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鴻巣市教育委員会、児童・生徒・教職員向けICT基盤をフルクラウド化

マイクロソフト テクノロジを全面採用、AzureとSINETを接続

 日本マイクロソフト株式会社と株式会社内田洋行は15日、埼玉県鴻巣市教育委員会が、市内のすべての小・中学校27校(小学校19校、中学校8校)の児童・生徒・教職員向けICT基盤を、マイクロソフト テクノロジを活用して刷新すると発表した。これら新たなICT基盤の全体マネジメント、設計・構築・保守運用は内田洋行が担当する。

 鴻巣市教育委員会は2019年9月、「鴻巣市学校教育情報化推進計画」を策定し、ICT環境の整備を進めてきたが、国内外の教育現場での実績が豊富であること、文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」で推奨されているISO27018、ISO27701等の個人情報規定の認証を取得していることなどから、今回、マイクロソフト テクノロジの採用を決定した。

 具体的には、児童・生徒用端末として、デル・テクノロジーズ株式会社の「Latitude 3190 Education 2-in-1」を8509台、教職員用端末として「Microsoft Surface Pro 7」を650台配備する予定。

 また端末配備と同時に、Office 365等のライセンスを全児童・生徒に付与するほか、教職員の校務用プラットフォームとしてMicrosoft AzureとMicrosoft 365 Education(A5 セキュリティ)を導入し、教育ICT環境をすべてマイクロソフトのソリューションで一元的に提供するとしている。

 さらに、教職員、児童・生徒のそれぞれの利用者がPCを使いやすくするため、さまざまなアプリや検索ツール、ユーザーの管理などを統合した内田洋行の学校向け教育ポータル「L-Gate(エルゲイト)」を導入。授業で使う教材についても、内田洋行の教育コンテンツクラウド配信サービス「EduMall」やオンラインドリルを利用するなど、PC用のデジタルコンテンツも充実しているとのこと。これらのコンテンツの利用ログやデジタル教科書の稼働履歴も取得可能で、今後は、学校だけではなく家庭においても、教材利用や学習状況の把握できるようにすることを目指す考えだ。

 このほか教職員向けには、2016年に導入した統合型校務支援システムを刷新し、児童・生徒の成長の見守りと教職員の負担軽減を実現する。具体的には、今回は校務事務フローの電子化を行っており、文書管理機能として教育委員会からの照会の収受から回答までのワークフローの電子化・電子決裁等、機能を大幅に強化している。

 あわせて、QRコードを利用した勤怠管理機能と連携し、研修会案内などの文書通達から行事登録、出張管理、出勤簿作成、スケジュール入力までの一連の流れを完全ペーパーレス化し、教職員の負担軽減につなげたとのこと。

 さらに鴻巣市教育委員会では、国立情報学研究所が構築・運用する学術情報ネットワーク「SINET」とMicrosoft Azureを接続する。これにより、高速で強固なセキュリティネットワーク環境を構築するとともに、教職員は自宅にてモバイルルータを使用し、鴻巣市独自の閉域網からSINETにアクセスする仕組みも整えた。こうして、インターネットと分離されたネットワークによる安全なクラウドサービスの利用に対応したことで、全教職員が場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実現できるとしている。

 一方、学校の授業シーンでは、各クラスが自由にデジタルコンテンツや動画等を一斉に視聴する場合でも、普通教室や職員室に設置された無線LANから閉域網を通じSINETに接続することにより、快適で円滑な授業を実現している。