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大塚商会、2024年度中間決算を発表 増収増益で売上・利益とも過去最高を達成

 株式会社大塚商会は1日、2024年12月期第2四半期(中間期)の決算を発表した。売上高は前年同期比9.3%増の5697億2200万円、営業利益は同5.8%増の388億4300万円、経常利益は同5.9%増の398億5200万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同6.0%増の269億3000万円。

2024年1~6月業績の概況

 代表取締役社長の大塚裕司氏は、「連結・単体ともにすべて計画をクリアし、売上高、各利益ともに前年に続き過去最高の業績を達成することができた。2023年になり、コロナ禍で滞っていた状況から本来の大塚商会の持っているポテンシャルに戻せるようになった。上期で、昨年に引き続き過去最高を更新できた要因としては、市場の中で競争力強化を目的としたIT投資をする企業が多い表れと感じている」と、絶好調な業績の要因を説明した。

代表取締役社長の大塚裕司氏

 なお、好調な上半期を受け、通期の連結業績予想を上方修正した。売上高は前回予想よりも290億円増の1兆550億円、営業利益は同10億円増の695億円、経常利益は同15億円増の705億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同10億3000万円増の487億円。大塚社長は、「この数字をさらに上回れるよう努力し、売上高1兆円という節目をキレイな形でクリアしたい」と、上方修正達成の意欲を語った。

 今回の売上・利益の状況については、「売上高は(前年同期比)9.3%増と2年連続の高伸長となっている。要因は、パソコンが少し動き出してきたこと、それからマイクロソフトのいろいろな施策の中でライセンス系売上がこの1~6月の中で大きく伸びた。粗利率は若干低下したが、トップラインを伸ばしたことで粗利額を確保し、販管費増などを吸収した」と説明した。

【連結】売上高・利益の計画

セグメント別の概況

 連結セグメント別では、システムインテグレーション事業は売上高が10.1%増の3855億2100万円。パソコンやパッケージソフトの売上高を伸ばした。サービス&サポート事業は、売上高が7.9%増の1842億100万円。

【連結】セグメント別売上高

 単体詳細セグメント別売上高では、SI関連商品が3031億6100万円、受託ソフト等が304億4100万円、サプライが968億1100万円、保守等が855億3200万円。

【単体】詳細セグメント別売上高

 売上高、経常利益の四半期推移については、「売上高、経常利益ともに順調に推移した。売上高は高伸長の前年を上回り、第2四半期には四半期の売り上げとしては初めて3000億円を突破することができた。下期もこの勢いで頑張っていきたい。経常利益も売上同様に、連続の増益、第2四半期としては2年連続2桁増となった。第1四半期の頭にはちょっと伸びが低かったものの、その後、また正常な形に戻ることができた」と分析している。

【連結】売上高の四半期推移
【連結】経常利益の四半期推移

 なお正社員の職種別人員構成は、連結従業員数は2024年6月末現在で9802人。技術職が38.5%にあたる3775人、営業職が33.6%の3292人、スタッフ職が26.2%の2571人、その他が1.7%の164人となっている。「1人あたりの売上金額は、1~6月期は5812万円で、前年同期比プラスの325万円で過去最高を更新している。市場の環境に積極的に対応していくことと、効率的な運営と、これが両立できていると思っている」とした。

【連結】正社員の職種別人員構成

重点戦略事業の状況

 重点戦略事業の状況(4~6月)は、「たのめーる」は前年同期比4.6%増の521億9300万円、「SMILE」は同2.2%増の50億2200万円、ドキュメントソリューション「ODS」は同3.9%増の177億4300万円、セキュリティソリューション「OSM」は同20.7%増の344億1300万円。

 重点ハードウェアの販売台数(4~6月)は、複写機は前年同期比3.7%減の1万1128台、サーバーが同13.2%減の5405台、パソコンは同10%増の31万7251台、パソコン含むクライアント合計は同10.8%増の33万8147台。

 「当上半期で特に目立つところでは、やはりセキュリティ関係の伸長が顕著。SMILEパッケージについては、やはりインボイスの影響を受け、一部マイナスとなっているが、直近ではプラス伸長に戻り、少しずつ正常化を図っている。パソコンは堅調な動きで、4ー6月には2桁伸長となっている。サーバーについては、マイナス13.2%で、意外と頑張っているのかなと個人的には思っている」とした。

【単体】重点戦略事業の状況

 たのめーるについては、昨年度売上高2000億円を突破したが、「1~6月で売上高1038億4800万円。登録口座数も増加しており、今年度も売上高2000億円突破を実現するのではないかと考えている」と、引き続き好調だと説明している。

