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OpenShiftのマネージドサービスを支援するパートナープログラム、レッドハットが提供

Azure上でのOpenShiftマネージドサービスも国内で一般提供開始

 レッドハット株式会社は12日、コンテナプラットフォーム製品のRed Hat OpenShift Container Platform(OpenShift)について、パートナー企業向けプログラム「Red Hat OpenShift Managed Practice Program」を発表した。OpenShiftを利用したプラットフォームをマネージドサービスとして顧客企業に提供するPaaS/SaaS企業の、SRE(Site Reliability Engineering)チームを支援する。

 同時に、Microsoft Azure上でOpenShiftをマネージドサービスとして提供する「Azure Red Hat OpenShift」を国内で一般提供開始することも発表した。

左から、レッドハット株式会社 望月弘一氏、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 松丸達也氏、エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 関洋介氏、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 松浦誠氏、日本電気株式会社 上坂利文氏、日本アイ・ビー・エム株式会社 伊藤昇氏、富士通株式会社 金重憲治氏、日本マイクロソフト 佐藤久氏、レッドハット株式会社 金古毅氏

OpenShiftマネージドサービスのSREチームを支援

 Red Hat OpenShift Managed Practice Programは、エンドユーザー企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)のためにコンテナ技術を活用することを目的に、その基盤としてマネージドサービスを提供するパートナー企業を支援する施策だ。パートナー企業の技術者育成とビジネス機会拡大を支援する。

 参加パートナーは、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、日本電気株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社、株式会社野村総合研究所、株式会社日立製作所、富士通株式会社。

 「日本のITはパートナーへの依存度が高い。それを背景にした、日本独自の施策だ」と、同日開催された記者発表会において、レッドハット株式会社の金古毅氏(常務執行役員 パートナー・アライアンス営業統括本部長)は説明した。

Red Hat OpenShift Managed Practice Program
レッドハット株式会社 常務執行役員 パートナー・アライアンス営業統括本部長 金古毅氏

 Red Hat OpenShift Managed Practice Programでは、米Red HatのOpenShiftマネージドサービス「Red Hat OpenShift Dedicated」などの経験を持つSREチームが、パートナー企業のSREチームを支援するのが特徴だ。

 SREとは、Googleが提唱したインフラエンジニアの概念。単に決められた運用をするのではなく、システムの信頼性やパフォーマンス、スケーラビリティなどについて、モニタリングにもとづく改善や、自動化のためのシステム開発など、ソフトウェアによって解決する仕事を意味する。

 こうしたSREについて、Red Hatが持つノウハウをパートナー企業と共有することで、顧客企業のコンテナ活用によるビジネス強化を目指す。

 また金古氏は、コンテナ市場がグローバルでも国内でも拡大していることを紹介したが、コンテナ導入への懸念として、可用性や信頼性を担保できるかという「品質・安定性への懸念」と、動きが速いのでキャッチアップできるかという「人材・スキルへの懸念」があると語った。

 前者については、すでにエンタープライズの顧客に利用実績のあるRed HatのOpenShiftと、国内のユーザー企業のシステムに深い理解のあるパートナーの組み合わせによる解決を金古氏は述べた。

 一方の後者については、マネージドサービスで運用コストを軽減し、人材をコアビジネスに集中できるとした。この両者を提供するのが今回対象となるパートナーだ。

 レッドハット株式会社 代表取締役社長の望月弘一氏も「IT業界を変えるのはレッドハットだけではできない。パートナーとの協力が必要だ。また、要望が多様化する中で、臨機応変に答えるためにもパートナーの拡充が大切だ」と語った。

コンテナ導入への懸念:「品質・安定性への懸念」「人材・スキルへの懸念」
「品質・安定性への懸念」への対応
「人材・スキルへの懸念」への対応
レッドハット株式会社 代表取締役社長 望月弘一氏

 具体的な活動内容としては、まず、米国のOpenShift DedicatedのSREチームによる技術ワークショップを半年ごとに米国・日本で実施する。そのほか、SREの情報シェアとディスカッションや、スペシャリストによる勉強会などを行う。カタログやWeb、ハンズオントレーニング、パートナー別OpenShift入門小冊子による情報発信も予定している。

 「SREのコミュニティを作り、SREの文化とスキルレベルを上げて、SREのコミュニティを広げていきたい」と、レッドハット株式会社の三木雄平氏(テクニカルセールス本部 パートナーソリューションアーキテクト部 上席部長)は語った。

Red Hat OpenShift Managed Practice Programの活動内容

 Red Hat OpenShift Managed Practice Programへの参加は、OpenShiftによるマネージドサービスを提供しており、SREに着手しているパートナーが対象。「参加社数の拡大はあまり考えていない」(金古氏)という。

 具体的な参加要件は、「Red Hat OpenShift Practice Builder Programへの登録」「Red Hat OpenShiftを利用したマネージドサービスの提供」「Red Hat OpenShiftをベースとした中長期ビジネスプランの策定」「提供サービスにおいて Red Hat OpenShift Container Platform を利用していることの公表」「Red Hat OpenShift Container Platform SREのアサイン」となっている。

 さらに今後のOpenShiftのパートナーエコシステムの拡大としては、Red Hat OpenShift Managed Practice Programに続き、ISV向けのクラウドネイティブアプリケーション開発の支援や、インテグレーション向けの支援なども予定しているという。

OpenShiftのパートナーエコシステムのISVやインテグレーション向け拡大予定

Azure上でOpenShiftをマネージドサービスとして提供

 同時に発表された「Azure Red Hat OpenShift(ARO)」は、Microsoft Azure上でOpenShiftをマネージドサービスとして提供するものだ。米国で5月に発表し開始したサービスを、国内で12月中に一般提供開始する。

 AROの4つのメリットを、日本マイクロソフトの佐藤久氏(パートナー事業本部 パートナー技術統括本部 業務執行役員)が説明した。

 1つめは、Red HatとMicrosoftの共同サポートによるフルマネージドサービスだ。「Red HatとMicrosoftのエンジニアが同じフロアでサポート、というのを含めたフルマネージドサービスを提供する」(佐藤氏)。

 2つめはハイブリッド。「Microsoftのハイブリッドクラウドは、クラウドとオンプレミスを接続するだけでなく、両者がコンシステンシー(一貫性)を持って同じように使えるのが特徴。そこでより付加価値の高いサービスを提供する」(佐藤氏)。

 3つめはセキュリティ。「Azureなどで培ったセキュリティやコンプライアンスなどのノウハウにもとづいてサービスを提供する」(佐藤氏)。

 4つめはAzureサービス連携。「Azureの最新のテクノロジーをインテグレーションしてシステムを構築できる」(佐藤氏)。

日本マイクロソフトの佐藤久氏(パートナー事業本部 パートナー技術統括本部 業務執行役員)
Azure Red Hat OpenShift(ARO)の4つのメリット