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Sansanが2022年5月期の決算を発表、Eight事業が四半期単位で初の黒字化
2022年7月15日 06:15
Sansan株式会社は14日、2022年5月期の通期決算を発表した。売上高は前年同期比26.2%増の204億2000万円となる一方、営業利益は成長に伴う積極的な人員採用により、前年同期比14.2%の減益となった。
Sansan 取締役 執行役員 CFO 橋本宗之氏は、人員増について、「主に営業担当者とエンジニアを採用し、前年同期比で人員が248人増加した。これに伴い人件費は前年同期比42.4%増加し20億1300万円となった」と説明している。
- 初出時、売上高を誤って記載しておりました。お詫びして訂正します。
事業セグメント別では、営業DXサービス「Sansan」の売上高が前年同期比18.6%増、クラウド請求書受領サービス「Bill One」の売上高が約10倍と大幅に伸び、「Sansan/Bill One」事業として181億500万円の売上高を達成。営業利益はBill Oneへの成長投資で利益率が低下したものの、前年同期比8.5%増の57億2500万円だった。
Sansanの契約件数は前年同期末比9.6%増の8488件で、純増件数は前四半期より大きく、直近12カ月の平均解約率は1%以下を維持しているという。
Bill Oneについては、「2022年5月末のARR(Annual Recurring Revenue:年間固定収入)が14億700万円となり、目標の10億円を大幅に超過した」と橋本氏。同サービスの有料契約件数は前年同期比約3.5倍の853件で、有料契約あたりの月次売上高は約1.6倍の13万7000円だった。有料契約件数と、有料契約あたりの月次売上高は高成長を維持しており、直近12カ月の平均解約率は0.49%だったという。
キャリアプロフィールサービス「Eight」は、B2Bサービスの拡大により、売上高が前年同期比39.9%増の22億1300万円となった。営業利益は前年同期よりも赤字が3億6700万円縮小し、四半期単位では初めて営業黒字を達成した。
営業を強くするDBとして刷新されたSansanなど、各サービスの戦略を説明
次に橋本氏は、各サービスの成長戦略を説明。まずSansanについては、「営業を強くするデータべースとして、プロダクトを刷新した」と述べた。
「名刺管理サービスから、営業DXサービスへとプロダクトを刷新し、多様な企業情報が閲覧できる企業データベースと、名刺やメール、サイト経由の問い合わせなどのあらゆる接点を可視化する接点データベースを構築した。企業情報と接点データベースを組み合わせ、利用企業ならではのデータベースを構築することで、営業活動への戦略的な活用が可能となる」と橋本氏は説明している。
プロダクト刷新後、Sansanにはさまざまな新機能が登場した。2021年12月にメール署名の取り込み機能を追加したほか、2022年3月には企業情報の閲覧が可能になり、5月にはサイトの問い合わせフォームとの連携機能を追加、6月には帝国データバンクとの連携を強化している。8月以降は、メールの接点情報の可視化や、接点のない企業や人物のリスク検索ができるガバナンス機能なども予定しているという。
Bill Oneについては、「2023年10月より始まるインボイス制度により、請求書の受領のみならず発行についても業務の見直しが求められる」と橋本氏は指摘しており、この新制度に対応する新たな機能を追加するとした。
すでにこの7月には請求書発行機能を単体サービスとして提供開始したほか、今秋にはBill One上で請求書を作成できる機能を実装する予定で、「適格請求書の作成・発行ができるようになることで、受領・発行の両側面から企業のインボイス制度に対応する」と橋本氏。こうした新機能などにより、「2023年5月末にはBill OneのARRを前年同期比2倍以上に伸ばしたい」としている。
同社は4月にEightも刷新し、これまでの名刺アプリから、個人のキャリア形成を後押しするキャリアプロフィールアプリへと進化させた。新Eightでは、キャリアタブを新たに搭載し、スキルアップに役立つレポートや企業情報、ユーザー属性に合わせた求人情報など、キャリア形成に関連する情報を提供している。
これにより、「今後同アプリが、B2Bサービスのひとつとして提供している人材採用サービス『Eight Career Design』の成長に寄与することを期待している」と橋本氏。赤字続きだったEight事業が、2022年5月期第4四半期に初めて四半期黒字化を達成したことから、橋本氏は「今後は採用関連サービスを強化し、2023年5月期以降は通期での黒字化を目指したい」と述べた。