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NTTデータGSL、グローバル企業支援体制と教育体制拡充でSAPビジネスを加速

 株式会社NTTデータグローバルソリューションズ(以下、NTTデータGSL)は21日、事業戦略説明会を開催した。同社は2012年に設立された、NTTデータグループ内でSAPビジネスを遂行・促進するコアカンパニー。それ以来、国際展開をする日本企業の基幹システムをサポートし、これまでに30カ国でプロジェクトを進めてきた。SAPのERPだけでなく、各領域のSaaSソリューションとAPI連携でシームレスに連携させる、周辺系エコシステムを持っていることが特色となっている。

 また、社内の人材育成を目的に「GSL大学」を設置し、社内のSAP人材育成強化も進めている。今後は、社外にもアピールできる人材育成制度としてアピールを行っていくことも計画している。現在、社員は500人だが、中途採用で最大60人、新卒採用で最大30人採用を目指し、1年程度で550人体制までの人員拡大を目指す。

 同社 代表取締役社長の磯谷元伸氏は、「クラウド時代になって、SAPソリューションを一度導入し、その後5年何も触らないでは不十分。どんどん進化させていくお手伝いを行い、お客さま自身がもっといろいろと活用したいと考えるような支援を行う。それによって当社の売上も伸ばしていくことを目指したい」としている。

NTTデータGSL 代表取締役社長 磯谷元伸氏

ローバル展開を行う日本企業のSAPソリューション導入・活用を支援

 NTTデータGSLは、NTTデータグループ企業だったNTTデータソルフィス、NTTデータグローバルSAPビジネス本部、株式会社クニエのSAP-AMO部が合体し誕生した。国内でSAPビジネスの遂行と促進を行うことを目的に、グローバル展開を行う日本企業のSAPソリューション導入、活用を支援することを主な業務としている。

NTTデータGSL設立の背景

 設立から10年の間に、2013年11月には国内初のSAP HANAの販売とサポート認定取得、2014年10月にはAWS Partner Networkコンサルティングパートナーとなり国内第1号のSAPコンピテンシー資格取得、2016年1月にはMicrosoft Azureを活用したSAPソリューションマイグレーションサービスで日本マイクロソフトとの協業――などの実績を重ねてきた。

 「2020年から現在までの3年間は、DXの観点で基幹システムの見直しを行う企業が多い時期となった。その中でSAPのERPは、基幹系システムのコアとして大企業から中堅・中小企業まであらためてその実力、コンセプトが再評価された。当社自身も大型案件を複数受注し、売上、利益共に大幅な伸びを記録している。お客さまと一緒に最適解を検討し、導入を進めていくことができた」(磯谷社長)。

NTTデータGSL 10年の歩み

 現在提供しているのは、企業のDX推進、基幹システムの再構築、SAPソリューションの運用保守、顧客の個別業務に合わせた周辺系エコシステムの提供、クラウドやAI技術の活用など。SAPに特化することでノウハウを蓄積してきた。

提供するサービスについて

 SAP S/4HANAの導入実績は45社で、毎年20社程度の導入を支援している。2023年には5社の稼働を実現する予定だ。「基幹システムのクラウド活用を実践する企業は今後も増えていくだろう。オンプレミスのSAP ERPを導入していた企業のマイグレーションを中心に、S/4HANA Cloud導入が加速するのに向けて、クラウド移行を支援する体制を充実していく」(磯谷社長)。

 他社にない特徴となっているのがグローバル展開を行う日本企業を支援する体制で、「米国、欧州だけでなくインド、南アフリカ、ルーマニア、トルコなど、この10年間で30カ国のサポートを行っている。これだけグローバルにサポートできる体制を持った日本のベンダーはほかにないのではないか」(磯谷社長)と説明する。

グローバルにおける現地サポートの実績(30カ国)

 SAPコアに加え、BI、プロセスマイニング、EDI、SFA、EAIなど各領域別にSaaS型ベストソリューションを選び、周辺系エコシステムとして個社の業務プロセスに合わせた仕組みを持っている。個社の業務に特化した、柔軟性のある仕組みを導入することで、基幹系と周辺システムによるDX実践を支援していく。

 「クラウド時代となり、何年もかけてERPを導入するかつてのやり方ではなく、スピーディーにビジネス成果を出すことを支援していくのが当社の役割。システム全体のライフサイクルに関わる中で、ロングターム・パートナーシップを確立していく」(磯谷社長)。

 顧客を支援する体制のベースとなっているのが、「GSL大学」という社内人材を育成する体制だ。IT技術者不足が叫ばれているが、特にSAPビジネスに関連する人材はあちこちから引く手あまた。「SAP経験者をいかに採用するか、企業ごとの争いが過熱している。そこでSAPプロフェッショナルの最高の職場環境を作ることを目的に、2019年10月に社内人材を育成するGSL大学を開校した」(NTTデータGSL HRDセンター・センター長の大村友介氏)。

NTTデータGSL HRDセンター センター長の大村友介氏
GSL大学を開校

 これまでSAPビジネスに関わった経験と知識を生かし、現場知を組織横断で伝授していくための5つの研究室、上流コンサルタントの知見や各部門のソリューション事例などを共有する社内公開講座などを開催している。こうした実績に加え、「これまでは社内ブランディングをあげるための組織としてきたが、外部との交流によってアウターブランディングにつなげる進化を進める」(大村センター長)と外部交流を行う。

 2021年度から専修大学に15コマの定期講座を提供し、SAPジャパンと協業し、大学などの教育機関でのSAP人材創出を進めていく。

 さらに2022年10月から12月までの3カ月間、初めて開催した「SAPトレーニングセンター」を、2023年には2回以上開講することを予定する。このトレーニングセンターでは、SAPビギナー人材の育成、社内のキャリアチェンジに対応し、NTTデータグループ各社にSAP人材創出をサービスとして提供していく計画だ。

SAPトレーニングセンター