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Dell、x86サーバー「PowerEdge」17製品を発表 AMDの第3世代EPYC、未発表のIntel 第3世代Xeon SPなどを搭載

 米Dell Technologies(以下、Dell)は17日(米国時間、日本時間3月18日)、同社のデータセンター向けサーバー製品において、17製品を提供すると発表した。

 今回発表されたのは、先日発表されたAMDの第3世代EPYC、およびIntelは未発表の第3世代Xeon Scalable Processors(以下、Xeon SP)を搭載したサーバー製品。NVIDIA A100 GPUを搭載した「PowerEdge XE8545」、および第3世代Xeon SPと最大6つのGPUを搭載した「PowerEdge R750xa」など、マシンラーニング向けの製品のほか、エッジサーバー、モジュラーサーバーなどがラインアップされている。

Dellが第3世代EPYC、第3世代Xeon SPを搭載したサーバー製品17製品を発表

 Dellによれば、AMD向け製品のラック型は本日より順次提供を開始。Intelの第3世代Xeon SPを搭載したラック型製品は、5月より提供開始される予定になっている。そのほか、エッジ向けやモジュラーサーバーなどは第2四半期中の提供開始予定だ。

AMD、Intel両社の最新CPUを搭載したサーバー17製品を一挙に発表

 デル・テクノロジーズ株式会社 執行役員 副社長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括 松本光吉氏は「今回は17機種を同時に発表する。これはこれまでにない規模の発表だ。AI、マシンラーニングなどの普及、COVID-19のパンデミックによるオンラインへの対応により企業はサイバーセキュリティへの対応を迫れるなど多くの点でITを巡る環境は変わりつつある。そうしたさまざまなニーズをくみ取った製品を紹介していきたい」と述べ、今回の発表がDell Technologiesのサーバー製品としてはかつてない規模だと説明した。

Dellが発表したサーバー製品のラインアップ
デル・テクノロジーズ株式会社 執行役員 副社長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括 松本光吉氏

 今回発表されたのは、AMDが先日発表したばかりの第3世代EPYCを搭載したPowerEdge製品のC6525、R7525、R6525、R7515、R6515。これらは以前から販売されていた第2世代EPYC搭載製品のアップデートバージョンで、ブランド名や外形などは変わらず、CPUを第3世代EPYCへと強化した製品になる。

 また、今回新しく投入された製品になるのがPowerEdge XE8545で、NVIDIA A100 GPUを搭載したAI/マシンラーニング向けの4Uラックサーバーだ。

 Intel製品に関しては、現時点ではまだ発表されていない、第3世代Xeon SPを搭載した製品で、PowerEdge製品のC6520、MX750c、R750、R750xa、R750xs、R650、R550、R450などが用意されている。

 現時点でIntelは、開発コード名「Ice Lake-SP」で知られる、10nmで製造される次世代サーバーCPU製品の2P版を発表していないが、Dellのいう第3世代Xeon SPは、そのIce Lake-SPのことであると考えられる。

 なお、サーバーの型番において、数字の最後のけたが0であるものがIntelプラットフォーム、5であるものがAMDプラットフォームの製品であることを示している。

 Dell Technologies アジア太平洋/日本 データセンター&コンピュート担当 バイスプレジデント クリス・ケリー氏は、「2025年には、エンタープライズが所有するデータのうち75%は外部のデータセンターに置かれると予測されている。その時に重要になるのは、データのプライバシーやサイバーセキュリティで、システムや情報を守ることが重要になる。それを実現するために依然としてハードウェアは重要であり、われわれはそのハードウェアを拡張していく」と前置き。

 「そのために、変わりゆくビジネスに応じて最適化を進める適応型コンピュータのモデル、自動で効率を上げていく自律型のインフラ、サイバーセキュリティに対応するプロアクティブな回復力などが重要になる」と述べ、適応型の仕組み、自律型のインフラ、プロアクティブな回復力という3つの柱を軸にしてDellのサーバー製品を強化していくと説明した。

