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シスコ、Web会議「Cisco Webex Meetings」の特別プランを提供

初年度は15%の料金で全従業員がテレワークを実践可能に

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は21日、2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ向けテレワークの普及を支援するため、クラウドベースのウェブ会議「Cisco Webex Meetings」を主催するライセンスを、顧客が導入しやすい料金で提供する特別プランを発表した。

 同日に行われた記者説明会では、「Cisco Webex Meetings」の特別プランを実施する背景やプランの概要について説明するとともに、同社の最新コラボレーション製品を体験できる「コラボレーション ショーケース」の内覧会を実施した。

 「Cisco Webex Meetings」は、PCをはじめスマートフォン、タブレット、ビデオ会議端末などさまざまなデバイスから、オンライン上で音声や映像だけでなくデータやアプリケーションを共有したコミュニケーションが行えるコラボレーションソリューション。今回の特別プランは、希望する顧客に3か月無償のトライアルを提供し、東京オリンピック・パラリンピック開催期間を含む初年度は、従業員数の15%の料金で「Cisco Webex Meetings」を全社で利用可能になるというもの。

「Cisco Webex Meetings」のデモ画面

 シスコ 代表執行役員社長のデイヴ・ウェスト氏は、この特別プランを展開する背景として、日本のテレワーク導入状況を指摘。

 「日本のテレワーク導入企業の割合は、政府の支援もあり徐々に高まってきているが、米国、英国、ドイツなどの世界主要国に比べるとまだまだ遅れているのが現状だ。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでの交通混雑緩和に向けて、この状況を改善し、業種を問わずテレワークをさらに推進していく必要がある」と述べた。

 また、大会期間中の同社の働き方について、「東京オリンピック・パラリンピックの開催期間中は、原則として全社テレワークとする。日本国内どこからでも仕事をすることができ、例えば、ワーケーション(ワークとバケーションを組み合わせた造語)やシェアプレイスの利用など、ユニークなリモートワーク体験をSNSで社内外に発信してもらう。テレワークの実践によって、生産性向上のみならず、ワークライフバランスによる生活の質向上にも期待できる」と説明した。

シスコ 代表執行役員社長のデイヴ・ウェスト氏

 今回、特別プランを実施する「Cisco Webex Meetings」の主な特徴としては、インターネット経由での接続により、PCからスマートフォン、タブレット、ビデオ会議端末、電話、他社製ビデオ会議端末などまで、あらゆるデバイス間での会議を実現。カメラを通して相手の顔を見ながら会話ができるだけでなく、資料の共有や録画、参加者とのチャットを行うこともできる。

 モバイル端末からも簡単な操作で利用でき、URLをワンクリックするだけで会議に参加が可能。主催者アカウント(ライセンス契約が必要)をもっていれば、最大1000人まで参加できるウェブ会議を何度でも開催することが可能だ。また、世界各所に展開するデータセンターを専用線で結ぶWebexネットワークによって、高品質で安定したウェブ会議を提供している。

「Cisco Webex Meetings」の概要

 特別プランでは、日本国内のすべての企業・組織を対象に、初年度契約の1年間、全従業員数の15%にあたる人数分のライセンス料金(1000人の従業員の場合、150人分の料金)のみで、全員が「Cisco Webex Meetings」を使ってウェブ会議を主催できるという。また、導入の試験や効果検証など、実運用をスムーズに開始できるよう、3か月間先行して「Cisco Webex Meetings」を無償で使用することも可能となっている。

 シスコ 業務執行役員コラボレーションアーキテクチャ事業担当の石黒圭祐氏は、特別プランの狙いについて、「日本企業は、部署を限定するなど小規模でテレワークを導入しているケースが多く、全社的に展開している企業は少ないのが実情だ。そこで今回、東京オリンピック・パラリンピックを視野に、全従業員でのテレワークを低コストで実現できるよう、『Cisco Webex Meetings』の特別プランを提供する」とした。

シスコシステムズ 業務執行役員コラボレーションアーキテクチャ事業担当の石黒圭祐氏

 特別プランの申し込みは、シスコの販売パートナー企業が窓口となり9月中旬から受付開始、10月からキャンペーンを開始する予定。「例えば、今年10月から無償トライアルを開始した場合、オリンピック期間を含む2020年1月から12月まで、『Cisco Webex Meetings』を全従業員が利用できるようになる。契約期間中は、従業員数の20%まで超過が可能となっている。次年度については、3か月の主催者平均値で契約数を決定する。これにより、次年度以降も利用率に合わせた料金でリーズナブルにテレワークを実施することができる」(石黒氏)という。

 また、記者説明会では、ゲストスピーカーとして三井不動産 ビルディング本部 ワークスタイリング推進部の細田知子氏が登壇。法人向け多拠点型シェアオフィス「WORK STYLING」の取り組みについて、「『WORK STYLING』では、時間や場所に縛られない、自由なワークスタイルを実現するシェアオフィスおよびフレキシブルサービスオフィスを提供している。現在、40拠点を展開し、350社、月間7万人の会員が利用している。本年度中には50拠点まで拡大する予定だ。また、40拠点すべてにテレビ会議システム『Cisco Webex』を導入しており、最近ではテレビ会議を目的とした利用率が大幅にアップしている」と紹介した。

三井不動産 ビルディング本部 ワークスタイリング推進部の細田知子氏

 さらに今回の記者説明会に合わせて、シスコの最新コラボレーション製品を体験できる「コラボレーション ショーケース」の内覧会も行われた。「コラボレーション ショーケース」では、会議室と直接つながる次世代ビデオ会議端末「Cisco Webex Room Series」、遠隔地と共同作業ができるデジタルホワイトボード「Cisco Webex Board」、AIを活用した顔検知・話者検知による自動フレーミングや音声認識のデモを実施した。

次世代ビデオ会議端末「Cisco Webex Room Series」のデモ

 「Cisco Webex Room Series」は、テレワークしているメンバーとオフィスに出社しているメンバーが、ビデオ会議を通じて自然につながることが可能。いつでも国内外の拠点や組織が簡単につながるため、社内のイノベーションを促進できるという。

 「Cisco Webex Board」は、ビデオ会議やデジタルホワイトボードなどの機能を1つの端末に集約。タッチパネルによるシンプルな操作で、遠隔地やテレワークをしているメンバーとアイデアを共有しながらクリエイティブな仕事ができる。AIによる自動フレーミングでは、顔認識技術で会議室参加者を自動認識し、全員がおさまるベストフレームを選択。会議中は、話者を自動認識し、話者を中心にフレーミングする。

 また音声認識では、「OK Webex」で音声アシスタントを呼び出して操作を行うことができる。通話の開始や会議への参加、会議室の空き状況の問い合わせなどが可能となっている。

デジタルホワイトボード「Cisco Webex Board」のデモ