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大塚商会が2023年度中間決算を発表 売上が5000億円を突破し、利益とともに過去最高を記録

 株式会社大塚商会は1日、2023年12月期上半期(2023年1月1日~6月30日)の決算を発表した。連結売上高は、対前年同期比17.0%増の5210億5600万円、営業利益は同19.3%増の367億1200万円、経常利益は同18.5%増の376億2300万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同11.2%増の254億1700万円。既に7月26日付けで業績予想を上方修正することを発表しており、ほぼ上方修正発表通りの内容となった。

2023年1~6月業績の概況

 代表取締役社長の大塚裕司氏は、「すべての項目で計画を達成することができた。増減率についても、単体純利益のみが1桁成長だが、後は2桁伸長となる高い身長率を実現することができた。売上高、利益ともに上半期としては過去最高の数字となり、Windows 7への入れ替え需要という特需があった2019年を凌駕する数字だ。特需がない時期にこの数字を達成できたことは価値ある結果だと考える。コロナ禍など課題もいろいろあったが、やはりお客さまの競争力強化を意識したIT投資需要は根強いと感じている」と好調の要因を説明した。

大塚商会 代表取締役社長の大塚裕司氏

 なお連結売上高・利益の状況について大塚社長は、「上半期売上高は5210億円で、初めて半期で5000億を突破した。大塚商会の売上高を上期と下期に分けると、上期は3月という決算をする企業が多くその前の需要があり、さらに6月末というもうひとつの需要期が含まれる。対して下期は、訪販事業者には厳しい夏場、それから12月の山ということになり、上、下で見ると下期の方が少し厳しいことが通例となっている。上半期業績に2をかけた売上となれば大変なことになるが、下期は少し予算が小さくなると見ていただければ」と、下半期の売上が例年、上半期よりも小さくなることを強調した。

セグメント別の業績

 連結セグメント別売上高は、システムインテグレーション事業は前年同期比5.0%増の2870億3700万円、サービス&サポート事業は同3.7%増の1582億9900万円。単体の詳細セグメント別売上高は、SI関連商品が2705億8400万円、受託ソフト等が300億2700万円、サプライが917億1900万円、保守等が772億3500万円。

 「昨年は会計基準の変更があった関係で低い伸長率となったが、今期からは平常に戻った。単体についても、ご覧いただいたように各セグメント順調に伸び、バランスも良いと思っている」(大塚社長)。

連結:セグメント別売上高
単体:詳細セグメント別売上高

 連結売上高、連結経常利益の四半期推移については、「第1・第2クオーターともこの3年間で比較し、特に第2クオーターのトップラインが伸びたという感覚がある。経常利益の四半期推移も同様で、首1つ大きく出ているという形となっている」という。

連結:売上高の四半期推移
単体:経常利益の四半期推移

 詳細セグメント別売上高増減率の四半期推移は、2023年は保守等が前年よりも大きく伸長しているが、「前年は収益認識に関する会計基準が適用されたことで低くなっていた保守が、今年度は通常に戻った。ただし、第2クオーターの保守が第1クオーターよりも若干下がっている。実は4月に保守料金の値上げを行い、その前に告知も行った影響を受けている。値上げは契約更新のタイミングで入ってくるので、一気に料金が上がっているわけではないが、それにふさわしい保守サービスを提供していくよう頑張っていきたい」(大塚社長)と説明した。

単体:詳細セグメント別売上高増減率の四半期推移

 単体顧客企業の業種別売上構成では、「全業種売上増となっているが、これは民需も含め市場が本格的に動き出したと見ている」と民間企業のIT需要が回復しているとの見方を示した。

 単体の重点戦略事業の状況は、「たのめーる」売上高は前年同期比8.1%増の985億9800万円、オリジナル業務ソフト「SMILEシリーズ」は同33.0%増の86億8300万円、ドキュメントソリューション「ODS」は同6.1%増の322億0100万円、セキュリティソリューション「OSM」は同14.0%増の533億8500万円。

 複写機は前年同期比1.2%増の2万1109台で、そのうちカラー複写機が同0.4%増の2万0555台、サーバーは同8.5%増の1万1970台、パソコンは同10.7%増の64万2107台、クライアント合計では同4.5%増の67万0194台。

単体:重点戦略事業の状況

 「重点戦略事業は、上半期は全項目プラス達成となった。4月~6月ではドキュメントソリューションがコピーも含め若干前期割れとなったが、大筋順調に推移していると見ている。好調だったのがSMILEシリーズで、インボイス、電帳法などのトピックもあることから、堅調に推移した。たのめーるについては、前期比8.1%増の985億円。2010年時点では年間1000億円を超えたとアピールさせていただいたが、今年度は上期だけで1000億円に近いところまで伸びてきた。ただし、4月の新しいカタログからいろいろなものを値上げしているので、その影響で数字が動いたところもあるかもしれない。年間では売上高2000億円突破に挑戦したいと思っている。たのめーるの口座数も、前年比で5.3ポイント増と好調に伸びている」(大塚社長)。

