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Nutanix、2023年度のビジネス戦略を発表 インフラからアプリケーションまで事業領域を拡大へ

 ニュータニックス・ジャパン合同会社(以下、Nutanix)は、8月1日から新会計年度を迎えたことにともない、9月14日に2023年度事業方針説明会を開催した。

 説明会では、日本における2023年度のビジネス戦略として、インフラからアプリケーション領域まで事業領域を拡大する方針を打ち出し、具体的な施策について説明した。また、その施策の一つであるパートナーエコシステムの拡充において、アイレット株式会社とNutanix Elevateパートナープログラムの認定リセラーとして契約を締結したことを発表した。

写真左から:アイレット 執行役員の後藤和貴氏、ニュータニックス・ジャパン コーポレートバイスプレジデント 兼 代表執行役員社長の金古毅氏

 まず、グローバルにおける2022年度の業績について、Nutanix コーポレートバイスプレジデント 兼 代表執行役員社長の金古毅氏は、「2022年度のグローバルの業績は、年間計上収益、年間契約額、Nutanix採用企業数のいずれも、全四半期において前年同期比2桁成長を達成した。通年でも、年間契約額は前年同期比27%増と大きく成長することができた。また、採用企業数は2万2600社となり、この1年間で約2500社も顧客が増加している」と説明した。

ニュータニックス・ジャパン コーポレートバイスプレジデント 兼 代表執行役員社長の金古毅氏

 日本市場の状況については、「国内のビジネスも好調に推移しており、2022年度は20社を超える国内企業の事例を公開することができた。市場シェアについても、IDCによる2022年Q1の国内ハイパーコンバージドソフトウェアベンダー別ソリューション売上額シェアで54.3%を獲得し、ナンバーワンシェアを維持している。今後もハイパーコンバージドシステムの市場規模は拡大していくことが予想されており、さらなるビジネス成長を見込んでいる」と述べた。

 「IDCの調査では、2026年までに7億5000万ものアプリケーションが新規開発されると予測しており、これに対応できる柔軟かつアジリティの高いインフラとして、クラウドネイティブの要素を取り入れた『Newオンプレミス』への注目が集まっている。こうした市場ニーズに迅速に対応するため、2023年度ビジネス戦略では、ハイブリッドマルチクラウドを実現する統合クラウドプラットフォーム『Nutanix Cloud Platform』を中核に、インフラからアプリケーション領域にまで事業領域を拡大していく」と、2023年度に向けた事業方針を明らかにした。

2023年度のビジネス戦略

 具体的な施策としては、(1)「ビジネスアジリティ」向上を実現する新たなワークロードの推進、(2)「ハイブリッドマルチクラウド化」を支援するサービスの強化、(3)多様なクラウドジャーニーを実現するパートナーエコシステムの拡充、(4)CX向上に向けた体制強化と顧客のSXの実現--の4つの取り組みに注力していく。

 「ビジネスアジリティ」向上を実現する新たなワークロードの推進については、場所/利用/運用モデル、テクノロジー/サービス、指針/価値観など、幅広い領域に選択の自由(Freedom of Choice) を拡大し、顧客がより柔軟にビジネスアジリティを実現できるよう支援する。これに向けて「Nutanix Cloud Platform」のポートフォリオを強化しており、多くの選択肢を備えたシンプルかつ柔軟なクラウドプラットフォームを実現している。これにより、エンドユーザーコンピューティングからビジネスクリティカルアプリケーションまで、「Nutanix Cloud Platform」を活用するワークロードが広がりつつあるという。

「Nutanix Cloud Platform」のポートフォリオ強化

 「ハイブリッドマルチクラウド化」を支援するサービスの強化では、企業のハイブリッドマルチクラウド化推進に向けて、ワークショップからコンサルティング、教育サービスまで、サービスメニューを拡充する。

 コンサルティングについては、日本法人独自の早期導入支援パッケージとして、「Nutanix Cloud Clusters(NC2)on AWS 早期導入支援パッケージ」、「Nutanix Database Services 早期導入支援パッケージ」、「Nutanix Self-Services 早期導入支援パッケージ」(9月末提供開始)の3つのメニューを新たに提供する。

 また、顧客のワークロード導入から運用までをフルサポートする「Nutanix Xpert Services」では、「Nutanix コンサルティングサービス」、「Nutanix テクニカルアカウント・マネージメント・サービス(TAM)」、「Nutanix レジデンシャル・サービス」を用意している。

 教育サービスでは、教育プログラム「Nutanix University」を通じて運用管理チームの体制整備を強力にサポート。さらに、ハイブリッドクラウド基礎・管理、データサービス管理など、充実した研修や公開講座を提供している。

 多様なクラウドジャーニーを実現するパートナーエコシステムの拡充については、ワークロードの広がりとハイブリッドクラウドのニーズの高まりを受け、従来のハードウェアインテグレーションパートナーに加えて、ビジネスクリティカルアプリケーションを扱うSIパートナーや、ハイパースケーラー、マネージドサービスプロバイダーなどのクラウド事業者にもエコシステムを広げていく。

 今回、この取り組みの一環として、組織のハイブリッドマルチクラウド活用とビジネスアジリティに貢献するため、新たにクラウドインテグレーターのアイレットと協業することを発表した。

パートナーエコシステムの拡充

 アイレット 執行役員の後藤和貴氏は、「当社は、クラウドの導入や運用を中心に、精鋭のプロ集団が顧客の要望に幅広く応える総合支援サービス『cloudpack』を提供しており、これまでに2500社以上のクラウド導入実績を持っている。Nutanixとの取り組みとしては、ハイブリッドクラウドソリューション『NC2 on AWS』を、国内初の事例として札幌市に導入した実績がある。今回、Nutanix Elevateパートナープログラムの認定リセラーとして契約を締結したことで、『NC2 on AWS』を活用したハイブリッドクラウド環境の構築・移行支援が可能となった。今後は、当社がKDDI・AWS両社の持つ強みを生かしながら、さらにNutanixと密に連携することで、パブリックセクターの顧客を中心にスムーズなハイブリッドクラウド導入を支援していく」と、Nutanixとの協業展開に意欲を見せた。

アイレット 執行役員の後藤和貴氏

 4つ目の施策、CX向上に向けた体制強化と顧客のSXの実現については、インダストリー向け営業体制の強化など、営業・サービス部門の体制強化と顧客エンゲージメントの促進を図る。また、データセンターにおける消費電力削減など、企業の持続可能性への取り組みを強化していく。

 さらに、ハイブリッドワークモデルへの移行の一環として、本社オフィスを移転した。東京・丸の内に新設したオフィスでは、グローバルでリモートワークとオフィス出社を併用したハイブリッドワークを実現。フレキシブルで目的意識の高い働き方を支援するため、「FleXdesks」や「デスク予約システム」を導入している。

 また、コロナ禍におけるオフラインでの従業員同士のつながりやコミュニケーションを促進するため、新たなワークスタイルに対応したミーティングスペースを多数設けているほか、全世界のオフィスで週に一度「CollaborEAT Lunch」を実施しているという。

新本社オフィスのイメージ
新本社オフィスのイメージ