Dell Technologies アジア太平洋/日本 データセンター&コンピュート担当 バイスプレジデント クリス・ケリー氏
2025年にはエンタープライズデータの75%がクラウドに
3つの柱

サーバーの管理機能を強化することで管理担当者の負荷を減らし、サイバーセキュリティにもハードウェアで対応強化

 Dell Technologies プロダクトマネジメント&プロダクトマーケティング部門 サーバーソリューション担当 シニアバイスプレジデント ラヴィ・ペンディカンティ氏は、今回発表した製品の具体的な内容について説明した。

Dell Technologies プロダクトマネジメント&プロダクトマーケティング部門 サーバーソリューション担当 シニアバイスプレジデント ラヴィ・ペンディカンティ氏

 適応型のコンピュータモデルという観点では、「現在利用されているワークロードは、10年後には利用されていない可能性が高い。例えば、10年前にマシンラーニングやGPU/FPGAをサーバーで利用すると言っていた人はいないが、今は普通に使われている。また、例えばインメモリデータベースでも従来はメモリをたくさん積むのが常識だったが、今ではOptaneのようなPersistent Memoryを使うのが一般的だ。このように、異なるワークロードには異なる技術が必要であり、Dellではワークロードに合わせたハードウェアを提供していく」と述べ、1つの製品だけでなく、複数の種類の製品を提供することで、顧客の異なるニーズに応えていくと強調した。

適応型のコンピュータモデル

 例えば、ラックサーバーでは第3世代Xeon SPを搭載したPower Edge R750が紹介された。ケリー氏は「R750は従来製品に比較して超並列形の線形方程式の処理パフォーマンスが最大43%向上する」と述べ、新しい世代のCPUを採用することで性能が向上していると説明した。

 また、AMDの第3世代EPYCを搭載したPowerEdge R6515では、Hadoopのデータベース処理で最大60%性能が向上していると説明した。

PowerEdge R750とR6515

 なおケリー氏によれば、ラック型サーバーの外形はいずれも、前世代のCPUを搭載した製品と同じだが、内部の熱設計などは見直されており、より高いTDPにも対応できるような変更が施されているという。

 また、AMDの第3世代EPYCに関しては先日AMDから正式に発表されたが、Intelの第3世代Xeon SPに関しては正式発表されていないこともあり、それ以上の詳細の公表はIntelの正式発表後になるとしている。

 自律型のインフラという観点では、PowerEdgeサーバーの管理機能の自動化をさらに進めることで、管理者が管理にかかる時間を85%短縮できると説明した。

自律型のインフラ

 そしてプロアクティブな回復力という観点では、ハードウェアを利用したサイバーセキュリティへの対処を、Dellとして強化していることを説明し、「暗号化証明書ベースで検証する、ハードウェア完全性を実現しポートフォリオ横断的にソリューションとして提供する初のサーバーベンダーになった」と述べ、ハードウェアレベルでのセキュリティ強化を今後も推進していくとした。

プロアクティブな回復力

 ハードウェアデザインレベルの改良点としては、内部エアフローの改善、直接液冷、リーク検知機能、熱設計の改善、さらにはGPU利用時の最適化などが実現されていると述べた。

製品設計のイノベーション:最適化したパフォーマンス

 Dellの発表によれば、第3世代EPYCを搭載したC6525、R7525、R6525、R7515、R6515は本日より提供が開始される。第3世代EPYC+NVIDIA A100のXE8545は、3月29日より提供開始予定。

XE8545

 一方、第3世代Xeon SPを搭載したシステムのうちC6520、MX750c、R750、R750xa、R650は5月に提供開始予定で、残りのR750xs、R650xs、R550、R450、XR11、XR12は第2四半期中の提供開始予定となっている。

R750xa
XR11/XR12