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日本マイクロソフトと千葉県教育委員会が連携、ICTの活用で教育の質の向上を目指す

 日本マイクロソフト株式会社と千葉県教育委員会は22日、ICT利活用の推進に向けた連携に関する協定を締結した。県立学校の生徒らの学びの質と情報活用能力を高めるとともに、教員の授業力向上を目指す。

 千葉県教育委員会 教育長の澤川和宏氏は、文部科学省が進めるGIGAスクール構想に触れ、「千葉県でも校内学習用ネットワークの高速化や大容量通信への対応などを進めている。今後は学校でもAIや学習支援ソフトが普及し、授業でのグループウェア活用も急速に進んでいくだろう。Society 5.0時代に生きる子どもたちにとって、PC端末などのICT機器は、文房具のように日常的に使うマストアイテムになる」と語る。

 日本マイクロソフト 執行役員常務の佐藤亮太氏は、「ニューノーマルの時代において、人の働き方や暮らし方が大きく変わろうとしており、子どもたちの学び方や先生の教え方など、教育そのものの変革も迫られている」と指摘。こうした中で、「GIGAスクール構想実現後も見据え、千葉県の教育改革を支援していきたい」とした。

会見にオンラインで参加した日本マイクロソフト 執行役員常務 佐藤亮太氏(左)と、千葉県教育委員会 教育長 澤川和宏氏(右)

 今回の協定にて進める取り組みは主に4つ。まず1点目は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う分散登校や短縮授業を見据えた取り組みだ。具体的な対策として、4月までに県立学校の全教員と生徒らが「Microsoft Teams」を利用できるよう環境を整え、課題の作成や配信、提出はもちろん、チャット機能を使ったコミュニケーションもできるようにする。

 2点目は、ICTを活用した指導力の向上を目指し、教員コミュニティを育成することだ。具体的には、Teams上に教科ごとの教員コミュニティを設け、投稿やチャット、ファイル共有機能などで意見交換する環境を構築し、教育と指導力の向上を支援する。

 3点目は、ICTを活用した指導案や教材を教員らが相互活用できる「共有ポータル」設けること。教員が指導案やオリジナルの教材を共有し、相互に活用できるポータルサイトを、「Microsoft SharePoint」と「Microsoft Power Platform」を用いて作成する。共有ポータルには、「Office 365」の教育向けコンテンツや、STEM(科学・技術・工学・数学)教育に役立つカリキュラムと教材をまとめた「ハッキングSTEM」なども用意する。

 そして4点目は、教員に向けOffice 365を中心とした利活用研修を提供することで、この研修によってさまざまなICT環境を活用してもらうことを目指す。

 教員向けの共有ポータルを設ける取り組みは、日本マイクロソフトにとっても全国初のことで、佐藤氏は「この取り組みを先行事例としてノウハウをため、ほかの自治体にも展開していきたい」としている。

連携協定における取り組みの概要

 今回マイクロソフトと連携した背景について澤川氏は、「これまでにもマイクロソフトからはICTの有効活用について、専門的な知見からアドバイスをもらっていた。今回の協定締結を機に、これまでの連携をさらに発展させ、生徒の情報活用能力の育成と教員のICT活用能力および指導力の向上といった教育改革に全力で取り組みたい」と語る。その上で、「今後双方が連携して進める取り組みが、必ず千葉の子どもの成長に寄与すると確信してる」と述べた。

協定にサインしたタブレット端末を掲げ、バーチャル握手を交わす佐藤氏と澤川氏