ニュース
レッドハット、コンテナ関連のSI企業を支援するパートナー施策「OpenShift Partner Empowerment Project」
2021年7月26日 06:00
レッドハット株式会社は21日、コンテナ関連サービスを支援するパートナー施策「OpenShift Partner Empowerment Project」を発表した。
レッドハットでは、コンテナプラットフォーム「OpenShift」に関するパートナー向けの施策として、2019年12月にマネージドサービス事業者向けの「Red Hat OpenShift managed Practice Program」を、2020年にはISVのコンテナ対応を支援する「Red Hat Kubernetes Operator Project」を、それぞれ開始している。
今回のOpenShift Partner Empowerment Projectは、この2つに続く3つめの施策であり、エンドユーザー企業のシステムインテグレーションを請け負う企業を対象としたものだ。
発表時点で、アクセンチュア、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、SCSK、SB C&S、NTTデータ、サイオステクノロジー、ダイワボウ情報システム、Dell Technologies、デロイトトーマツ、日商エレクトロニクス、日本電気(NEC)、IBM、日本情報通信(NI+C)、日本ヒューレット・パッカード(HPE)、ネットワンシステムズ、野村総合研究所(NRI)、日立、富士通、ユニアデックスが賛同パートナーに名を連ねている。
レッドハットのDX支援のノウハウをインテグレーションのパートナーに移転
OpenShift Partner Empowerment Projectの背景について、オンラインで開催された記者発表会で、レッドハット株式会社の金古毅氏(副社長執行役員 パートナー・アライアンス営業統括本部長 兼 事業戦略室長)が説明した。
金古氏は、国内でもコンテナ市場が急速に拡大していることを紹介。その背景として、高まる不確実性に向き合うにはスピーディーな対応が要求されること、つまりDXの成果がデリバリーパフォーマンスで決まる時代になったと語った。「めまぐるしく変わる市場のニーズをいち早くキャッチして、即サービスへと反映し、継続的に改善をくりかえし、時勢にあった最適なサービスを提供することが、競争に勝ち残る必須条件になっている」(金古氏)。
しかし、DXを加速する上ではIT人材不足が課題となっている。これを解決する上で、IT人材の70%がパートナーにいる日本では、パートナーとともにDXを推進していくことが近道になると金古氏は言う。
これまではレッドハット自身が、ユーザー企業のコンテナ技術を使ったDXについて教育やコンサルティングを行ってきた。そうしたノウハウをもとに、パートナー企業がユーザー企業のDXを支援できるようにするのが、OpenShift Partner Empowerment Projectだ。
「OpenShiftのビジネス開始当初はインフラの話に終始することも多く、コンテナの価値がビジネス課題にどうひもづいて、どう課題を解決できるのか落としこめないという苦しい経験もあった。そうした苦労と学びを経験してきた中から、広範な提案でビジネスの課題を解決するノウハウを蓄積してきた。培ったノウハウをパートナーにも積極的に共有してスキルのトランスファー(移転)をしていくことが、日本のDX推進に貢献できるのではないかと考えていて、今回の第3弾の発表に至った」(金古氏)。
教育、ワークショップ、コンサルティングの3要素
OpenShift Partner Empowerment Projectは、教育支援の「OpenShift Enablement Challenge」、提案ノウハウ習得支援の「OpenShift Value Proposition Workshop」、コンサルティングサービスの「Container Adoption Journey」の3要素からなる。
OpenShift Enablement Challengeは、ITエンジニア向けにコンテナとOpenShiftを理解する上で必要なトレーニングなどを提供するもの。OpenShift運用者、OpenShift管理者、OpenShift開発者それぞれ向けのOpenShift Learning Pathを提供する。また、Learning Path受講前の基礎勉強会や、受講中のQ&A対応も用意。これによって、2023年3月までにOpenShiftエンジニアを2000人育成するのが目標だという。
- 初出時、育成目標のエンジニア数を3000人としておりましたが、2000人の誤りです。お詫びして訂正いたします。
OpenShift Value Proposition Workshopは、ユーザー企業のビジネスの課題と解決を定義しロードマップを、パートナーが提供することを支援するワークショップだ。従来、レッドハットがユーザー企業に提供していたものを、パートナーが行えるようにノウハウを提供して支援する。
Red Hat Container Adoption Journeyは、ユーザー企業がコンテナの価値の最大限利用するためのコンサルティングサービスだ。これも、従来レッドハットが有償で提供しているコンサルティングサービスで、コーチ陣が伴走して開発を支援し、コンテナサービスの迅速な立ち上げと、サービスを改善し続ける運用体制を構築し続ける。Red Hat Container Adoption Journeyにより、パートナーがレッドハットのノウハウを吸収し、パートナーのサービスメニューとして提供したり、Red Hat Container Adoption Journeyそのものを再販したりする。
パートナー企業4社も登場
記者発表会では、今回のパートナー企業の中から、CTC、NEC、HPE、ネットワンシステムズの4社からのメッセージも語られた。
CTCの田中匡憲氏(エンタープライズビジネス企画室 室長)は、企業がDXに対応するためのコンテナ技術を活用したITシステムのサービス「C-Native」を紹介した。そして、そのためにエンジニアを質・量ともに向上させる必要性から、これまでもレッドハットのオンライントレーニングを活用していたという。そこにPartner Empowerment Projectで、より深い知識を持ったより多くのエンジニアを育成していくと語った。
NECの菅沼公夫氏(先端SI技術開発本部 OSS推進センター本部長)は、顧客のDXに取り組む人材育成のために、レッドハットの教育を活用していることを紹介。Partner Empowerment Projectにより、今後の教育の拡充や、コンテナ案件獲得へ向けた勉強会やワークショップ、Container Adoption Journeyとの連携により、顧客企業の課題解決を期待していると語った。
HPEの小川光由氏(常務執行役員 Pointnext 事業統括(兼)ストラテジック・アライアンス統括本部長)は、オンプレミスもクラウドネイティブなas-a-Serviceで構築・運用する「HPE GreenLake」を紹介。その一環として、今年発表した「HPE GreenLake for Red Hat OpenShift Container Platform」について説明し、GreenLakeを柱としてレッドハットと協業を推進し、顧客企業のDXをサポートしていくと語った。
ネットワンシステムズの篠浦文彦氏(取締役執行役員 ビジネス開発本部長)は、レッドハットの支援のもの、インフラの自動化や、コンテナ活用ノウハウの集約と知財化に取り組んでいることを紹介。さらに、システムのアーキテクチャ設計と対話のためのネットワンブリーフィングセンターや、マルチクラウド検証設備 Lab as a Serviceを紹介し、これにOpenShift Value Proposition Workshopを連動させたいと語った。