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デル、パブリッククラウドを利用したデータ保護ソリューションを発表 サイバー攻撃後のデータ復旧を支援

 デル・テクノロジーズ株式会社は6月30日、複数のデータセンターおよびマルチクラウド環境にわたり、アプリケーションを管理・保護するためのサイバーリカバリーソリューション「Dell PowerProtect Cyber Recovery for Microsoft Azure」を、同日より提供開始すると発表した。

 また、Amazon Web Services(AWS)とのコラボレーションによるサイバーリカバリーソリューション「CyberSense for Dell PowerProtect Cyber Recovery for AWS」を、今年第2四半期中に提供開始する。

 同日には、データ保護事業のビジネス状況やデータ復旧の重要性、および新ソリューションの概要について説明会が行われた。

自力でデジタルデータを復旧させる自己復旧能力の担保が重要に

 新ソリューションの発表にあたり、デル・テクノロジーズ DPS事業本部 本部長の芳澤邦彦氏は、データ保護事業の現況について、「当社のデータ保護事業では、実証されたテクノロジーと最新鋭のイノベーションを融合させ、マルチクラウド時代のあらゆるデータ保護ニーズを満たしていくことを基本戦略としている。また、製品開発においては、『オンプレミスでの導入』、『パブリッククラウドへの導入』、そしてマルチクラウド時代を見据えた『サービスとしての提供』の3つの導入オプションを常に意識して、先進のデータ保護を提供している。現在、Dell PowerProtectデータ保護ソリューションは、全世界で1600社を超える顧客に活用されており、11.6エクサバイトのデータを当社クラウド内で保護している」と説明した。

デル・テクノロジーズ DPS事業本部 本部長の芳澤邦彦氏

 また、「サイバー脅威は、いまや一般社会にも影響を及ぼす脅威となっている。実際に、サイバー攻撃による被害額は年々拡大しており、これは犯罪者集団にとってサイバー攻撃が『もうかりやすいビジネス』になっていることを意味している。この背景には、急ぎ過ぎるデジタルトランスフォーメーション(DX)によりデータ自体の“価値”が急上昇したことで、サイバー攻撃者がデジタルデータの利用そのものを標的に切り替えたことが挙げられる。こうした脅威に対しては、攻撃者の要求に応じることなく、自力でデジタルデータを復旧させる自己復旧能力を担保することが被害を最小限に抑えるカギになる」と、データ復旧の重要性を強調。

 「サイバー被害後の自己復旧能力を担保するためには、『データ防御(Immutability)』、『データ隔離(Isolated)』、『データ衛生(Intelligence)』の3つの機能が必要であり、これらを既存のデータ保護の延長線で提供しているのが『Dell PowerProtect Cyber Recovery』となる。6年前にリリースし、現在の導入顧客数は全世界で1000社を超えている。日本市場については、導入顧客の業種が限定されており、さらに幅広い業種へのアプローチが必要だと考えている。今後は、国内のさまざまな関係機関・情報共有組織との連携を図るとともに、金融ISACなど国内ISACへの加盟を進め、サイバーリカバリーソリューションの必要性を広く訴求していく」と、日本市場での今後の展開について述べた。

レジリエントなデジタルデータ復旧に必要な3つの機能

デルのリカバリーポートフォリオをパブリッククラウドに拡張

 今回、日本市場で提供開始する「Dell PowerProtect Cyber Recovery for Microsoft Azure」と「CyberSense for Dell PowerProtect Cyber Recovery for AWS」は、今年5月に「Dell Technologies World 2022」で発表された新ソリューションで、サイバー被害後のレジリエントなデジタルデータ復旧を実現するサイバーリカバリーポートフォリオを、パブリッククラウドに拡張するものとなる。

「Dell PowerProtect Cyber Recovery for Microsoft Azure」と「CyberSense for Dell PowerProtect Cyber Recovery for AWS」の概要

 「Dell PowerProtect Cyber Recovery for Microsoft Azure」は、Microsoft Azure Marketplaceを通じて利用可能な、パブリッククラウド向けサイバーリカバリーソリューション。Microsoft Azure上にサイバー脅威から隔離された空間(サイバーリカバリーヴォールト)を展開することで、ランサムウェアからのデータ隔離、より安全な保護、サイバーレジリエンシーの強化などと同時に、サイバー被害の影響を軽減する。また、サイバー攻撃後の復旧には、データセンター内や、新しいAzureプライベートネットワーク、影響を受けていないAzure環境といった複数の選択肢を柔軟に提供する。

パブリッククラウドを活用したデータ隔離と復旧

 一方の「CyberSense for Dell PowerProtect Cyber Recovery for AWS」は、復旧用データの確実性を高める高機能分析エンジンを、AWS上に構築したデータ隔離空間内で利用可能にするサイバーリカバリーソリューション。これにより、AWS上で、高い適応力を持つアナリティクスの使用、メタデータおよび全ファイルのスキャン、マシンラーニング(機械学習)およびフォレンジックツールの実装による異常検出、診断、データ復旧プロセスの迅速化を実現する。

 また、ファイルおよびデータベースを監視して、サイバー攻撃が発生したかどうかを判断し、壊れていない最新のコピーデータを特定することで、攻撃者からより秘匿された安全な状態でのデータ復旧を迅速に行うことができる。

 デル・テクノロジーズ DPS事業本部 事業推進担当部長の西賴大樹氏は、「新ソリューションのリリースによって、これまでオンプレミス環境で実現していたサイバーリカバリーの機能をパブリッククラウドにも拡張し、マルチクラウド対応をさらに強化する。Microsoft Azureについては、データ防御に加えて、新たにデータ隔離機能を実装。またAWSについては、データ防御からデータ隔離、データ衛生まで3つの機能がすべてそろうことになる。今後の展開としては、遅くとも来年度の上半期までには、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)の3大パブリッククラウドすべてに、サイバーリカバリーの全機能を提供していく」との計画を明らかにした。

デル・テクノロジーズ DPS事業本部 事業推進担当部長の西賴大樹氏

 なお、「Dell PowerProtect Cyber Recovery for Microsoft Azure」は、各種データ保護ソフトウェアライセンス、およびデータ保護アプライアンスに付帯して使用権許諾を提供する。「CyberSense for Dell PowerProtect Cyber Recovery for AWS」は、年間サブスクリプション(分析を行うデータ量に対する課金)で、16万5000円(税別)/TBからとなる。