【単体】たのめーる年次推移

 Webサービスの利用人数推移を見ると、2024年6月時点で420万人が利用している。「Webサービスは、最近ではクラウドサービスといえるかもしれない。420万人利用者は、この6カ月で21万人増えている。利用者が増加したのは、たよれーるのMicrosoft 365サービス、どこでもキャビネットのようなサービスなどが増えているためだ」という。

主なWebサービス(ASP)利用人数推移

 ストックビジネス推移は、前年同期比134億円増の1766億円となった。「高い伸びを示し、2007年の年間売上に匹敵するぐらいのレベルとなっている。2007年はちょうどリーマンショックの来る手前、ネットバブルがはじけ、少し回復してきた時期にあたる。ただし、パーセント比率としてはトップラインが非常に伸びているので、低下をしているが、内容的には堅調と判断している」。

【単体】ストック(足し算)ビジネスの推移

 複写機販売台数の四半期推移では、第2四半期には前年割れとなった。「現状、公表されている市場全体のデータはまだ出ていないが、これまでの動きから考えると業界平均は超えているのではないかと想定している」とした。

 一方でパソコンの販売台数四半期推移では、第1四半期、第2四半期ともに前年を上回った。「パソコンについてはJEITAのデータを上回り、堅調に推移している」という。

複写機販売台数の四半期推移
パソコン販売台数の四半期推移

「MM戦略推進事業部」を発足

 なお、大塚商会では「オフィスまるごと大塚商会」として、オフィス内のほぼすべての商材を販売していることから、販売品目増加していくことを強化策として掲げている。その方針を具現化するように、2024年7月には従来はプロダクト単位だったマーケティング組織を再編し、まるごとマーケティングができる「MM戦略推進事業部」を発足した。

「まるごと」に向けた組織再編

 「昨年、お取引したお客さまが29万5000社。そのうち、パソコンなど1つのアイテムだけのお客さまが20万社と依然として多い。残りの商材は全部他社から購入されていると考えると、そのお客さまに1つでも2つでも追加提案ができるようになれば、まだまだ大きなパークがあるということになる」と説明。

 そして、「今年は売上高1兆円に挑戦しているが、オフィスまるごと売り込める体制とするべく、昨年もいろいろ組織変更しているが、今年の4月、MM本部を作った。MMはまるごとマーケティング本部で、全社の丸ごとを牽引する、または全社マーケティングとして全体を見ていく機能を持った組織となる。今までコピー部門、コンピューター、CAD、通信ネットワークなどそれぞれの部門ごとに販促部隊を持っていたため、全社マーケティングという点では少し統一性がなかった。手を打たなければいけないと思っていた。そこで7月には、MM戦略推進事業部という組織を新設し、全社マーケティングの機能を集約・統合しながら、バランスを取りながらマーケティング活動を進めていく。最終的にはお客さま目線でまるごとマーケティングを目指したいと思っている」と述べた。

 受注状況としては、前四半期に取引があった顧客の3割が、次の四半期に取引をしている。「これはまるごとオフィスという発想で営業を進めなければ、過去は追加発注をいただいてなかった部分。追加発注額、金額で280億円となる」のだという。

 AI活用については大塚商会自身の営業活動にAIを活用しながら、商材としてAIの販売も行っている。

 営業活動支援については、「AIは部門に属しないので、全部門を見ながらお客さまに最適なものをレコメンドしてくる。担当営業が得意ではない商材を提案することもあるので、新たな気づき、勉強の機会ともなる。AIレコメンドからの受注額は35億円と順調に伸びている」と、その効果を説明した。

AIによる営業活動支援

 一方で、「商材としてのAIは、主に3種類を扱っている。1つは従前型のビッグデータ分析で、資本業務提携したdotDataなどを行いながら、ビジネスを進めている。2つ目は生成AIで、どう組織の効率化するのかの提案などを行う。NEC開発のcotomiなども扱いながら、ChatGPTなど複数のものを扱い、提案していく。3つ目はCopilotで、ある意味ではAIの入り口となる個人の業務効率化につながるサービス。当社は国内でトップクラスとなる4万4000シートを提供している。今後も社内の人材教育、有資格者を増やす試みも継続して行っていく」とのことだ。

お客さまに提供する3つのAI

 また社員のウェルビーイング推進を狙い、“AIハピネス”を活用するなど、さまざまなAI活用を進めている。

AIハピネス

 通期見通しについては、上半期が好調だったことから上方修正を行った。「2年連続の上方修正だが、売上高の増額は290億円で、なぜ300億円にしないのか?切れが悪いのではないかと思われるかもしれないが、この数字をさらに上回れるように努力していきたい」と上方修正に自信を見せた。