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レッドハット、コンテナ環境の自律運用が可能なアプリケーションの提供を支援
パートナープログラム「Red Hat Kubernetes Operator Project」を国内で開始
2020年12月10日 06:00
レッドハット株式会社は9日、KubernetesベースのコンテナプラットフォームであるOpenShiftのパートナーエコシステム支援の一環として、「Red Hat Kubernetes Operator Project」を国内で開始することを発表した。
レッドハットがソフトウェアパートナー企業にKubernetes Operator開発のノウハウや知識を提供し、Red Hat OpenShiftの認定Operatorになるための支援をする。日本独自の取り組みとなる。
また、9月に米国で発表された「Red Hat Marketplace」を、2021年に国内GA(正式リリース)予定であることも明らかにされた。
Operatorは、Kubernetes上の上で動く各ソフトウェアの運用を自動化するための仕組みだ。Kubernetesでは、設定された“あるべき状態”に合わせてシステムがコンテナの増減や移動などを行い、ソフトウェアを自動的に動かし続けるようになっている。しかし、例えばデータベースサーバーをスケールアウトするときには、レプリケーション設定など、ソフトウェア固有の手順が必要になる。こうしたソフトウェア固有の運用手順をプログラム化し、Kubernetesから自動化できるようにするのがOperatorだ。
レッドハットは2019年12月に、OpenShiftのマネージドサービスを運営するパートナー向けの支援プログラム「Red Hat OpenShift Managed Practice Program」を開始している。今回のRed Hat Kubernetes Operator Projectはそれに続くもので、ISVパートナー向けのプログラムとなる。
Red Hat Kubernetes Operator Projectには発表時点で、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)、SCSK株式会社、株式会社オージス総研、サイオステクノロジー株式会社、株式会社セゾン情報システムズ、株式会社ソリトンシステムズ、日商エレクトロニクス株式会社、日本電気株式会社、株式会社日立製作所、富士通株式会社の10社がパートナーとして賛同を表明している。
Operatorの開発環境、トレーニング、認定取得支援を提供
同日開催された記者発表会において、レッドハット株式会社の金古毅氏(常務執行役員 パートナー・アライアンス営業統括本部長)は背景を説明した。電子決済や5G、自動運転など、ITをとりまく環境が劇的に変化している中、Red Hatをはじめとしてクラウドネイティブなプラットフォームが提供されているが、アプリケーションのデジタルネイティブ化はまだ遅れているという。
アプリケーションについては、アプリをコンテナにカプセル化することで開発・テスト・デプロイのスピード向上と再現性、可搬性を提供する。そしてもう一つ、アプリ運用をOperator化することで、適切なリソース配置や、運用の効率化、信頼性の向上をはかれるという。
このOperator化(Operator対応)を推進するのが、今回発表されたRed Hat Kubernetes Operator Projectだ。
支援内容としては、開発環境、トレーニング、認定取得支援が提供される。開発環境の分野では、無償開発検証環境を日本アイ・ビー・エム株式会社が提供。Operator開発支援を、コムチュア株式会社、サイオステクノロジー株式会社、株式会社リアルグルオブ・オートメーティッドの3社から提供される。
参加条件は「極力シンプルにした」(金古氏)とのことで、Red Hat Technology Partnerへの参加、オンライントレーニングの受講、担当窓口の営業と技術者のアサイン、Operator予定のソフトウェア名の提示となっている。
そのほか、Operator対応アプリの露出の場を増やす施策も行う。これまでは、Kubernetes Operatorの一覧を提供するポータル「OperatorHub.io」や、Red Hat認定製品のポータル「Red Hat Ecosystem Catalog」があった。
それに加えて、9月に米国で発表された「Red Hat Market Place」が2021年に国内GA予定となる。Red Hat Marketは、エンタープライズアプリケーションを検索、試用、購入し、デプロイおよび管理するためのワンストップショップ。認定Operatorもここから導入できるようになる。
パートナー5社が取り組みを紹介
記者発表会には今回賛同したパートナーの中から5社が登場した。
SCSK株式会社の河野昇氏(プラットフォームソリューション事業部門 ITエンジニアリング事業本部長)は、コンテナやクラウドネイティブの分野でRed Hat認定製品を扱っていることを紹介。その中で、CI/CDパイプラインのDevCondにおいて、Red Hat Kubernetes Operator Projectを最大限に活用していくと語った。
株式会社セゾン情報システムズの樋口義久氏(テクノベーションセンター 製品開発部)は、データ連携ツール「HULFT」でもコンテナやマイクロサービスへの対応が求められているとして、Operatorに対応していくと語った。
株式会社ソリトンシステムズの土屋徹氏(ITセキュリティ事業部サイバーサービス G1 取締役)は、データ分析のSoliron NK(Network Knowledge)のクラウド化を語った。
日商エレクトロニクス株式会社の中島俊哉氏(執行役員 エンタープライズ事業本部長)は、アプリケーションブランド「Natic」において、業務プロセス自動化のBPMと契約管理電子帳票のECMのOpenShift対応予定と、AI/機械学習プラットフォームのOpenShift対応済みについて語った。
富士通株式会社の藤原隆氏(ソフトウェアプロダクト事業本部 本部長)は、FUJITSU Software Enterprise Postgresが商用ミドルウェアとしてアジア初のRed Hat OpenShift Operator認定を取得したことなどを紹介した。