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大塚商会、2023年度通期決算は売上・利益とも過去最高に 24年度売上高は初の1兆円超え目指す

 株式会社大塚商会は1日、2023年度(2023年12月期)の決算を発表した。連結売上高は、前年比13.5%増の9773億7000万円、営業利益は同15.0%増の629億5900万円、経常利益は同13.9%増の645億1700万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同18.6%増の474億4800万円となった。

【連結】売上高・利益の状況

 代表取締役社長の大塚裕司氏は、「連結では4年ぶりに、売上高、営業利益、経常利益、純利益の4つとも過去最高を上回ることができた。計画比も、2023年7月に計画の上方修正を行ったが、それを上回る結果となった」と好調な業績であることをアピールした。

株式会社大塚商会 代表取締役社長 大塚裕司氏

 2024年度の通期業績見通しは、売上高は前年比5.0%増の1兆260億円、営業利益は同8.8%増の685億円、経常利益は同6.9%増の690億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同0.5%増の476億7000万円。

 「ついに売上高1兆円超えの目標を出させてもらった。当期純利益などは慎重な見通しとしているが、これしか伸ばさないのでこの目標値にしたということではない」(大塚社長)と、利益増も積極的に進めていく方針だ。

 また2023年度の売上高と利益の状況について大塚社長は、「売上高は前年度実績に1000億円上乗せすることができた。利益についても人的資本を強化しながら、過去最高益を更新することができた」と体制強化と利益向上の両方を実現できたことをアピールした。

 連結のセグメント別売上高は、システムインテグレーション事業が前年比16.3%増の6301億8500万円、サービス&サポート事業が同8.7%増の3471億8500万円。

【連結】セグメント別売上高

 単体の詳細セグメント別売上高は、SI関連商品が4677億6400万円、受託ソフト等が581億1000万円、サプライが1855億200万円、保守等が1581億9500万円。「連結ではSI関連商品が好調だが、単体でもSI関連商品、受託開発などが好調に推移した」(大塚社長)という。

【単体】詳細セグメント別売上高

 連結の売上高と経常利益の四半期推移は、「売上高は大変好調な上半期に続き、下半期も好調となった。それに伴い経常利益も7四半期連続で増益となった」(大塚社長)と、好調であることを説明した。

【連結】売上高の四半期推移

 単体の詳細セグメント別売上高増減率の四半期推移では、「各項目ともに水面(0.0%)の上となった。2022年度の会計基準の変更、コロナ禍とイレギュラーな状態が続いた時期を乗り越えて、平常な増減率推移となっている」という。

 また純利益、自己資本とともにROE(自己資本利益率)の推移を公開し、「2010年度から14期連続で2桁となっている」こともあらためて強調した。

 2023年12月末の正社員数は9421人で、前年に比べ213人増となっている。人員増でありながら、「社員一人あたり売上高は初めて1億円を超える1億374万円となった。効率良いビジネスができている」としている。

 単体の重点戦略事業の状況としては、カタログ通販事業の「たのめーる」が前年比9.8%増の516億1700万円、オリジナルパッケージ「SMILE」が同5.7%減の35億7800万円、ドキュメントソリューションの「ODS」が同8.9%減の136億9300万円、セキュリティソリューションの「OSM」が同30.6%増の269億4900万円。

 重点製品である複写機は前年比7.0%減の8950台、サーバーは同21.0%減の5091台、パソコンは同9.7%増の27万1514台で、タブレットなどクライアント機合計では同10.1%増の28万4388台となった。

【単体】重点戦略事業の状況

 「たのめーる事業は初の2000億円越えを達成している。口座数も順調に増加しており、200万口座を突破した。複写機は、上半期は値上げ前の駆け込み需要で増加したものの、第4四半期では前年マイナスとなった。パソコンは5四半期連続の前年増となった。個々の機種の値上げもあり、売り上げも増加しているが、JEITAのパソコン出荷台数が2.9%増であることと比較すると、台数についても好調な推移といえるのではないか」。

【単体】たのめーる年次推移

 クラウドソリューションを指すWebサービス(ASP)は、2023年度は利用者数が399万人となった。マイクロソフトのクラウドサービスとセットで提供している「たよれーる365」も好調で、「コピー機の保守がだいぶ落ちてきている中、ここが伸びるのは会社として安定した収益源となりつつある」という。

 2024年度も基本方針、中・長期経営方針に大きな変化はない。取引企業数・一企業当たりの売上高として、中・長期のKPIは取引企業数2.0%増、一企業当たりの売上高3.0%増を目標としているが、2023年度実績は取引企業数は29.5万社で前年比1.1%増、一企業当たりの売上高は12.0%増の293万円となった。「一企業当たりの売上高は目標の4倍を達成したが、これは近年進めている、オフィスまるごと商材として販売していく戦略が浸透し、追加購入が進んでいる結果」と説明する。

基本方針と中・長期経営方針

 2024年の基本方針として掲げるのが、「お客様に寄り添い、DXでお客様と共に成長する」で、大塚商会の顧客情報システムSPRと、独自のパイプラインをもったAI活用をセットで利用することで営業拡大を進める。

2024年の基本方針

 「AIについては、社内のマネジメント体制を変えていきたい。昭和の営業体制はさすがに残ってないとは思うものの、AIを活用し、社員が幸福に働ける体制を作ることを目指す」という。2023年11月に資本業務提携したハピネスプラネットのAIを活用し、社員の働き方サポートなどを行っていく。

 営業活動についても、一定時間予定がない営業スタッフにAIから、商談先をアドバイスすることでどれくらい成果があったのか、営業活動支援の実績データを公表した。2023年度第4四半期では8.8%、AIきっかけの受注があったという。「人間は色眼鏡でものごとを見がちなので、あの会社に行っても買ってもらえないと判断してしまうことがあるが、AIにはそういう判別がないので、提案が結果につながっているようだ」。

AI人材育成
AIによる営業活動支援

 社員の働き方を変える取り組みとして、2023年7月から全国10拠点に「MST」という新組織を作った。従来はコピー機を担当していた人員をコピー機にしばられず営業することを認めた組織となる。「従来はコピー機を利用している顧客を守り、他社製品利用企業を奪取することがミッションだったが、お客さまのことが一番わかっているメンバーに取り扱い商材の垣根をなくした。MSTとは、まるごと・ソリューション・チームの略で、オフィスまるごと大塚商会というミッションを実現するために動いていく」

 2024年度売上高は1兆円を超えることを目指すが、「利益に関しては特に上半期が見通しにくいこともあって慎重な見通しとしたが、積極的に目標越えを目指したい」と目標を上回る利益獲得にも意欲を見せた。