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Sansan、2023年5月期第2四半期の決算で「Bill One」の好調さをアピール

2023年5月期第2四半期累計実績(6カ月実績)

 Sansan株式会社は13日、2023年5月期 第2四半期の決算を発表した。第2四半期累計での連結業績は、通期業績見通しに対して順調に進捗し、売上高が前年同期比23.5%増の118億2400万円となった。ARR(年間固定収入)は同22.5%増の219億2500万円だった。

 中でも、前年同期で赤字を計上していた調整後営業利益は、前年同期比で1億5400万円増加し、6500万円の黒字を計上した。Sansan 取締役 CFOの橋本宗之氏は、「人材採用やマーケティング活動に積極的な投資を行ったものの、売上高が伸長したことなどにより黒字化した」としている。

Sansan 取締役 CFO 橋本宗之氏

 セグメント別では、2020年5月にサービスを開始したインボイス管理サービス「Bill One」が引き続き好調で、売上高が前年同期比276.2%増の8億9800万円にまで成長。2022年11月時点のARRは21億2400万円となった。

急速に成長するBill One

 営業DXサービス「Sansan」は、契約件数が前年同期末比6.5%増の8722件となり、「1年前より営業生産性も回復し、下期以降の堅調な成長に手応えを感じている」と橋本氏。下期はSansanの新規営業に特化した専門部部署を設置するなど、「大企業の顧客獲得に向けてさらに営業体制を強化する予定だ」という。一方、キャリアプロフィール「Eight」については、「赤字額の縮小は進んだが、業績見通しに対してはやや伸び悩んだ」としている。

好調なBill Oneの今後は?

 Bill Oneは、請求書業務における受領側の業務に着目したサービスで、郵送やメールで送付される請求書をスキャンしてデータ化、その情報を基に、閲覧・確認・承認といった各業務フローがクラウド上で完結できるようになっている。ユーザー企業からの要望に応じて現在では請求書の発行機能も展開しており、「今後インボイス制度を含めたさまざまな法改正にも機能面で対応していく予定だ」(橋本氏)。

Bill Oneのサービス概要

 橋本氏によると、サービス開始当初は小規模企業の契約が中心だったBill Oneだが、現在では業種・業態を問わず、中堅・大手企業でも利用が進んでおり、デロイト トーマツ ミック経済研究所が実施した請求書受領サービスの市場動向調査においてマーケットシェア1位を獲得したという。

 「Bill Oneは、業種や業態に関わらず、すべての企業を対象としたサービスだが、2022年11月末時点の有料契約件数は1138件で、従業員数1000人以上の大企業におけるBill Oneのカバー率は2.2%にすぎないことから、今後も大きな市場開拓余地が残されている」と橋本氏。また、海外展開にも一部チャレンジしており、「引き続き広大な市場へのアクセスを強化していく」としている。

日本国内におけるBill Oneの潜在市場

 Bill Oneの特徴のひとつに、請求書受領企業と送付企業が請求書のやり取りを行う「インボイスネットワーク」を構築している点がある。このインボイスネットワークの参加企業数は、2022年11月末時点で前年同期比約2.7倍の6万1000社にまで拡大しており、ネットワーク参加企業間でやり取りされる請求書金額の合計は、2022年11月単月で1兆円を超えた。こうした特長を生かし、「今後インボイスネットワークを活用した新たなビジネスモデルの創出や機能展開などを検討している」という。

 橋本氏によると、Bill OneはSansanの立ち上げ時よりも速いスピードでの成長が続いており、2022年5月期には目標としていたARR 10億円を超える13億円という実績を出している。2023年5月期のARRについては、期初に前年同期比2倍以上を目標として掲げていたが、「第2四半期までの好調な実績を受け、ARR 30億円以上を目指すことにした」(橋本氏)と、新たな目標を表明した。

Bill Oneの当期目標を上方修正