査「クラウドセキュリティレポート」を毎年発表している。この最新2023年版の調査結果によると、パブリッククラウドのセキュリティについて「中程度~極めて強い懸念」があると回答した企業の割合は95%に達し、パブリッククラウドでのセキュリティ侵害のリスクはオンプレミスに比べて「やや高い~非常に高い」と回答した企業は43%であった。

 また、今後1年でクラウドセキュリティ予算は「増加する」と回答した企業の割合は60%、一元化されたダッシュボードを備えた統合クラウドセキュリティプラットフォームが「ある程度~極めて役立つ」と回答した企業は90%を占めたことが明らかになった。

パブリッククラウドのセキュリティに関する懸念とセキュリティ侵害のリスク
セキュリティ予算の展望と一元化された統合プラットフォームへの期待

 この調査結果を踏まえて、フォーティネット マーケティング本部 プロダクトマーケティングシニアマネージャーの山田麻紀子氏は、「クラウドの活用が進んだことで、国内でもセキュリティへの投資を検討する企業が増加している。その中で、特にSASEへの注目度が高まってきている。これに対して当社では、『シングルベンダーSASE』と『ユニバーサルZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)』を実現するクラウドネイティブのセキュリティソリューションを提供している」と話す。

フォーティネットジャパン マーケティング本部 プロダクトマーケティングシニアマネージャーの山田麻紀子氏

 「シングルベンダーSASEでは、拠点からリモートまで、あらゆる場所において当社のセキュリティとネットワークの融合を実現。AIを活用したクラウド型セキュリティで、リモートユーザーがどこからでも働けるシングルベンダーのセキュリティサービスとして『FortiSASE』を提供している。ユニバーサルZTNAでは、『FortiGate』と『FortiOS』がアプリケーションゲートウェイを担い、ユーザーアクセスに対する継続的な信頼性のチェック、およびアプリケーションへの明示的なアクセスを提供し、優れたユーザーエクスペリエンスを実現する」としている。

「FortiSASE」のサービス概要

 また、同社では、今年2月に消費型クラウドセキュリティサービスとして、AWS環境向けに専用設計された「FortiGate CNF(クラウドネイティブファイアウォール)」をリリース。「AWS Summit Tokyo」に出展した際には、このサービスが来場者から大きな注目を集めたという。フォーティネット 技術統括本部 セキュリティファブリック技術本部 シニアシステムエンジニアの竹森慎悟氏は、「『FortiGate CNF』では、当社が提供する次世代型マネージドファイアウォールサービスを、AWS上にクラウドネイティブに統合し、従量課金または年間契約で提供する。従来の『FortiGate VM』は、ファイアウォールの設定からインスタンスのデプロイ、拡張性・可用性の管理までがユーザーの運用範囲となっていたが、『FortiGate CNF』ではファイアウォール設定のみとなるため、構築運用管理の負担を低減することができる」と説明した。

フォーティネットジャパン 技術統括本部 セキュリティファブリック技術本部 シニアシステムエンジニアの竹森慎悟氏

 さらに竹森氏は、従量課金型の新たな利用形態へ取り組みとして「FortiFlex」について紹介。「従来のVMライセンス形態では、VMごとに割り当て可能なCPU数に応じたライセンス・型番を購入し、セキュリティ機能のサブスクリプションは別途購入する必要があった。これに対して『FortiFlex』は、ポイント消費型のサブスクリプションモデルとなっており、状況に応じて随時利用型番や利用サービスを調整し、性能要件やセキュリティ要件に柔軟に対応することが可能になる」という。

「FortiFlex」のサブスクリプションサービス概要

 「FortiFlex」は、年間または複数年契約(12/36/60カ月)で、Enterprise向けとMSSP向けを用意している。Enterprise向けはポイントパックの先払い、MSSP向けは消費ポイントに対する後払いとなり、料金は使用するVMサイズ、サービス種別、使用量に応じて日ごとに清算される。「『FortiFlex』では、VMのサイズやサービスを柔軟にスケーリングできることに加え、ポータルサイトからVM資産や利用状況を一元管理でき、運用の簡素化を行える。また、複数の製品やサービス利用を単一支払いまたは後払いにすることで、調達サイクルの繰り返しを回避するとともに、運用コストの一元化を図ることもできる」と、導入メリットを強調した。

 日本市場向けに新たに提供する「クラウドコンサルティングサービス」と「マネージドFortiGateサービス」については、山田氏がサービス概要を説明した。「『クラウドコンサルティングサービス』は、当社のエキスパートがフォーティネット製品の有無にかかわらず、クラウドに関してコンサルティングを実施するサービス。対象は、企業・組織の中でクラウド移行戦略を検討中のエグゼクティブやクラウドアーキテクチャ担当部署、セキュリティ担当部署を想定している。グローバルでは、昨年から提供開始しており、AWSを含むSD-WAN環境構築における製品選定のためのPOC支援や、マルチクラウド環境向けのセキュリティ製品選定の支援などで利用実績がある」という。

 「マネージドFortiGateサービス」は、フォーティネットが提供する「FortiGate」のマネージドサービス。これにより顧客は、次世代ファイアウォールやセキュアSD-WAN、LANエッジ/セキュアSDブランチ、セキュアリモートアクセス/ZTNAといった「FortiGate」の機能を、自社で運用管理することなく利用できるようになる。「FortiCloud」のサービスポータル上から、マネージドサービスの利用開始や変更のリクエスト、チケット更新、スケジュール設定による適用、コンサルティングのリクエスト、レポート閲覧などを行うことが可能となっている。