ニュース
日本企業の92%が12カ月以内にAIエージェントを導入予定、UiPathが調査結果を発表
2025年8月12日 12:00
米UiPathは6日、同社の委託により作成されたIDCの調査報告書「エージェンティックオートメーション:シームレスなオーケストレーションの実現によるモダンな企業への進化」を発表した。
同報告書によると、国内大手企業の約40%がすでにAIエージェントを導入しており、52%が今後12カ月以内に使用予定であると回答している。さらに本報告書では、AIエージェントの導入が加速していることを示しており、企業がAIの実験段階から大規模な実装へと移行する動きが広がる中、2025年を日本におけるAI統合の転換点となる年として位置付けている。
AIの大規模な実装への移行は、顧客エクスペリエンスの向上、ビジネスオペレーションの効率向上、組織的リスク管理の改善といった企業のニーズによって加速していると説明。日本企業もエージェンティックAIがもたらす具体的なメリットを実感しており、67%が「生産性の向上を支援している」と回答し、64%が「より複雑なタスクの処理に役立っている」と述べている。
世界第3位の経済大国である日本は、AIの開発と導入において重要な役割を担っており、特に、製造業、小売・卸売業、通信・メディア・エンターテインメント業界が、日本においてエージェンティックAIの導入が進んでいる主要業種として挙げられると分析。また、日本企業は、2025年に最も有望なエージェンティックAIのユースケースとして、「生産性の向上(67%)」「顧客サポートの自動化(66%)」「サプライチェーンの最適化(47%)」を挙げている。
日本ではAIの取り組みに対して多様なアプローチが採用されているものの、広範な導入に向けてはいくつかの課題が残されていると指摘。特に、AIガバナンスおよびリスク管理(22%)、データガバナンスの要件(20%)、ITインフラの複雑性(20%)が、日本におけるAI技術の成長を妨げる主要な課題として挙げられている。
エージェンティックAIに関して、日本企業は自律的な行動によるセキュリティ上の脆弱性(56%)、データプライバシーの侵害(54%)、悪意のある行為者による悪用の可能性(44%)が、ビジネスリスクにつながることを懸念している。導入の面では、データセキュリティの懸念(67%)、スキルを持つ社内のIT人材不足(51%)、既存システムとの統合(50%)が、主要な課題として挙げられている。
こうした課題はあるものの、日本におけるエージェンティックAIの導入は加速し続けており、約3分の2の企業(66%)が、まだ大規模な投資には至っていないものの、エージェンティックAIのユースケースの開発に積極的に取り組んでいるとしている。
UiPathでは、この変革の最前線にあるのが、AIを活用したビジネスを実現するための重要な要素であるエージェンティックオートメーションだと説明。エージェンティックオートメーションは、企業がエージェンティックAIとRPAの力を企業のワークフローに統合し、自律型AIエージェントを活用して複雑なタスクの実行を可能にすることで、効率性、拡張性、イノベーションを新たなレベルへと引き上げる。また、その効果を最大化するために、企業は「エージェンティックオーケストレーション」を活用し、孤立したAIタスクをつなぎながら、ワークフローを動的に管理し、組織全体にわたってエージェンティックオートメーションを拡張している。
日本企業がエージェンティックAIソリューションを導入する中で、ビジネスリーダーは、透明性のある人間とエージェントのエコシステムの構築を優先し、堅牢なガバナンスフレームワーク、透明性の高い意思決定機能、データセキュリティとプライバシー標準への厳格な準拠を備えた自動化ソリューションの導入を進める必要があると指摘。同時に、テクノロジーリーダーは、企業のニーズに合わせて拡張できるだけでなく、既存のシステムやアプリケーションとシームレスに統合できるプラットフォームを優先しながら、適切なエージェンティックツールを評価・特定することが求められるとしている。
また、AIエージェントの導入を効果的かつ責任ある方法で進めるために、政府は倫理的なAIの使用に関する明確な政策、基準、規制ガイドラインを確立し、ガバナンスフレームワークを強化する必要があると指摘。さらに、データセキュリティ、倫理的な懸念、コンプライアンスの課題に対応するためには、透明性の高いリスク管理、堅牢なセキュリティ対策、ターゲットを絞ったスキルアッププログラムが必要であり、人材不足に対処するためのスキルアッププログラムへの投資や、官民連携によるインフラコスト削減も重要になるとしている。