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「在宅勤務に必要な6つの要件を満たしている――」 Zscalerのクラウドセキュリティ、1月以降でトラフィックが8倍に
オンライン説明会レポート
2020年4月8日 06:00
米Zscalerは7日、同社のクラウドセキュリティサービス「Zscaler Private Access(ZPA)」に関する説明会をオンラインで開催した。
ZPAは、セキュアインターネットおよびウェブゲートウェイをクラウドで提供するソリューション。VPNのように高価なアプライアンスやネットワークインフラを必要とせず、クラウド上でリモートアクセスのセキュリティ環境が構築できる。
ZPAは現在、Forbes誌が選ぶグローバル2000社のうち400社が採用し、1日のトランザクション数は950億以上。日々12万以上のセキュリティアップデートを行い、1億以上の脅威をブロックしてるという。
Zscaler グローバルチーフインフォメーションセキュリティオフィサーのスタン・ロウ(Stan Lowe)氏によると、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックによって各企業がテレワークを推進したことにより、1月以降同社のZscaler Private Access(ZPA)へのトラフィックがグローバルで8倍になったとのこと。特に増加率が高かった中国ではトラフィックが12倍になり、ヨーロッパでは5倍に、そして日本でも2倍になったとしている。
クラウドで提供されるサービスのため、「トラフィックの急増にも柔軟に対応できている」とロウ氏は語る。また、「場所やデバイスを問わずユーザーを保護できる。複雑性を排除した高速な環境でアプリケーションに接続できるため、ユーザーエクスペリエンスが向上し、効率的なセキュリティ環境が実現する」と説明した。
従来のVPNとは異なり、ZPAは短期間で大規模ユーザーに展開できることが特徴だ。ロウ氏は過去の導入事例から、世界的な物流企業が1週間でZPAを2万ユーザーに展開したケースや、国際的大企業が2週間でZPAを8万人に展開した例を挙げた。「同様の規模感でVPNを導入するとなれば、何カ月もかかっただろう」とロウ氏は語る。
また、Zscaler 北アジア エリアディレクターのダレン・マッケレン(Darren McKellin)氏は、3月上旬に国内の大手物流企業から「4月1日までに6000人の従業員をテレワークへと移行させたい」と、相談があったケースを紹介。これについても期日前に導入を完了し、その成果に満足したユーザー企業ではライセンスの追加を検討しているという。
このほかにも日本では、大手SIerの伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が1万人規模でZPAを採用している。数多くのソリューションを熟知するCTCがあえてZPAを選択したのは、「クラウドのメリットを享受できるためだ」とマッケレン氏は述べ、自宅で作業をしても生産性は変わらないとの評価を受けたとしている。
「過去1カ月だけでも非常に多くの問い合わせがあった。多くの企業が急遽テレワークを推進し始めたことはもちろんだが、Office 365をはじめとするクラウドソリューションと親和性が高いことも背景にある」とマッケレン氏は語る。同氏は、グローバルでのトラフィックが8倍となっている一方、日本が現時点で2倍にとどまっていることから、「今後も需要が伸びる可能性は高い」との見通しを示す。
これほどまでにZPAの需要が高まっている背景として、ロウ氏は「ZPAが在宅勤務に必要な6つの要件を満たしているためだ」と述べる。
その6つとは、1.社内外のリソースやアプリケーションに安全にアクセスできること、2.多要素認証などに対応するプロバイダーとの協力の下、クラウド上のIDが適切に管理できること、3.高速なユーザーエクスペリエンスを実現すること、4.迅速に導入できること、5.リアルタイムで可視化できること、6.セキュリティとコンプライアンスが確保されていることだ。
「従来型のVPNは、クラウドやモバイルが普及する以前に用意されたテレワークの手法。現在の企業のセキュリティポリシーに沿っておらず、ビジネスリスクが高まるほか、高価なハードウェアも必要で導入には何カ月もかかる。さらに、速度上の課題もあり快適に使えるとはいえない」とロウ氏は語る。
「一定のアプリケーションでは未だVPNを必要とするため、VPNが消滅することはないが、最新の自動車に最新の安全装置が備わっているのと同様、セキュリティ対策も最新のソリューションを採用するケースが増えるだろう」。
ZPAへの需要が高まる中、Zscalerでは日本のオフィスを拡張する予定だ。2019年1月には5人だったスタッフが、今では20人以上となり、「今年も多数採用する」とマッケレン氏は述べている。