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リコージャパン、木村新社長体制でデジタルサービスへのシフトをさらに加速

 リコージャパン株式会社は22日、4月1日付けで代表取締役 社長執行役員 CEOに就任した木村和広氏が、報道関係者向けの事業方針説明会に登壇した。

 リコージャパンは、リコー製品の国内販売を行う役割を担っているが、複合機販売中心のオフィスプリンティング事業から、サービスを主軸としたオフィスサービス事業へと、事業の主軸のシフトを進めている。

 木村氏は、「リコージャパンが企画・開発機能を取り込むことで、リコーグループをデジタルサービスの会社へと変革させる牽引役となることを目指していく」とアピール。顧客との接点が多いことを強みとして、それをサービスの企画・開発へと変革する起爆剤とすることを目指すとしている。

リコージャパン 代表取締役 社長執行役員 CEOの木村和広氏

オフィスサービス事業を主軸に成長を図る

 リコージャパンでは2017年度時点で売上の53%をオフィスプリンティング事業が占め、オフィスサービス事業の割合は38%だった。これが2021年度にはオフィスプリンティング事業は44%、オフィスサービス事業は47%まで拡大した。

オフィスサービス事業が事業の主軸へ

 これを受け、2022年度の事業方針として次の5つを実現し、組織生産性の向上を目指すとしている。

1)業種・業務課題を解決するデジタルサービスの強化
2)全国地域密着の販売サポート力を活かしたフルサポートサービス
3)社内実践に基づくお客様のDX支援と社内DXの加速
4)デジタル人財への投資拡大
5)多様な人財がいきいきと活躍し、成長できる

FY22 リコージャパンの基本方針

 1)のデジタルサービス強化については、サービス事業へのシフトを実践していくために欠かせない要素と位置づけている。木村氏は、「中小企業のデジタル化については、まだまだ拡大の余地がある上、国も補助金、法令対応などで後押ししている。特に電子帳簿保存法改正への取り組みは加速しており、2021年12月時点では対応済みが6.5%だった対応率が28.1%にまで上昇したという調査も出ている。当社が提供しているMFP+EDW連携の証憑電子保存ソリューションの提供本数が、6カ月間で1500本を超えている」と現状も好調だと説明する。

 2)のフルサポートサービスでは、GEヘルスケア・ジャパンと業務提携を行い、医療機器の管理、メンテナンスサービスをスタートした。

 「GEヘルスケアからは、われわれのネットワーク知識、ハードウェア知識は他にはないものと評価された。また、新しいフルサポートサービスとして、太陽光発電機器のサービス網育成に取り組んでいる」(木村氏)と、さらに新しいフルサポートサービス網構築にも取り組んでいく。

 リコー自身が提供する「RICOH Digital Processing Service(RDPS)」では、業種・業務の課題解決に取り組む。その中核を担っているのが中小企業向けソリューションパッケージ「スクラムパッケージ」と、中堅企業向けソリューションモデル「スクラムアセット」だ。オフィスプリンティング事業からオフィスサービス事業にシフトする際の鍵となるもので、競合優位の源泉としている。

RICOH Digital Processing Service(RDPS)

 スクラムパッケージは、2017年10月に提供を開始以来、累計21万本の導入実績を持つ。現在9業種3業務向けに154パッケージがラインアップしている。「われわれの優位性となるのは、4年前から取り組みをはじめたことによる実績とノウハウの蓄積。今後さらに社員のスキルを上げ、アドバンテージを広げたい」と説明する。

 なお、2021年度は前年比107%と二桁成長を続けてきた2020年度までに比べ伸びが鈍化しているが、「これはテレワークなど環境の影響」と説明。今年度は10万本という販売目標数を掲げ、その目標を変更せず、ビジネス伸長に自信を見せている。

スクラムパッケージ

 中堅企業をターゲットとしたスクラムアセットは、重点2業種3業務を中心に82モデルをラインアップし、累計で7605本を販売している。「ターゲットが中堅企業となることから、担当する社員にはあスクラムパッケージ以上に高いスキル、ノウハウが必要となると考えている。そのための教育の拡充を進めていきたい」と社員教育を強化しながら、販売数増強につなげていく。

スクラムアセット

 RDPS全体を拡充するための施策は、子会社化を発表したPFUとの連携による紙のデジタル化推進、提携を発表したサイボウズのkintoneを活用することでフロント業務から業務プロセスの自動化を進めていく。

 2022年秋にはリコーブランドのkintoneをリリースする。スクラムパッケージ、スクラムアセットとの連携を含め、現行では不十分な部分を、テンプレートを提供して短期間に解決するソリューションとしていく計画で、当初は既存の16モデルを拡充するところからスタートする。

リコーブランド版kintoneによる業種・業務課題解決モデルの拡大

 PFUとの連携は、調剤薬局、工事現場、診療所・医院、地方自治体事務所、出先機関、テレワークなど注力分野のデジタル化をPFUのスキャニングデバイスを使って推進する。また、従来はPFUブランドで行ってきたマネージドサービスをリコーブランド化すると共に、サービスメニューの拡充を進める計画だ。

MFPを軸としたスキャニングデバイスの強化

 中堅・中小企業のデジタル化にあたっては、地銀、信用金庫、商工会議所と連携する。全国42自治体と地域連携協定を締結しており、地域のビジネス拡大につなげていく。
 すべての施策の鍵となるのがリコージャパンの人材。デジタル化を推進できるような人財育成を進める計画で、「従来はどちらかといえば商品寄りの社員教育を行ってきた。これを職種別に8段階のプロフェッショナル認定を行う制度へと大きく軸足を変更していく」(木村氏)と人財育成面から変革を進める。

 こうした変革を進めた成果も出てきている。セキュリティ分野では、「前年比120%といった成果が出ている」など専門知識を持ったプロフェッショナル人財を育成していく。

社員が自律的に成長するための人財育成×人事制度