ニュース
NTT西日本と日本マイクロソフト、地方自治体のDX加速に向け協業
デジタル化を加速させて社会課題の解決に取り組む
2023年5月23日 06:30
西日本電信電話株式会社(以下、NTT西日本)は22日、地方自治体や地域ベンダーのデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるため、日本マイクロソフト株式会社と協業すると発表した。
NTT西日本 代表取締役社長 社長執行役員の森林正彰氏は、少子高齢化や社会インフラの老朽化など、社会課題が重層化していく中で、「デジタル技術は地域社会が抱える課題を解決する可能性を広げるとともに、組織を越えた共有・展開が容易だ」と説明、デジタル化を加速させて社会課題の解決に取り組む必要があるとした。
そこで、NTT西日本が持つ地域密着の組織体制やサポート力、自治体業務に精通したコンサルティング力とソリューション、高品質ネットワーク、データセンター、インフラサービスと、日本マイクロソフトのグローバルなクラウドサービスや、AIを活用した最先端技術などの強みを組み合わせ、地方自治体のDX推進を支援するという。
今回の協業による両社の具体的な取り組みとしては、1. 自治体システムのクラウド化にまるごと対応すること、2. スマート自治体を実現するDXサービスを提供すること、3. 自治体業務のBPO(業務プロセスの外部委託)サービスを提供すること、4. デジタル人材の育成を支援すること、の4点だ。
1点目の自治体システムのクラウド化については、2025年度の自治体情報システムの標準化対応などを見据え、コンサルティングからハイブリッドクラウド環境の導入、サポート、ネットワーク接続、セキュリティまで、自治体の要望に対応するサービスをまるごと提供する。
コンサルティングでは、各自治体業務の現状調査や、最適なシステム構成などを検討するほか、調査で明らかになった業務課題を解決する自治体DXソリューションを提供する。また、ガバメントクラウドへの移行支援や、安価なクラウド環境の提供などによってハイブリッドクラウドの導入を支援することに加え、サポート、ネットワーク、セキュリティといったトータルマネージドサービスも提供する。
2点目のスマート自治体の実現に向けては、生成AIの特長を生かし、複雑な問い合わせにも対応可能なDXサービスを導入、サポートまでをパッケージ化して提供する。これにより、多様化する窓口業務や制度対応でのミスを防ぐ。
3点目のBPO支援については、ローコードツールやRPAなどのDXツールに加え、生成AIを活用して生産性向上と業務効率化を追求、複数の自治体の共同処理によるBPOサービスを提供する。こうして職員不足に対応することで、人的資源を相談業務などの高度な行政サービスに集中させることが可能になるという。
4点目のデジタル人材の育成支援については、全職員を対象としたアセスメントや基礎研修、管理職や現場リーダーを対象とした伴走型実践研修など、デジタル人材の育成メニューを用意するほか、外部人材の活用もサポートする。また、NTT西日本の共創拠点「LINKSPARK」や、オープンイノベーション施設の「QUINTBRIDGE」も活用した人材育成支援を行うほか、「LINKSPARK OSAKA」内に新たに「Microsoft Base」を開設、両社で連携しながら地方自治体や地域ベンダーのデジタル人材の育成に取り組む。
この4つの取り組みの中で、1点目の自治体システムのクラウド化と4点目のデジタル人材の育成支援はすでに提供可能となっている。2点目のスマート自治体に向けたDXサービスや、3点目のBPOサービスについても、数カ月以内に提供できるよう準備を進めているという。
日本マイクロソフト 代表取締役社長の津坂美樹氏は、「今回の協業は、『地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする』というマイクロソフトのミッションに根ざしたものだ」とコメント。同社では、すべてのソリューションにAIを組み込むことを、最高経営責任者(CEO)のサティア・ナデラ氏が宣言しており、「マイクロソフトの幅広い製品にAIのパワーを加えることで、NTT西日本との共同事業の開発や、ガバメントクラウドで事業展開するパッケージベンダーの製品開発に独自の価値を提供することが可能だ」と津坂氏は述べた。
森林氏は、今回の協業で提供するサービスを「西日本地域の915自治体のうち、4分の1以上の自治体に利用してもらいたい」としており、「5年間で累計約500億円の売上規模を目指す」と述べた。