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ゼットスケーラーが東京オフィスを開設、セキュリティ対策機能をクラウドサービスで提供
2018年5月23日 11:50
米Zscaler(ゼットスケーラー)は22日、日本での事業拡大を目的に東京オフィスを開設したことを発表し、記者会見を行った。
今回の発表に合わせて来日したZscaler 会長兼創業者であるジェイ・チャウドリーCEOは、「データセンターを中心としたスポーク/ハブ型のシステムでは、城に堀を巡らせるようにネットワークを保護するセキュリティ対策が中心だった。しかし、クラウドコンピューティングによって、堀の外側にもアプリケーションが存在するようになっている。また、モバイルデバイスの普及に伴って、ユーザーはコーヒーショップ、空港、ホテルといったオフィスの外からアプリケーションを利用するようになったため、既存のネットワークセキュリティでは対応できなくなっている」と述べた。
Zscalerのクラウドセキュリティサービスは、クラウド上にある同社のセキュリティゲートウェイを介して、各ユーザーとアプリケーションを接続する仕組みだ。セキュリティゲートウェイは、事前に設定されたポリシーに沿って、クラウドファイアウォールやURL/DNSフィルタリングなどのアクセス制御、クラウドサンドボックスやアンチウイルスなどの脅威対策、情報漏えい対策やファイルタイプ制御などのデータ保護、といった各種セキュリティ機能を実行する。
一般的に、SaaSなどクラウド上のアプリケーション利用をコントールするため、外部から一度社内のネットワークを介してアクセスさせる、といった運用をしている企業は多い。この運用方法では、外部から接続するためのネットワークインフラを整備するために、多くのコストがかかるだけではなく、通信速度などに影響されてパフォーマンスにも制限が出る。
しかしZscalerのサービスを利用すれば、クラウド上にあるZscalerのセキュリティゲートウェイを経由するので、社内ネットワークに接続することなくアプリケーションへセキュアに接続することができるという。
なお、セキュリティゲートウェイは、グローバルで100カ所以上ある同社のデータセンターで提供されており、5大陸をカバーしているため、ユーザーはもっとも近いデータセンターを経由してアプリケーションを利用可能とのこと。
2008年に創業したセキュリティ企業であるZscalerは、米国カリフォルニアに本社がある。世界185カ国以上で利用されているクラウド分散型のセキュリティサービスを展開しており、アジアパシフィックではシンガポール、豪州、インドでも事業を展開している。
国内でも2009年に日本法人を設立していたが、当時は日本のクラウドコンピューティング市場がそれほど成長していなかったため、いったん撤退していた。
アジアパシフィック/日本担当 バイスプレジデント スコット・ロバートソン氏は、「アジアパシフィック地域では2014年ごろまで、豪州がクラウドコンピューティングの導入率がもっとも高い国だった。しかし、近年は日本のSaaS、IaaS、PaaSへの投資が拡大し、すでに日本がこの市場をけん引するまでになった」と、現在の市場環境に言及。
日本市場が十分に成長したとの判断から、セキュリティ業界の深い知識を有する経験豊富な日本チームを構築し、日本企業に対して効果的なサービスを提供していく考えであることを示した。
さらにロバートソン氏は、SSLの暗号化通信を経由した脅威への対策にも言及し、「暗号化された通信を一度復号してから検査する対応が必要だが、既存のセキュリティアプライアンスでは、これらの処理を実行するために十分な機能を備えていないことが多い」と、問題点を指摘。Zscalerのセキュリティゲートウェイ内では高速にこれらの処理が実行できるとアピールした。
なお同社のセキュリティサービスはパートナー経由で提供されることから、具体的な価格は明らかにされていない。ロバートソン氏が「1ユーザーあたりの月額費用はコーヒー数杯程度。ただし、コーヒーもショップによってさまざまな値段があるように、利用する機能や規模によって価格は変わる」と述べるにとどまっている。