ニュース

デルがサーバー事業で5つの施策を発表、平均25%の定価引き下げや消費モデルの導入など

 デル・テクノロジーズ株式会社(以下、デル)は15日、サーバー事業の新戦略を発表した。

 執行役員副社長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の松本光吉氏は、「DXに欠かせない最新シリコンの提供、価格がわかりにくいサーバー製品の価格施策をクリアにすること、ニューノーマル時代の販売とサポートの実現、という3つの指針をもとに、日本のお客さまのビジネス加速につなげていきたい」と説明する。

執行役員副社長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の松本光吉氏

 具体的には、(1)AMDプロセッサ搭載製品の拡充、GPU仮想化ソリューションツール、管理機能強化などによる製品ポートフォリオ拡充、(2)投資を可視化する月額の消費モデル導入、(3)定価を平均25%引き下げる新価格施策、(4)宮崎カスタマーセンターのテレワーク化などによる顧客サポート強化、(5)サードパーティソリューションのオファリング拡充による販売エコシステム強化――、といった5点を実施する。

サーバー事業における5つの施策

 デルのサーバー事業の現状について、執行役員製品本部長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の上原宏氏は、「先週、調査会社のIDCが発表した日本市場におけるx86サーバー出荷金額シェアでは、当社の2021年第3四半期のシェアは15.4%で、2016年の7.8%から、4年間で倍増している。右肩上がりの成長を続ける唯一のサーバーベンダーとなっている」と述べ、好調であることをアピール。好調さをさらに加速していくために、先述の5つの施策を実施していくと説明した。

執行役員製品本部長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の上原宏氏

製品ポートフォリオを拡充し多様なニーズに対応

 (1)の製品ポートフォリオ拡充については、インテルプロセッサ搭載製品に加え、AMDプロセッサ搭載製品を提供しており、2020年第3四半期時点では6%がAMDプロセッサ搭載製品となっている。「コンピューティングパワー重視、高密度性重視など、さまざまなコマーシャル分野でのAMD製プロセッサー採用が増えている」(上原氏)という。

 さらに、VMwareが提供するGPU仮想化ソリューション「vSphere Bitfusion」のOEM提供も受けた。Bitfusionは、GPUリソースを統合することにより、リソース活用の効率を最大化できる特徴を持っており、AIや機械学習の際に不可欠な、GPUリソースの利用効率という課題を一気に改善し、コスト削減にもつながるという。

 基本構成としては、ネットワーク上でハードウェアアクセラレーションを行うクライアント/サーバーモデルとなり、BitfusionサーバーにはvSphere Enterprise Plusが必要。クライアントにはBitfusionプラグインをインストールして利用する。

インテルプロセッサ搭載製品だけでなく、AMDプロセッサ搭載製品を提供
GPU仮想化ソリューション「vSphere Bitfusion」を提供

 また管理機能強化としては、システム管理工数を軽減するために、統合管理コンソール「OpenManage Enterprise(OME)」への、サーバーの自動通報機能のプラグインを10月に行ったほか、12月からは、BIOS、ドライバー、ファームウェアの更新パッケージ入手ツール「Dell EMC Repository Manager(DRM)」の機能も、OMEにプラグインして提供開始した。

 さらに、サプライチェーンリスク管理における米連邦政府のガイドラインにのっとった新たなセキュリティ機能「Dell Technologies Secured Component Verification(SCV)」の提供も開始している。

管理機能の強化を図る

 (2)の新消費モデルとしては、基本CPU利用率によって月額利用料金を固定し、超過した利用分には従量課金を適用する新しい料金モデル「Pre-Approved Flex On Demand Pricing」の提供を開始した。「Dell Technologies World 2020」で発表された、すべての製品とソリューションをサービス化する「Project APEX」につながる、CPUの利用率に応じた利用料金での支払いとなる。事前に70%~80%の基本容量が設定され、契約期間は36カ月からとなる。

 「利用例を挙げると、10台のサーバーを導入し、6台は毎日利用しているが、残り4台はスタンバイといった場合でも、10台トータルでの利用率によって料金を決めることができる。CAPEXからOPEXへの移行を実現したものだ」(上原氏)。

 また利用料については、初期3カ月はリードタイムとして換算し、支払い猶予期間となる。これにより、初期導入コストの低減と投資の可視化を実現するという。

Pre-Approved Flex On Demand Pricing
価格例

平均25%の価格引き下げを実施

 (3)の価格については、平均で25%相当の価格引き下げを行う。「当社はご存じの通り、ユーザーに構成を選定してもらう仕組みになっているため、一口に価格を説明するのは難しいところがあるものの、PowerEdgeサーバーの価格を1台あたり平均25%引き下げる」(上原氏)とした。

 なお今回の値下げには、「サーバー製品は値引きを前提とした価格設定となっていることから、価格に違いがあることなどを是正したい」(松本氏)という意向もあるとのことだ。

平均で25%相当の価格引き下げを行う

 (4)の顧客サポート強化では、宮崎県にある宮崎カスタマーセンターに勤務するサポートエンジニアの勤務形態をテレワークに移行。2年前から実施してきたデスクトップからノートPCへの移行促進によって、2020年2月19日時点で99%がノートPCとなっていた。

 上原氏は、「サポートエンジニアのテレワーク化は難しいと考えられていたが、いち早くモバイル環境への移行を進めてきた。不測の事態は、今回のような新型コロナウイルスによるものだけでなく、天変地異など気象条件、災害などによって、今後もテレワーク実施が必要となる場面が起こることが考えられる。お客さまへの安心を確保するため、テレワークでの勤務環境を整えることが、BCP対策として必要だと考えられる」と述べ、災害時にも対応できるサポート体制を整えたことをアピールしている。

 (5)の販売エコシステム強化としては、デルがサードパーティ製品をワンストップでまとめて提供する。今後、OEM製品として取り扱いの可能性を持つストラテジックパートナー、需要が高い製品を提供するコアパートナーの製品をまとめて提供する計画だ。

 上原氏は。「今回提供する5つの施策は、『新しい時代』の顧客のための施策。サーバービジネスにおいてもデルが選ばれるよう、注力していく」とアピールした。

顧客サポート強化
販売エコシステム強化