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弥生が2026年の事業戦略を発表、AIを活用した“3つのA”の推進で顧客の経営効率向上を支援

 弥生株式会社は9日、2026年の事業戦略発表会を開催した。ここ数年掲げている、「中小企業を元気にすることで、日本の好循環を作る。」というミッションの実現に向け、自社の強みとAIの融合に取り組むという。

 代表取締役社長執行役員兼CEOの武藤健一郎氏は、弥生の強みとして、「1つ目のポイントは、350万の顧客基盤と日本一の士業ネットワークを持っていること。2つ目の強みは、毎日数千本の電話問い合わせを受けるデータサポートチームを持ち、ここで蓄積されたデータを活用できること。この2つの強みを活用していく」とアピールした。

弥生 代表取締役社長執行役員兼CEOの武藤健一郎氏

 AI戦略としては、Automate(業務)の執行代行、Assist(判断・代行)、Advice(助言・ガイド)の3つのAを推進する。「正直に言うと、AutomateとAssistはどの会社にもできる。今のAIの進化を見ると、自動化は当たり前にできているし、Assistもだんだん良くなっている。大きな差別化はできないが取り組まなければならない。それに対し、長年培ってきたデータを基にしたAdviceは弥生特有の強みだ」と述べ、AIやデータを活用した戦略を進める方針を示した。

 また、デスクトップ製品は依然として有料ユーザーが増えていることから、今後も継続し、AI機能を付加していくことを強調した。「2025年には、プロダクト、グループ、組織といった基盤を整えた。2026年は強固な基盤にAIやデータを巡らせることで、事業に血を通わせ、躍動させていく」と、AIやデータを活用した戦略を進める。

2025年の振り返り:新プロダクト「弥生Next」の始動と経営基盤の強化

 弥生では2025年に、「中小企業を元気にすることで、日本の好循環を作る」をミッションに、知とテクノロジーを活用し、業務を効率化する「現場に力を」と、経営判断支援を行う「経営に可能性を」の両セグメントを強化した。具体的には、弥生自身の組織強化、新プロダクト「弥生Next」の提供、M&Aによる下地強化を行ったという。

 弥生Nextでは、完全自動化による業務効率化と、「資金分析β版」をはじめとするAI経営支援機能の実装など、テクノロジーを活用した新たな機能や仕組みを提供した。

 「弥生Nextには大事なコンセプトが2つある。1つが自動化で、完全自動化によって業務を効率化することを目指している。これは、自動化によって手入力をなくすというコンセプトから生まれたものだ。すでに製品をローンチしているので、ぜひ使っていただきたい。コンセプトの2つ目は、支援機能の実装。いろいろなAIを使い、予測、ベンチマークといった役に立つものをどんどん出していく。例えば、資金分析やキャッシュフローだが、中小企業にとってはキャッシュフローが1番大事。キャッシュがどうなっているかを把握できる、現金予測みたいなものも出している」(武藤社長)。

弥生会計Nextの始動

 M&Aによる下地強化では、Alarmbox、Miletos、創業手帳を買収しており、フィンテックサービスとして「パワーサーチ for 弥生ユーザー」「ギャランティ for 弥生ユーザー」を提供開始した。

 「中小企業は、上場企業と違ってデータがあまり公表されていない。そこで新たに取引を始める中小企業が、取引しても大丈夫な会社なのかなどをチェックする際に役立つデータベースを提供しているのがAlarmboxだ。彼ら独自のデータベースと、さらにGoogleマップの位置情報、政府からの情報などを全部まとめてリスク分析をすることができるプラットフォームを持っている。今年から提供を始めたパワーサーチ for 弥生ユーザーは、取引相手がどんな企業なのかチェックできるサービス。一方のギャランティ for 弥生ユーザーは、そうしたデータを活用した保証事業。AIとデータを活用した中小企業向けの新たなサービスとなる」(武藤社長)。

M&Aによる下地強化

 また弥生内部の組織改革としては、組織構造をビジネスユニット制に変更した。「事業部制を作り、新しいクラウド系の企業向け事業と、今まで当社を支えてきてくれたデスクトップ型、インストール型の企業向けの事業を分けた。また、弥生Styleという新しい人事ポリシーを施行し、この人事制度に合わせた採用の仕方、評価、育成のポリシーを全部変え、新しい人事の仕組みを導入した」(武藤社長)。

組織

 さらに、製品やサービスでのAI活用を前提に、社内での利用も積極的に推進している。

 「社内にAIを配布し、まず使ってみて!と社内メッセージを出した。大事なのは、一人ひとりが自分の事業や業務をきちんと理解し、自分の業務を最も効率的に回すためにどのようにAIを活用すればよいかを自ら見つけ出し、実行していくことだ。また、トップダウンで上から号令をかけることもある。例えば、コールセンターではトップダウンで効率化のためのAI活用を進めている。もちろん、開発にも使っている。その結果、開発の生産性がとても上がり、新しいものに挑戦できるようになってきた。新しい製品の中には、ゼロからすべてAIで作っている段階のものもある。AIが業務効率に貢献し、経営支援にもプラスになるところまできている」(武藤社長)という。

2026年の戦略:AIとの融合を加速させる“3つのA”と独自の強み

 こうした成果と実績を受け、2026年はAIをさらに活用していく。「強みとAIの融合」として、Automate、Assist、Adviceという“3つのA”によって、中小企業の経営効率向上を進める。

 Automateでは、業務の実行代行を進める。入り口は1つで、AIがすべての業務を振り分け、実行する。Assistは判断・実行で、初めての業務も迷わずに実行できるようにアシストしていく。Adviceは助言・ガイドで、細かい分析はAIに任せ、人間はかじ取りに専念する。

 「正直に言えば、AutomateとAssistはどの会社でもできる。今のAIの進化を見ると、自動化はもはや当たり前にできるし、Assistもだんだん良くなってきている。差別化ができない2つのAだが、これはやらなければいけない。その中で、Adviceは弥生特有のもの。お客さまによっては、もう20数年分のデータが入っているので、それを基にしたAdviceを行う。その会社にとって特別なAdviceをしていく」(武藤社長)。

3つのA
Advice

 さらに、ユーザーが弥生製品を使い続けることでAIが学習し、提供価値が拡大していくサイクルが生まれると説明した。「ユーザーが当社の弥生シリーズを使うことでデータが蓄積され、そのデータを基にAIの機能を向上させていく、というサイクルを作ることができる」(武藤社長)。

 また、クラウドサービスの業務ソフトベンダーが増えている中で、「デスクトップ製品を持っていることが当社の強み。今後はデスクトップ製品にもAI機能を提供する」(武藤社長)と述べ、今後も継続してデスクトップ製品を提供していくことを強調した。

 発表会の後半には、お笑いタレントのキンタロー。さんが登場。請求書の発行などを行う弥生製品「misoca」のユーザーであるキンタロー。さんは、弥生のAI機能を使って確定申告や青色申告などの作成作業が自動で進められるデモを見て、「こんなことができるんだ!思ったよりもずっと簡単…」と、AIによる自動化に衝撃を受けた様子だった。

キンタロー。さん(左)と弥生の武藤健一郎社長(右)