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デロイトトーマツ、サイバーセキュリティに特化した新会社「デロイトトーマツサイバー」を設立

サイバーセキュリティとDXの統合を支援

 デロイトトーマツグループは26日、サイバーセキュリティに関するコンサルティングなどを提供する新会社、デロイトトーマツサイバー合同会社(DTCY)を4月に設立し、6月から本格的に事業を開始すると発表した。

 同日に行われた記者発表会では、新会社を設立する背景およびビジネス戦略について説明した。

サイバーセキュリティ分野でのさらなる業容拡大を目指す新会社

 新会社のデロイトトーマツサイバーは、すでにグローバル規模でセキュリティコンサルティングのマーケットリーダーであるDeloitteの実績を背景に、日本においてサイバーセキュリティ分野でのさらなる業容拡大を図る。

 当初は、現在、デロイトトーマツリスクサービス株式会社(DTRS)およびデロイトトーマツコンサルティング合同会社(DTC)でサイバーセキュリティ関連の活動に携わる約120人のメンバーを中心に発足し、今後順次人員を増強していくという。

デロイトトーマツサイバーの設立アプローチ

 デロイトトーマツサイバー 代表執行者(予定)の木村研一氏は、「これからの企業のビジネス成長には、データ活用やデジタルトランスフォーメーション(DX)が重要になる。しかし、この取り組みにはさまざまなセキュリティリスクがつきまとうのが実情だ。そのため、ビジネス成長に合わせて安全性も高めることが必要であり、サイバーセキュリティへの投資は不可欠になると考えている。そして、ビジネス成長とともに大きくなるセキュリティリスクを適切にコントロールしていくことが求められる」と、DXの実現には、サイバーセキュリティへの投資が必須条件になると指摘する。

デロイトトーマツサイバー 代表執行者(予定)の木村研一氏

 「こうした背景の中で、今回、サイバーセキュリティの専門集団としてデロイトトーマツサイバーが発足した。デロイトトーマツグループの総力を結集し、企業の持続的成長や競争力の強化に向けて、サイバーセキュリティとDXの統合を支援していく」と、新会社設立の目的を述べた。

トランスフォーメーションとサイバーセキュリティの統合イメージ

 デロイトトーマツサイバーの事業方針としては、クライアントがデジタル世界で勝ち抜く力をつけ、安心して未来を築くビジネスを展開するための、サイバーリスクにかかわるさまざまな課題の解決に貢献していくことを掲げている。

 今後、同社が目指す姿について木村氏は、「経営に大きなインパクトを与える重要サイバーアジェンダ解決のためのパートナーとして、クライアントから第一に選択されるファームになる。また、タレントマーケットにおいても、第一に選択されるファームとなる。そして、今後3年で人員を2倍以上に増やし、250人体制を目指す」との考えを示した。

 ビジネス戦略については、Strategy(戦略)、Secure(予防)から、Vigilant(発見)、Resilient(事後対応)に至るまで、サイバーセキュリティの確保に求められる知見・機能を一気通貫で企業に提供する体制を拡充・強化していく。

 デロイトトーマツサイバー 最高技術責任者(CTO)に就任する予定の丸山満彦氏は、「クライアントのアジェンダを起点とした注力サービスを定義し、既存オファリングの枠を超えて、クロスビジネスで提供していく。ターゲットとなるクライアントは、金融、自動車関連、ライフサイエンス、電力・ガスなどのインダストリーと、その他グローバル展開している企業を想定している。また、サービス開発においては、グローバルと連携しながら、クライアントの将来を見据えた新たなサービスを研究・開発していく」と説明した。

デロイトトーマツサイバー CTO(予定)の丸山満彦氏

 さらに、人材育成にも力を入れていく方針で、多様な能力・スキルを持った最高の人材が集まる会社として認められることを目指す。そのために、戦略コンサルタントからプロダクトエンジニア、ネットワークエンジニアまで、サイバーセキュリティに関する幅広い人材が活躍・成長できる環境づくりに主眼を置いた人事制度を構築する。

 また、世界のデロイトメンバーファームと連携したグローバルクライアントへのサービス提供を通じて、グローバル規模でのキャリア形成機会を積極的に提供していく。

デロイトトーマツサイバーのビジネス戦略

 なお、これまでデロイトトーマツリスクサービス傘下で運営されてきたデロイトトーマツサイバーセキュリティ先端研究所(DT-ARLCS)は、今後もDTCYの下で、セキュリティに関わる最先端の技術や手法に関する研究・検証や情報発信を継続する。

 DT-ARLCSを通じて蓄積された知見を、デロイトトーマツサイバーのプロフェッショナルの育成やノウハウ向上にも活用し、高度化するセキュリティの最新情報を組織的に分析・共有することで、クライアントへのより高い価値提供につなげていくという。