単体:たのめーる年次推移

 主なWebサービスの利用者数推移では、上半期だけで利用者数が390万人を超えた。「Webサービスの利用者数推移は、2022年までは通期、今期のみ上半期の数字だが、利用者数はプラス17万人となった。たよれーるOffice365が104万人、どこでもキャビネットが27万件と着実に利用者を増やしている。今後もメニューを拡充し、さらに利用者数を増やしていきたい。ハードウェアメンテナンスなどの保守サービス料がなかなか伸びにくい状況となり、価格も下がっている。その分をWebサービスでカバーしていきたいと考えている」(大塚社長)。

単体:主なWebサービス(ASP)利用人数推移

 大塚商会にとって収益の柱となっているサプライと契約保守の売上を示すストックビジネスの推移については、上半期で8.2ポイント増の1631億円となった。「昨年に会計基準の変更があったために、従来と同じラインではないものの順調に伸びている」という。

単体:ストック(足し算)ビジネスの推移

 パソコン、複写機の販売台数四半期推移としては、「JEITAの販売台数推移では前年同期比マイナスというデータが出ているのに比べると堅調な動きとなっている。パソコンの単価は、第2クオーターを前年同期比で比較すると約20%アップしている。いろいろなものが値上がりしている中、パソコンも同様に値上げではあるが、2割アップはかなり大きな単価上昇だと考える。なんとかこれからも伸びを続けるよう頑張っていきたい。複写機は第2クオーターで前年同期比割れとなった。ポイントでは1.0ポイントマイナスなので誤差の範囲ともいえるが、少しのマイナスは残念なことだと考える。メーカーさんとの関係も含め、仕入れ額、台数は安定的に、メーカーとの信頼関係を守るという意味でもキープしていきたいと考える」(大塚社長)と説明している。

パソコン販売台数の四半期推移
複写機販売台数の四半期推移

 なお、2025年10月14日でWindows 10のサポートが終了することから、今後、本格的にWindows 11搭載パソコンへのリプレース需要が立ち上がると見られているが、「Windows 11は従来よりも対応基準が厳しくなり、従来のように古いマシンでも我慢すればなんとか動かせるということがない。そのためリプレース需要がそれなりに出てくると見ている。また、当社では民需活性化策として、Office 365をどう生かしていくか、Windows 11を意識しながらマイクロソフトの方針も含めてセミナー等でアピールしている。大企業のお客さまでは、早いところでは今年の終わりから来年早い時期に入れ替えを検討しているようで、結構、そのセミナーがにぎわっている。お客さま側の関心も高い」(大塚社長)と、需要について説明した。

中・長期経営方針をあらためて説明

 中・長期経営方針は、7月24日に発表会を実施したが、「100年後も生き生きと活動している会社を作ることを目指す。環境変化に耐えうる長期持続的なビジネスモデル構築し、お客さまと新たな関係作りを進める。これは大戦略Ⅱを活用し、実践していることだがお客さまとの信頼関係、距離感をもっと近づけていきたい。営業利益7%以上を定着し、成長を続ける会社でありたいと考える」とあらためてアピールした。

基本方針と中・長期経営方針

 新規取引企業数は、2023年4月は前年並み、5月、6月は減となった。「これはたのめーるが5月に値上げされた影響といえる。減少幅はだいぶ回復しているので、少しずつ戻ると考えられる」と説明した。

 大塚商会では新規顧客獲得とともに、1企業あたりの取引数増加という戦略を進めている。従来は、「オフィスまるごとという方針を出しながら、今まで取引があったお客さまに新たな困りごとがないか、追加ニーズがないか細かく対応していく必要がある。これまでは営業担当者が自分の売りたい物を中心に考え、例えばコピー機ならばリース期間が終了間近となるまで訪問しないという傾向にあった」と、従来の営業活動に触れる。

 そしてその上で、「お客さまのオフィスの中にはさまざまな機器が必要で、お客さまとの関係をもっと密にすることで、新しい商材販売につなげていきたいと考える。実際に保守契約を結んでいるお客さまのもとを回ってみる試みを2022年9月、10月に実施したところ、約半数のお客さまに追加購入していただくことができた。大塚商会はオフィスまるごとの商材を扱っていることを念頭に置きつつ、これまでとは異なる商材の注文がないか営業を行っていくことで、これまで取りこぼしていた部分をカバーすることができる。受注の状況を見ても、営業担当者の意識が変わって、営業を行っていくことで、追加受注額が増えている傾向にあり、これは今後も増やしていきたいと考える」(大塚社長)と述べた

 営業におけるAI活用にも取り組みも積極的に行い、「ほぼメーカーに匹敵するか、もしくは凌駕するレベルでAI活用を進め、研究も積極的に行っている」と強調した。

AIの大塚商会

通期の業績予想も上方修正

 2023年通期連結業績予想は、売上高は前年比10.8%増の9540億円、営業利益は同13.6%増の622億円、経常利益は同11.9%増の634億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同6.7%増の427億円。

 連結セグメント別売上高は、システムインテグレーション事業が前年比13.2%増の6130億円、サービス&サポート事業は同6.8%増の3410億円。

 大塚社長はこの目標について、「通期計画は、上半期の上昇分を上方修正した。上方修正額は売上高で530億円、営業利益で36億円プラスとなっている。上期と下期では、下期は上期に比べ夏場など動きが悪い時期が含まれるが、さらに良い結果となるよう努力していきたいと思っている」と説明した。

連結:売上高・利益の計画