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NECネッツエスアイがローカル5G事業戦略を発表、3つの戦略ソリューションを投入へ
「地域ネットワーク」と「インビルネットワーク」をローカル5Gの注力領域に
2022年3月1日 06:15
NECネッツエスアイ株式会社は、同社のローカル5G事業戦略について説明する記者会見を2月28日に開催した。
地域ネットワーク、インビル(ビル内)ネットワーク、Beyond5Gの3つの領域において、それぞれに最適な戦略ソリューションを提供する。簡単に構築でき、Wi-Fiなみにコストが低いローカル5Gソリューションにするという。2023年度に売上100億円を目指す。
ローカル5Gを地域ネットワークとインビルネットワークに
NECネッツエスアイの中川貴之氏(執行役員)は、同社の5G事業のターゲット領域として、まちづくりDXを支える「地域ネットワーク」と、働き方改革DXを支える「インビルネットワーク」の2分野を挙げた。Symphonictブランドで展開するDXソリューションと、ローカル5Gのプロフェッショナルサービスを合わせて、来年度(2022年度)から戦略的なソリューションを投入していくという。
中川は、NECネッツエスアイが考えるローカル5G普及のポイントとして、地域に適したシステムを簡単構築できる「簡単であること」、Wi-Fiなみに「コストが低いこと」、Beyond5Gのように「常に進化すること」の3つを挙げた。
そして、これに対して「地域ネットワークに最適なローカル5G提供」「インビル市場に向けたコストイノベーション」「Beyond5Gに向けた最先端対応」の3つの戦略ソリューションを発表した。
地域ネットワーク、インビル、Beyond5Gそれぞれに最適なソリューションを提供
3つの戦略ソリューションそれぞれ内容の内容については、NECネッツエスアイの有川洋平氏(ビジネスデザイン統括本部 デジタルタウン推進本部第三ビジネス推進グループ グループマネージャー)が説明した。
地域のCATV事業者の光回線に一体型基地局を接続し簡単構築とコスト削減
1つめの「地域ネットワークに最適なローカル5G提供」では、地域ごとのCATV事業者とともに、CATV事業者の光回線に子会社のNECマグナスコミュニケーションズの一体型基地局を接続し、5Gコアを共有する。これによって、基地局を設置するだけで5G化できるようにして、簡易な構築とコスト削減を実現する。
その活用シーンの例としては、高速インターネットサービスや、河川監視や浸水監視などの社会インフラ監視サービスを有川氏は挙げた。
CU/DUに最大24個のRUを設置するアンテナ分散技術でコストを低減
2つめの「インビル市場に向けたコストイノベーション」では、韓国HFR社の製品の「アンテナ分散技術」により、Wi-Fiなみのコストを実現するという。
技術的には、CU(Central Unit)/DU(Distributed Unit)とRU(Radio Unit)の間に「ORAN MUX」を設置することで、1つのCU/DUに対してRUを最大24個設置できるという。これによってコストを低減する。
有川氏は、記者会見が開かれたNECネッツエスアイ自身のフロアを題材に、Wi-Fiとコストを比較してみせた。このフロアでは72台のアクセスポイントを、互いに干渉しないよう電波状態をしっかり設計して設置しているという。これにより、Wi-Fiのアクセスポイントとコントローラ、施工費を約3000万円とした。
それに対して、NECネッツエスアイによるローカル5Gは約3100万円と試算。「Wi-Fiよりかなり高い、という状態から、ようやく比較できる土壌になった」と有川氏は説明した。
HFR社の製品としては、5G RUの高出力分離型基地局PRUが6月のリリース予定。5G AAUの屋内分離型基地局 AAUとORAN MUXは、8月のリリースを予定する。
また有川氏は、ほかの方式としてアンテナ分散システム(DAS:Distributed Antenna System)も紹介した。RUの先で、信号を一度光に置き換えて延ばすものだという。カバーエリアを広げたり、小部屋に分散したりするのに使うとしており、現在は開発中だ。